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マグロを夢見るイナンバ遠征

4月末~5月上旬にかけて各地に青物の好釣果をもたらした黒潮分流。まさに釣り人にとってのゴールデンウィークと呼べるような1週間だったといえるでしょう。その中でずば抜けた釣果を出していたのがイナンバ周辺。20kg近いキハダマグロが連日上がり、船中全員釣果や複数釣り上げるアングラーも!これは行ってみるしかないでしょう!

日帰り遠征 最遠の釣り場

遠征釣りでよく聞く「イナンバ」は伊豆諸島御蔵島の南西、伊豆半島先端から110kmほど離れた海域に浮かぶ無人島です。見た目は島というより巨大な岩礁といった感じで、海水温が20℃を越えるころになるとキハダやビンチョウなどのマグロ類が回遊してきます。マグロ以外にもカンパチ、ヒラマサ、シマアジといった大型回遊魚やモロコ、ハタなどの大型根魚が狙えます。「限定近海航路許可」を取得した船舶のみが釣行でき、出港地により差がありますがルアーの平均乗船代金は25000~30000円ほどです。

イナンバのジギングタックル

連日の釣果を見てみるとマグロ類はキハダで20kg前後、ビンチョウで10kgほどと例年よりやや小振りの模様。それにヒラマサやカンパチの15kg級までが交じる可能性があります。大物釣り場のイメージが強い「イナンバ」ですがタックルは近海用を多少強くした程度です。

・ロッド
200gを中心にMAX250~300gまで扱える5.5~6.5フィートほどのウェイト負荷。ライン許容がPE5号まで使えるものが無難です。ありがちですがマグロ類が相手だからといってガチガチのヘビーロッドを用意することはNG。ジグを踊らせて魅せるアクションができないロッドではマグロが掛かることは希です。また硬くクッション性が低いと瞬発力のある引きの負荷をもろにラインに与えてしまいブレイクされかねません。ほどよく曲がる外房ヒラマサに使用されるようなロッドを用意しましょう。

・リール
アルミなどの強度と精度に優れたボディで、MAX10kg程度で滑り出しに優れたドラグを持つもの。ギア比はローギアが無難でギア比が高いと身体的負荷も高くなります。ラインキャパは4号300m以上あれば良いでしょう。リールは機械部品の集合体の為、値段が性能へダイレクトに反映されます。ですので廉価品のラインキャパを満たしているだけのリールでは太刀打ちすることは難しく、特に釣りの要となるドラグは負荷への応答性がものをいいます。アバウトではありますが有名メーカー製で定価25000円以上のモデルが無難です。

・ライン
メインラインは高強度PEラインの3~5号。水深の判断できるマーキングは必須です。そして極力ラインは新品を使いましょう。マグロ類は引きが強く魚体も重いため普段の魚なら誤魔化せる小傷もそれが原因でブレイクする現場を非常に多く見ます。高い遠征代を払って手に入れた千載一隅のチャンスを掴みに行く釣りです。常に万全の体制で挑みましょう。リーダーは50~100LBを5m以上。最後の最後に船縁で突っ込まれて船底にラインを擦ってブレイクさせないためにも多少長めが無難。オマツリも多いので意外とリーダーも傷つきます。

・メタルジグ
サンマ・サバ・イカを捕食するキハダマグロ。イナンバではセミロングタイプの200g前後、カラーはフルシルバーやピンクシルバーが定番です。慣れたアングラーはベイトの種類によってジグの形状とバランスを決め、天候・潮色・ベイトでカラーを絞り、潮流に応じてウェイトを使い分けます。日のよって当たりジグやパターンが変化するので良く釣る人のジグやジャークを見逃さないようにしましょう。意外と汎用性のあるタックルです。1セットそろえれば遠征から近海まで様ざまなジギングを楽しむことができます。

遠征は快適大型船で楽々!

今回お世話になったのは南伊豆手石のT兵衛丸。大物遠征と深海を得意とする船宿で、銭洲・イナンバ遠征でのカンパチ・ヒラマサ・シマアジや南伊豆沖ではクロマグロ・キハダマグロ。深場では新島沖トロキンメやアコウ、そして最近は50kgをゆうに越えるアブラボウズも狙っています。遠征釣りを行うだけあって船は遊漁船としては最大クラス。多少海況が悪くても揺れが少なく、ベッドも完備され釣り場までの往復はゆっくり寝てゆくことが可能。出船時間が早く、距離もやや遠い南伊豆でも、釣り場に着くまでに休むことができます。

キハダマグロに挑む

連日の好釣果も後押ししてか当日は満員御礼の2隻出し。それぞれ大型船に乗り込み1時半に手石港を出発。多少潮流の影響も受けて目指すイナンバ近海には6時過ぎに到着です。当日の海は非常に穏やか。風も無く晴れ渡り、まるで東京湾や相模湾と錯覚するほどの凪陽気。ナギ倒れにならないよう祈る限りです。事前の情報ではイカ類が多いようで、定番はワンピッチジャーク。速い変則アクションよりスローで一定なアクション方が反応が良いようで、若船長いわく「スムーズで見てて綺麗なシャクりほど食う!」とのことです。

タックルをセットし大物に備えて準備運動を行っていると、船はイナンバより潮上に停止し釣り開始となりました。「40~100mです。始めてください」とのアナウンスに一斉にジグが投入されてゆきます。流速は3.9ノット。釣りをするにはかなり速めですが船も潮流に乗せているためラインは真っ直ぐ。潮上からイナンバへと流れてゆき、近づくと潮上に戻るを繰り返しての釣りです。

私も指示ダナより10mほど多めにジグを沈めてアクションを開始。すると早くも右舷大ドモのアングラーがロッドを大きく曲げています!

