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今期も好調!駿河湾カツオ&キメジ

5月末ごろよりルアーでは釣果の出ていた駿河湾のカツオ。そのカツオがいよいよ本格的にコマセに口を使い始めました。更にキメジも合流し、コマセのカツオ釣りで駿河湾は大いに賑わっています。

コマセ釣り開幕

遊泳速度・動体視力にも優れたカツオは回遊初期からコマセにつくことは希です。大抵はイワシ追いから動きの鈍いシラスを食うようになり、コマセにつくようになります。駿河湾で非常に高い人気を誇る釣りもので、コマセについて釣れ始めればほとんどの船宿は満員御礼。平日でも大船団が形成されるほどです。今回お邪魔したのは田子ノ浦港。16名の釣り人を乗せて湾央部を目指し出港しました。

カツオ&キメジのタックル

高速回遊魚のカツオやキメジの引きは強烈そのもの。それなりに頑丈なタックルでなければ破損することもしばしば。しかも人気が高いので平日の船でも満船となることが多々あります。この条件で釣果を上げてゆくにはそれなりのタックルとオマツリを最小に止める技術が必要です。

ロッド
グラス系2m前後の青物ロッド。できれば強度に優れたワンピースのものが望ましいです。長すぎるものは振り回されやすく、短すぎると船底を擦られます。

リール
トルク、ドラグに優れた中型両軸リール。魚が顔を向けたら躊躇なく巻き上げることが重要なので、剛性に劣るようでは魚に良いように走られてしまいます。また不意に掛かる大型キハダマグロにも対応できるドラグが搭載されていれば、千賽一隅のチャンスも十分挑むことが可能です。

ライン
PE8号200m以上が標準となります。少しの劣化がラインブレイクに直結するので、釣行前に劣化部分はカットしておきます。ワンシーズン越したものは見た目以上に傷んでいるので新しいものを用意しましょう。太さは魚の引きよりもオマツリの劣化対策のものです。最低でも6号以上は巻いておきましょう。

仕掛け
天秤:40cm前後、ビシ:L80~100号、ハリス:フロロ20号・ナイロン24号2~3m、針:ヒラマサ14号~18号 が標準です。
頑丈さが需要。天秤曲がり、ビシ割れ、ハリス切れなどざらにおきます。多少荒い扱いにも耐えられる強度のものをロストを見越して用意しましょう。特にハリスはオマツリ等で縮れると極端に食いが落ちるので、余裕を持った数を用意し違和感を感じたら即交換が鉄則です。

移動中の留意点

出港すると予定海域到着までの航行時間がアナウンスされるので、移動中はキャビンや船上でゆっくり休んで疲れをとりましょう。そして海域到着時刻の10分程前には釣り座に戻り、コマセを詰めるなどの最終準備を進めます。回遊魚の中でも特にカツオは移動が速く、投入アナウンスと同時に投入してないようではとても追いつけません。いつでも投入できる準備をしたら船長のワッチ(群探し)に協力しましょう。また、移動途中に急に加減速する事があります。これは群の捉える予兆であることが多く、直後に加速するようならば直ぐに席へ戻り、投入準備をしておきましょう。

魚群発見!いざスタート

港を出て1時間。予定海域は石花海ですが急に船の挙動が変化しました。席へ戻り周囲を見てみると、鳥が方向性を持って飛行し、水平線の彼方にうっすらと鳥山の姿が・・・。それを発見すると船は猛然と加速!各自、コマセ・付け餌の最終確認を行い投入に備えます。
目標海域では既に船団が形成されはじめ、中には取り込みを行っている船も!素早く船団を回り込み、投入位置を探す船長。船内のテンションも急上昇!いよいよスタートです。

「どうぞ!15~20m!!」

威勢の良いアナウンスと共に各自一斉に投入します。カツオを食わせるコツは
・高密度のコマセの塊を出すように鋭く短くシャクる。
・オキアミは口に入りやすいよう一匹もしくは抱き合わせでコンパクトに刺す。

