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様々な活エサで狙う相模湾ブリ

 今シーズンは例年よりかなり早くから姿を見せていた相模湾のブリ。
秋から冬の大物として釣り師を熱くさせます。エサ・ルアー問わず釣れれる魚ですが今回はエサ釣り、特に泳がせに絞って書きたいと思います。 

近年釣果上昇中の大型魚

ブリは最大で1.3メートル、20キロ前後に成長する大型回遊魚です。出世魚としても有名な魚ですが、神奈川県の遊漁ではここ十年ほどで釣果が上昇している魚でもあります。
様々な要因がありますが釣果上昇は釣り人にとっては嬉しいかぎり。しかも大型個体の釣果も年々増え、2011年秋には東京湾内のアジ泳がせで16キロという記録的な大型も仕留められました。
ここ数年で10キロクラスは季節に狙って通えば十分に獲れるサイズとなってきており、近場の大物として注目度は増すばかりです。

地域・季節で変化するエサ

今シーズンのスタートは大いに盛り上がったキハダが収束するとほぼ同時。瀬ノ海や亀城根の水深100メートル前後や、城ケ島東30メートルや西沖の200メートル前後など様々な場所に姿を見せ、釣り人を楽しませてくれました。
そして冬を迎えた12月頃にはアカカマスを追って瀬ノ海120~200メートルを回遊する群れと、南下するサンマや回遊するヤリイカを追う真鶴半島から初島周辺の群れに固まった感じです。

・サバ&アジ
10~12月 シーズン序盤は主にサバを使って狙います。先にエサを釣ってから泳がせ釣りに移行することが多く、手返し良く短時間でエサをしとめることが非常に重要です。 サバはビシ仕掛けやフラッシャーサビキで狙います。

・カマス
12~2月 冬になると相模湾では水深120~250メートルのタナに40センチほどのアカカマスがやってきます。脂が乗って非常においしいカマスはブリの特エサです。 エサ釣りを泳がせ釣りと並行して行うことがほとんどで、タックルは2セット用意する必要があります。またカマスが釣れない場合はサバをエサとするので、こちらの用意も忘れずに。

 

・ヤリイカ
12~3月 年末よりスタートするのがヤリイカをエサにしての泳がせ船。ブリはもちろん、マダイ・メダイ・イシナギ・アラなど多彩な魚が掛かってきます。日中に狙うことが多いですが、地域限定で夜間に狙う場所存在します。 日中はヤリイカ釣りと並行して泳がせ釣りを行うスタイル。いかに早くヤリイカを釣って泳がせ釣りをスタートさせるかに尽きます。 それに対し夜イカブリでは前半にヤリイカを釣って、後半にブリを狙って泳がせます。もしヤリイカが釣れなかった場合は冷凍・冷蔵ヤリイカを使うか、活ヤリイカを買い取って釣ることとなります。 活ヤリイカをエサにする船ではサバなどの魚を泳がせることを禁止しているところがほとんどです。仕掛けが胴突き式やテンビン式となります。

泳がせ専門もしくはハモノ狙いでは各船によってオモリや仕掛け形式が異なります。必ず事前に確認をとってから挑むようにしましょう。 また活きエサは鮮度が命。扱いは極力素手で触れないように注意し、こまめに生け簀へ移すなど気を使いたいところです。エサ付けも短時間で行い、海面で元気に泳ぐのを確認してから沈めましょう。

上記以外にも様々な魚がエサとなりますので色々試して特エサを見つけても面白いかもしれません。

 

ブリと対峙するタックル

メインターゲットは10キロ級のブリですが時には50キロ以上のイシナギも掛かってくるこの釣りでは、活きエサの動きが分かる繊細さと大型魚もねじ伏せるパワーが求められます。

ロッド:
この釣りの要となるのはやはりロッドでしょう。穂先はエサの動きを伝え、ターゲットの食い込みを妨げない柔軟なものが必要です。そして大型魚の引きを受け止めきれる胴がなければなりません。強度と繊細さが同居するロッドとなるのでグラス系ワンピースのものが適しています。

MPGのパワーとしなやかさが特徴のスフィンクスシリーズ。色鮮やかでアタリも見やすい!
細身ながら驚異的な強度を見せるマッドバイパー。筆者も愛用し仕留めた大物多数♪

リール:
近海泳がせで必要とされるラインキャパはPE6~8号を300メートル以上。そして鋭く重い引きをいなせるドラグが重要です。狙う水深は70~250メートルとなるのでパワーのある電動リールが適しています

 
大型モデルはパワーはもちろん糸巻き量が多いので不意のトラブルにも安心感があります。
昨今の中型モデルはパワーアアップされて大物と十分渡り合える実力を持ちます。

仕掛け作成は強度を抜かりなく

泳がせ釣りの仕掛けはヒラメ仕掛けに良く似た胴付き一本バリが多めです。地域や対象魚によって仕掛け形式が変化することも多いので必ず乗船船宿に確認しておきましょう。

ハリス:
ブリを中心とする場合は14~20号を2メートル以内。ある程度太さがあれば同時ヒットやサメの襲撃が多いときにゴリ巻きが可能です。また長すぎるとエサは幹糸を中心に動くので他乗船者とのオマツリを発生しやすくなります。