エサ釣り師注目の釣法 電動ジギング

大ドモのアングラーは普段は餌釣り専門とのことで今回は青物ロッドを用いた電動ジギングに初挑戦。電動リールは中高速にセットしロッドはクランプをキーパーに接続しフォアグリップを握ってシャクるスタイル。アクションを入れるとロッドは大きくしなり、柔軟な調子はシャクリどころかルアーの自発的動きまで吸収してしまいそうです。しかしこれがよかったのでしょう。その動きは完璧なまでのストップ&ゴー。イカが水を噴射して逃げる様をリアルに演出できていたようです。
使用されていた電動リールはシマノの電動丸3000ビーストマスター。これにおそらくPE6号を300m巻いてリーダーを接続しています。これらのタックルは餌釣りで青物を狙われる多くの方が所有されいることでしょう。ルアーだからといって敬遠する必要はまったくありません。お手持ちのタックルでマグロは狙えます。

船内で繰り広げられる大物ファイト!

電動ジギングはやりとりも電動主体。適切にセットされたドラグが鋭い突っ込みをかわしてモーターがグイグイと魚体を浮かせます。マグロ類特有の大きな円を描きながら上がってきたのは本命キハダマグロ。丸まるとした20kg弱の個体です。この1本を皮切りにラッシュとまではいかないものの流しの度に続々ヒットしてきます。
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次つぎと掛かるマグロにファイトと取り込みで船内のテンションは最高潮!バタバタと船内で暴れるマグロを引きずりながら「疲れてもどんどんシャクり続けろ~!」と若船長からも激が飛びます。
ジャーク後の間で食ってくるパターンが多いものの、フォールにもバイトは出ており、糸フケに注意し一瞬の変化を見逃さないことが重要。特にスピニングタックルではバイトが見難いのでフェザーリングでジグのフォールを妨げない程度にラインを張ると効果的です。そしてそのフォールに注意していたアングラーにヒット!水深100m前後でふけたラインを見逃さずフッキングしたようです。グイグイと引き込みますが重量感は少なそうです。キメジでしょうか?
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上がってきたのは中々のサイズのメダイ。赤茶けた発色は美味しいメダイ証拠です!
この盛り上がっている状況にギャフ打ち&オマツリでやや出遅れた私にも「ズシン」とバイト!間髪入れずにアワセを2回たたき込めばまずまずのスピードでラインを20mほど引き出してゆきます。マグロなどの対大物のやり取りは取り込みまで自身の体力を温存しながら戦うことが鉄則です。相手が強くラインを引き出すようならばロッドエンドを下腹にあて、腕を伸ばして余計な力は入れずロッド・腕・身体で三角形を作るイメージで耐えます。そして引きが収まったら頭をこちらに向けさせ一定のリズムでポンピングし巻き上げます。リズムが狂わなければ隙が生じず簡単に反撃されることはないでしょう。キハダマグロは根擦れを気にする必要はありません。しっかり針掛かりしシャークアタックがなければ20kg級なら浮上させることは容易。相模湾や伊豆諸島北部を回遊をする頃に比べれば水温も低く大人しいものです。
やがて水面に浮上してきたキハダ。最後の旋回で他のアングラーのラインを拾わないよう気を付け、タイミングを合わせてギャフ打ち一発命中!引き上げられた個体は20kgには届かないも中々のサイズです。

記憶に残る特別な釣行を

興奮度満点のキハダ釣りの時間は瞬く間に過ぎ去り沖揚がりの時刻を迎えました。ファイトの達成感に酔いしれる者、無念にもブレイクされ再挑戦を誓う者など人それぞれですが、乗船したアングラーの記憶に強く残る釣行となったことでしょう。結果はキハダマグロ船中13本、平均サイズ17kg、ヒット数は20以上。その他キメジ・メダイまじりです。
遠征船は技術も運も資金もタイミングもいる釣りです。しかし乗船した釣り人にはそれ以上の大きな感動を残します。「近場で気軽に」と違う特別な釣行。遠征釣りという「お祭り」に気合いを入れて挑んでみてはいかがでしょう。

[使用タックル]
SGコースタル コンビジャーク64
ソルティガ4500
ウルトラダイニーマWX8 4号300m
シーガーFXR船20号5m
サイドスラスター200g
ファルコンZスロー180g
ツインパイク3/0

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