と、いったところ。コマセボールを横に並べてそれに突っ込ませるイメージです。タナへついたら鋭くコマセを2シャクリ!そしてコマセと付け餌が同調した瞬間に「クン、クン」アタリ到来♪ ガシっとアワセれば「ズドン!」と穂先が入ります。
直後に横への強引を見せる魚は本命カツオでしょう!この魚は加減速はするものの止まることはありません。オマツリを避けて素早くしとめるには「巻けるときに巻く」「ヤリトリしない」が鉄則です。一度巻き始めたらテンション・スピードを変化させずに巻き続けましょう。ポンピングも極力やめます。カツオは方向を変えようとはしますが、尾鰭を止めることはありません。隙さえ与えなければ常に頭の向きへ推進力を持つので意外に簡単に浮かせられるのです。水面へ浮上したのは4kg弱の良型!ハリスを手繰って水面に頭を出させてしまえば、もう走ることはできません。焦らず玉網に誘導し、スムーズにすくいましょう。
船内では「バタタタタ・・・」とカツオが船板を叩く心地よい音が響き、各自が隣同士で協力しあって玉網入れを完了させると、船も再び魚群を先回りすべく走りはじめました。

今度はキメジ

続いて反応を捉えて旋回すると「20~30m!どうぞ!!」とのアナウンス。このタナ指示にピンときて、30mで縦を意識しコマセをシャクり、上方から被さるに同調させると「ドスン!」とヒット! 硬めに締めたドラグを引き出し、真下へと突っ走ってゆきます。先程カツオよりも増した重量感と、やや間隔を空けて走る引きはおそらくキメジ!カツオと同様に隙を与えず巻き上げますが、当然抵抗はカツオ以上。時々ドラグを滑らせる走りをいなして浮上させます。手繰ってくると見えたのは5kg強のレギュラーサイズ。キメジは玉網を非常に嫌い、多少余力を残して上がってくるので要注意。網を海面に浸けず、旋回させてタイミングを計り、スムーズに玉網入れを決めましょう!

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魚が嫌う釣り方に注意

この日は群の密度も濃いようで、旋回し直せば高確率でアタリはでます。しかし、そんな状況でもアタリが出る人出ない人は必ず分かれるものです。どうして差が出るのでしょうか?

・雑なシャクリ
ただ振れば良いというわけではありません。振り出すコマセと付け餌が同調して効果をなします。しかし、それよりも重要なのは「ビシを暴れさせない」こと。コマセ釣りの大半の対象魚はコマセカゴ=ビシが左右に揺れることを大変嫌います。特にカツオ・キメジは顕著です。ビシをシャクる時は「頂点で制止」が鉄則。ビシが上方への推進力を持った状態で緩める(ロッドを下げる)と、ビシは首を振って魚は散ります。コマセが同調しないだけなら魚とのコンタクトは低確率なだけですが、短ハリスで魚がビシから逃げれば掛かることは希です。

・短ハリスの落とし穴
初心者ほど陥りやすい失敗が短ハリスの扱い。コマセが同調しやすく、魚が掛かってから取り込みが楽なのが利点ですが、ロッドの動きがダイレクトに付けエサへと表れます。これにより挙動が安定せず、食いが落ちることがあります。しかし、それよりも魚が食わないパターンにハマるのが「付けエサにビシをぶつける」こと。これは初心者ほど陥りやすく、釣れていないと周りから「コマセをシャクれ!」と指示が飛び、同じタナでコマセをまこうとビシを落とします。これによって馴染みかけたハリにビシを落下させてしまい、魚が食う間ができず通過されてしまうのです。