ハリ:
ヒラマサ16~20号、アジ16~18号が目安のサイズ。エサのサイズに応じてサイズを使い分けられれば理想的。カラーは銀が無難でしょう。エサが大きいためコマセ釣りの感覚で小さいものを使用すると苦戦するでしょう。
エサずれ防止に小型のケイムラビーズや夜行玉をハリのフトコロにつけておきましょう。

幹糸:
ハリス長・号数+α程度のものを使用します。一般的には16~20号前後が多いでしょう。
もしルアーや一つテンヤで用いるPRノットができるのなら、ミチイトに直接3~5メートル組めれば理想的。これはオマツリや水面付近で船下に潜られた際のダメージを軽減するためで、高強度ナイロンを用いればナチュラルクッションとしての働きも得られます。

 

的確なタナ設定でターゲットを狙おう

どんなターゲットもタナを合わせなければ釣れる確率は激減します。ブリをターゲットとした場合、通常時のタナは海底より5メートル前後。高いときで10メートル、低くとも3メートルは浮かせます。たまにエサを追いかけて中層まで浮くこともあり、そのような時はエサの反応に対して5~10メートル程下げて待ちかまえます。ブリは遊泳力がある魚なので多少タナが上下しても食わせることは可能です。また、サメ以外の掛かる魚に高級大物が多いのもこの釣りの特徴。イシナギは底から3~5メートル、ヒラメは1~3メートル、イカエサでのマダイは3~5メートルでアタリが多く感じます。

 
思わぬ大物は専門船のレコード級が釣れることも!気を抜かず挑みましょう。

船長に聞く泳がせ釣りのポイント

指示タナで活きエサを泳がせるだけに見えますが当然釣果差は出てきます。貴重なブリをしとめるにはどうすれば? 今まで船長に聞いたポイントをまとめてみました。

・ロッドが突っ込むまで持たない
30センチ程の活きエサを飲むには時間が掛かります。ブリはハリにエサが付いている限り何度もアタックを繰り返すので、じっくりと待つこと。

・送り込み厳禁
ロッドを大きく揺すり、エサを飲み込もうとしているときは不用意にテンション変化を与えてはいけません。食い込みを促そうと送り込んでは離してしまう事がほとんど。テンションが抜けるためハリ先も立ちにくくなります。またロッドを手に持つと十分な食い込みを待ちきれない人も多いようです。

・ポンピング不要
引き込みは強烈ですが顔を向けさせれば意外と巻けます。バランスのとれたタックルを用いれば、ロッド角度を保ってゴリ巻きも可能。不用意なポンピングは魚に反転の隙を与えます。ファイト時間が増加すればサメの被害やオマツリのリスクを増大させるだけです。

・予備の仕掛けは多めに
一瞬が勝負となる大型魚だけに「時合にオマツリほどき」ほどバカらしいことはありません。時間の掛かる絡みなら即切断し次の仕掛けを出しましょう。

サメによる妨害

泳がせ釣りでは必ずといって良いほど掛かるのがサメ類。せっかく手に入れたエサを潰されるばかりか、仕掛けを切られることもしばしば。大型個体は掛かった魚を横取りしすることもあります。そして切られず上がってきたとしてもハリスは鮫肌で擦られ、魚体も大きいので船上に上げることも困難です。
また1メートルほどの小型のサメは要注意! ついつい抜き上げてしまいがちですが毒棘を持つツノザメ類であることが多く、魚体をくねらせて第一・第二背鰭の大きな毒棘を刺して切り裂こうとしてきます。60メートル以浅でまざるドチザメ・ホシザメ・シロザメにパッと見が似ているので要注意です。
厄介なサメ類ですが底付近で掛かることが多く、大抵は底から3メートル以内で掛かります。あまりにもサメが掛かるようならサメが食わなくなるタナまで仕掛けを引き上げるのも一手。それでもダメなようなら専門船はほぼ移動し、便乗船でも本命魚が食害されるので大抵移動します。


100キロ以上のサメは上げるだけで一苦労…。小型のサメは毒棘に要注意!

泳がせの基本を覚えて更なる大物へ…

今回の泳がせブリは「泳がせ釣り」の範疇では中級レベルといった位置づけでしょう。ここで食い込んだ本アタリの見極めや、ロッド操作などをしっかり体得しておくと更なる大物釣りに役立ちます。できればイシナギなどが掛かり、ファイトの体力配分の感覚も掴めれば理想的です。
泳がせの上級ターゲットはマグロ・モロコ・大型カンパチ&ヒラマサといった一筋縄ではいかない超大物たちが待っています。いつかはそのような魚と闘える日を目指して、ぜひ身近な海から泳がせ釣りを始めてみてはいかがでしょうか?

 

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