記事検索
カレンダー
2024年7月
« 9月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  



駿河湾ルアーカツオ船スタート!

黒潮の使者、カツオは遊泳速度が非常に速いのが特徴で、掛かってからのパワフルで鋭いな引きでルアー・エサ釣り問わず人気のターゲットです。今年も黒潮の分流が関東沿岸に流入し各地で水温が上昇するとともに、遊漁船で狙えるエリアに姿を現しました。

北上する初鰹を狙う!

毎年南から黒潮に乗って北上し、水温が低下してくると南下する季節回遊をおこなうカツオ。関東近郊では初夏までを「初鰹」または「のぼりガツオ」、秋頃を「戻り鰹」と呼ばれ、食卓でも馴染み深いと思います。北上中の群れは通過も速く、釣れる期間は短いことがほとんどです。この時期はコマセに付くことはまれで、ルアーでのナブラ討ちがメインとなります。
ロッド:7ft前後のキャスティングロッド、ウェイトMAX60g前後のもの
リール:ドラグ性能に優れた中型スピニング。できればハイギア仕様
ライン:PE2~4号150m以上、リーダー40~50LB前後1.5m程
ルアー:30~50gまでの小型メタルジグ。10cm以内のジグミノーも有効
ルアーで狙う際はメタルジグのキャスティングが中心。タックルはシイラ系のPEタックルがベスト。あまりパワーがあり過ぎると、軽いルアーが扱い難いばかりかカツオが口切れを起こしバラシてしまいます。表層で跳ねる群れを探し出し、合図が出たら正確なキャストと高速横引きで狙っていきましょう。

田子ノ浦より出船!いざカツオのいる海へ

カツオ回遊の情報は駿河湾・相模湾共にありましたが、今回は釣行予定日が台風直後ということもあり出船可能な駿河湾へ。東名富士ICよりほど近い田子ノ浦のH丸にお邪魔しました。ここの船長のルアーカツオ操船はアングラー間で「駿河湾一」とも言われるほど。ナブラ発見から回り込み、そして先読みまで高い技術でアングラーをサポートしてくれます。ここ最近は釣れていることもあってシケ後ながら12名のアングラーが乗船。明け方と共にカツオ探しのクルージングが始まります。
カツオは遊泳速度の速い魚。大型の構造物や生物に着くこともありますが、基本的にエサを求めて回遊しています。このカツオを魚探やソナーだけで探しきるのは難しく、今も昔も船長や乗船者の目が頼りとなります。ルアー・エサ問わずカツオ船に乗船したら是非「ワッチ」に協力しましょう。鳥の動きや海面の変化に目を凝らし、異常や兆候を感じ取ったら船長やベテランアングラーへ報告。全員で協力すれば協力するほどカツオへ近づける確率が上がる大切な作業です。

群れ遭遇!進行方向を見極めよう

港周辺は薄緑の潮色も大瀬崎付近まで下ってくると潮色も変わってきました。透明度の高い澄んだ青色の潮こそカツオの潮。ここからワッチも力が入ります。それまで吹いていた風も弱まり、海面も見やすくなってきました。鳥も時折何かに反応する素振りを見せ、そろそろ出そうな感じです…。船速を落としながらゆっくりと航行する船。するとそれまで疎らに飛んでいた海鳥が一箇所にめがけて飛び始めました。いよいよカツオが跳ね始めたのでしょうか!?
鳥の集まる所へ全速で向かうH丸。各アングラーもいつでもキャストできるよう、指にラインを掛けて臨戦態勢。鳥の動きから方向を見極め徐々に減速し、魚へのプレッシャーを抑えながら先回りしてゆきます。そしてカツオが集まり海面がザワつき跳ね始めると、合図と共に一斉にキャストが開始されます。
この船では舳先の人は正面、両舷の人は前方斜め45度に投げるのがルール。オーバースローもOKですが、届くのならアンダースローが無難です。そして表層を高速トゥイッチで狙い、「追われて逃げ惑うイワシ」を演出しましょう。移動の速い群れでは、あまり沈めていると群れが通り過ぎてしまうので要注意。コマセ釣りと同乗の場合はコマセで群れも沈みますが、浮いた魚は表層勝負が効率的です。
やっと捉えた群れを乗船者全員でガンガンキャストしますが、このナブラは舳先のアングラーが2本ゲットしたのみで沈黙。鳥の進行方向を読んで巧みにバイトさせたようです。
この後もぽつぽつとナブラに遭遇するもポツポツとヒットする程度の単発ばかり。群れの移動も速く水面にイワシのウロコもほとんど散ってないことからベイトが少ないのかもしれません。