この2点は駿河湾・相模湾問わずカツオ釣りで良く見ます。特に初心者を連れて行く際はこのような事にハマらないよう注意して上げて下さい。

魚を食わせるポイント

では逆に他に差を付ける、更に食わせるコツはあるのでしょうか? 船長や常連さんの話しを参考に様々な釣り場で試し、効果を得た方法を紹介しましょう。

・魚に的をつけさせる
魚へのアピールで非常に効果的なのが「紫外線発光」と私は考えています。最近流行しており太陽光の紫外線を受けて淡く光ります。これを付けエサに用いたり、ビーズで使用すると魚へアピールします。
過去に2時間近く沈まないカツオの大ナブラに遭遇した際、水面でコマセオキアミと紫外線加工オキアミを同じ箇所にまく実験を行ったところ、真っ先に紫外線加工を狙って残りのコマセを食いました。数度、試しても同じ結果でしたので効果は確実と思われます。

・重量を打ち消す
カツオ用に使われるハリは頑強な太軸使用。管付針も多く重量は総じて重めです。これがオキアミコマセと共に沈めば、確実に沈降速度が速くなります。遊泳速度の速いカツオは動体視力に優れています。少しでも違和感を感じれば食いは落ちてしまいます。
そこで有効なのがフロートビーズ。近年ではマダイ釣りなどで注目されましたが、ハリの重いカツオではその効果は大きく、違和感を減らして食い気を助長します。おすすめは東邦産業の「蛍ムラソフト」。フロート効果と紫外線アピールが同時に行える優れものです。

・特船オキアミ
サバやソウダが多い際の必須アイテム。状況に応じた使い分けやコンビネーションで釣果をもたらします。一般的にカツオには「赤手」、キメジには「蛍ムラ」が効くとされますが、カラーカスタムも非常に有効です。たとえば「蛍ムラ+ピンク塗り」ならカツオ・キメジのオールラウンダー。小魚追いなら「蛍ムラ+ブルー塗り」などと、より特化させることが可能となります。詳しくは前回の「特船オキアミカスタム」をご覧下さい。

・魚種を見極め狙い分ける
両方の反応が出ているからといって単純にタナをあわせただけでは掛かる確率は高くありません。カツオとキメジではエサの追い方に違いがあります。私自身や船長&常連さんのお話や自身の経験を統合すると「カツオは横」「キメジは縦」にエサを追ってくるようです。ですのでカツオは「塊状に」、キメジは「帯状に」まいて、付けエサへのコマセの道を作るようにシャクりましょう。

他船情報も活用

魚の活性は高いようで、移動は群の回り込みのみで船中にどんどんカツオやキメジが取り込まれて行きます。開始1時間ほどで乗船者全員のクーラーに魚は入り、各自追釣すべく頑張ってコマセをシャクっています。この日はカツオとキメジの割合は3:2とかなりキメジが多い日で、狙えば簡単にキメジを掛けられるほど。それでも混成なのか単一の群なのか判断が重要です。
群の進行先へ回り込むときに他船を追い越す際に、可能な限り指示ダナと玉網入れしている魚種を確認しましょう。そして自船が投入した後に、追い越して投入する船の指示タナが最終的な決め手。追い越した船は仕掛けが沈みきるころに船下を通過する反応を指示するので、言った直後が自船の通過タナになります。カツオやキメジは一定のタナを泳ぐわけではないので、様ざまな情報を聞き取ってリアルタイムでタナを調整すれば自ずと釣果も延びて行きます。迷ったときは船長の指示するタナにあわせましょう。

大型も合流!今後も期待大

群が多少バラケることはあっても終日食い続けたこの日は船中全員釣果を早々達成し、竿頭で12本のカツオ・キメジをしとめました。筆者も先述の方法で狙い、カツオ6本とキメジ4本と満足の行く釣果となりました。釣行後も好調な状態は続き、後に大型の7kg級のカツオも合流。キメジも日毎に成長し、カツオ・キメジ共に7kg級まで出る非常に熱い状況です。
駿河湾は思った以上に近い釣り場です。首都圏から足を延ばして出かけてみてはいかがでしょう?

[タックル]
ロッド:BJSバンディットライト深場165H+B
リール:アンバサダーBG9000
ライン:ウルトラダイニーマ8号250m
仕掛け:カモシ天秤・カモシライン・ハリス20号3m(フロロ)
ステン缶L100号・ヒラマサ針16号

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