時合到来!手返しで数を伸ばそう

出船より数時間。日もだいぶ高くなりクルージングが長くなりはじめたころ、遂に密度の濃い鳥山が出現しました!船長もアングラーもチャンス到来とばかりにテンションが上がります。鳥を読んで船は進行方向を先回り。後はカツオが跳ねだすタイミングを待つばかりです。鳥山よりやや離れて様子を見ていると徐々に収束を開始。そして海面がザワつきカツオの姿が現れました。
このナブラは活性も高く、次々にアングラーのロッドが絞り込まれます。そして私のロッドにもヒット! 一気にラインが走る引きは速度感満点。油断すれば右に左にと縦横無人に走り回ります。カツオのファイトは主導権を魚に渡さないことが重要。緩めると一気に走ってしまうので、良型でなければポンピングせず巻きましょう。下手にポンピングすると暴れるばかりか口切れを誘発させバラシのリスクが増します。そして海面に見えてきたらネットマンと息を合わせて旋回するカツオをすくいましょう。
次つぎと取り込まれるカツオ。型は2kg弱ながらも鋭い引きで楽しませてくれます。手返しのよいアングラーは立て続けに取り込んで数をのばし、ビギナーはその引きの速さと強さに戸惑いながらも必死に釣り上げてゆきます。

厄介なシラスパターン

しかし、どんなに高活性の群れも次第に活性も落ちてくるものです。依然表層でバシャバシャと姿は見えるも、先程までのルアーへの反応がなくなり一向に掛かってきません…。アングラーが手を変え品を変え攻める中、ポツリと「シラス食ってんな…」と船長。どうやら攻略の難しいシラスパターンに入ってしまったようです。
シラスとは主にカタクチイワシの稚魚で、サイズは1~3cm。細く小さく遊泳速度は遅めです。カツオが海面で補食動作を見せながらも移動が遅く、それでいてルアーへの反応が鈍いときはに多いパターンです。マッチ・ザ・ベイトが非常に難しく「シラスサイズの小さいルアーを、船のプレッシャーを与えない距離まで飛ばし、移動距離を抑えてゆっくり動かす」必要があります。言葉にすると簡単そうですが、自重・沈下速度・飛距離は相反する要素も多いためアングラーは苦労を強いられます。このとき有効な攻略法として、

・バケフックの装着
メタルジグに付けるアシストフックにサビキバリのような魚皮が装着されているため、フックそのものがシラスに見えるといった代物です。サイズも豊富で有効な魚種も多いので始めから取り付けておいてもよいでしょう。

・プラグで攻略
また、シイラやシーバスで用いられる小型ペンシルプラグも、シラスパターン攻略には有効です。特にフローティングタイプは水面で小刻みにドッグウォークさせることで移動距離を抑えながら長くアピールできます。
とはいえ最大の問題は飛距離。フローティングなら斜めや縦に浮くので、カツオからは小さく見えますが、シンキングはどうしてもシルエットが大きくなりがち。最近はそれを打破すべくほとんど透明で一部のみ彩色されたモデルも作られています。

なりふり構わなければ陸っぱりで用いられるカブラの付いたブリッジ仕掛けが非常に強力です。しかし、ルアー船である以上、ルアーで釣る趣を大切にしたいところです。

盛期はこれから!

各自の工夫でその後もポツポツとカツオを追加。基本のジグだけでなくバリエーション豊かにルアーを持ってきたアングラーほど、釣果は良かったように思われました。駿河湾・相模湾に入ってきたカツオは間もなくキメジも合流し、しばらくはルアー中心で楽しむことができます。これから暑い夏が近づいてきますがクルージングが基本となるカツオ船は、涼しい海風を受けながら群を探すので意外に快適。そして一度群に遭遇すれば熱い釣りが待っています。黒潮の使者、スピード感溢れるカツオ。回遊魚は情報が入ったら即釣行が鉄則。これから訪れるハイシーズンに是非狙ってみてはいかがでしょう。

[タックル]
ランバラル76
ステラSW6000HG
PE3号300m・リーダー50LB2m
スキルジグLC35g など

コメントは受け付けていません。