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‘釣行レポート’ カテゴリーのアーカイブ

闇夜の怪魚バトル

2011/07/14

ここ数年、近海で大型回遊魚の釣果が上昇してきたように感じます。伊豆南沖のクロマグロ、相模湾のキハダマグロとブリ、外房の大型ヒラマサ。皆様の記憶にも新しいことと思います。

しかし、これらの大型魚を何の対策もなく仕留めることは至難の業。理論は勉強できても技術は経験から覚えるものです。そんな、大型魚との闘いを気軽に経験できる釣りがあります。

闇夜の深海巨魚

ターゲットとなるのはバラムツやアブラソコムツ。日中は水深400~1000mの深海に生息する深海魚ですが、浮き袋を持たない彼らは夜間にサバやイカなどのエサを求めて100m以浅まで現れます。そのサイズは大きく、全長2m近くまで成長し、重量は50kg近くに達します。そして特にアブラソコムツのシルエットはマグロに酷似しているためか、高い遊泳力を誇ります。
バラムツやアブラソコムツは温暖な海域であれば世界中に分布しているといわれますが、やはりエサの多い所ほど生息数は多いようです。関東周辺では東京湾、相模湾、駿河湾のいずれにも生息し、その中でも複雑な海底地形と深い水深の駿河湾は格好の住処となっています。
釣りとしてはローカルな対象魚であり、深海釣りでは周年掛かる邪魔物扱い。そのためいつでも釣れるように思われがちですがシーズンは5~12月。前半はアブラソコムツ、後半はバラムツが多めです。水温の上昇する夏期は入れ食いの数釣りが楽しめ、年末ごろには日本記録が狙える超大型が掛かってきます。
また釣行予定を立てるのなら月齢も気にしたいところです。夜間に浅海へ浮上し補食活動をする魚ですが、月明かりによって泳層が変化します。これはエサの遊泳層が変化するためで、明るい時ほど浅く、暗いときほど深くなる傾向が見られます。

タックルの強度を試す

大型魚だけに釣ることを最優先するならばタックルは頑丈なものを選べばよいのですが、より楽しむため、そしてマグロやヒラマサとの大物バトルを想定した練習とした場合、普段、青物狙いで使っているタックルをそのままお使うことをおすすめします。

そうすればタックル強度、ドラグ強弱の感覚、ファイトのスタミナ配分、魚のコントロールなど大型魚を仕留める上で重要な技術を体感することができるでしょう。
タックルに求める最低限の条件は「道糸:PEライン250m以上」。中には技術向上のためにシーバスジギングタックルで挑む強者も!いずれ夢の大型魚と対峙できるようタックルやノットなど様ざまな強度テストを行いましょう。

エサ付きメタルジグで狙う

深場釣りでは胴付仕掛けに掛かるバラムツやアブラソコムツですが、専門に狙う駿河湾ではエサとルアーが融合したスタイル。
300gのメタルジグのリアに大型フックを繋ぎ、そこへ切り身エサを装着します。エサはサンマやサバなどを薄く大きめにカットし、水中でヒラヒラとアピールするように付けると良いでしょう。もし手に入るようならばカツオのハラモがエサ持ち、食い共に良好で特エサとなります。
夜間に狙うだけあって「光」と「臭い」が重要な要素となり、メタルジグは夜光タイプ、切り身エサも旨味調味料などで臭いと味を強化すればアタリが増えます。
また水中ライトも有効なアイテム。最近はLEDの軽量タイプが多く発売されており、装着すれば確実にアタリは増えます。船長は「赤」がおすすめ、私の経験では「白」も有効です。発光パターンは止めて狙うなら「遅い点滅」、動かして狙うなら「速い点滅」が有効と感じられます。

夜の大物を求めて

お世話になったのは清水のD丸。ルアー系の釣りを得意とする船宿でカツオやシイラのキャスティングから、ハタ類やブリ系のジギングで人気があります。特に流行のスロージギングは得意のようです。もちろんバラムツ・アブラソコムツも実績が高く、回遊コースを的確に予測し釣らせてくれます。今回は日没が遅いこともあり18時30分の出船。急深の駿河湾は20分ほどで700m近い水深のポイントに到着します。
「やってみて。まだ明るいから150~200mぐらいをバラバラに探って」とのアナウンスに各人160、180、200mとやや深めの230mで振り分けてスタートしました。潮流はやや速めでラインは緩やかに斜めへ入っていきます。
タナについてからの釣り方は比較的簡単。バラムツやアブラソコムツは静止もしくは速い動作に反応がよく、動かさないか速く動かすか、または組み合わせてアピールしていきます。低速巻き上げなどの中途半端な誘いは反応が悪いようです。
アタリの出方は2パターン。静止状態ではコツコツとヒラメのような魚信、速巻き状態ではガツンと力強い魚信がやってきます。
タナを探り始めて約20分。まだ僅かに明るいのが良くないのか、コツコツと前アタリは出ても単発で消えてしまいます。微妙な停滞感が漂う船内。しかし、その状況を打ち破る、強いアタリが到来しました!
この魚の合わせは強烈に決めることが重要。大型魚の口を太軸大針で貫くべく

「全力で三回叩き込めっ!!!」

とマイクで船長から檄が飛びます。これでガッチリ掛かれば大物とのファイトが始まります。巻き上げで重要なのは「一定のテンションを保つ」こと。ポンピングでの引き上げが基本で、リールを巻くときもロッドのテンションをフリーにせず、常に魚へプレッシャーをかけて反転する隙を与えないことが重要です。

最後の抵抗は強烈

掛かってすぐは激しく抵抗するも、意外と素直に表層まで上がってきました。しかし、この魚の本気はここからです。水中での点滅光には寄ってきますが、光源が大きく常時点灯している船の明かりは好きではないようで、船下に来てからが抵抗が最も激しくなります。中には海面をテールウォークに近い逃げ方をする個体もいるほどです。
このときも残り15mのところでラインが横に走り出しました。本当の勝負が始まります!明らかに速度の増した突っ込み、急な方向転換で釣り人を翻弄。船に寄せてからも急に船下を通過して逆舷に走ったりと抵抗を見せます。
何とか押さえ込んで引き上げた個体は15kg程のレギュラーサイズ。そしてこの1尾を皮切りに活性が一気に高まりました。

ベイトについて高活性に!

闇夜にポツリと浮かぶ船の光源に寄せられ、水深40~60mにベイト反応が多く映り始めました。暗い海の中でエサとなる魚が密集しているのをバラムツやアブラソコムツが逃すはずがありません。闇の中から突然襲いかかり闇に消えてゆくのが彼らの捕食スタイル。船から漏れる光の中を下りるジグは格好のターゲットになります。
スルスルと出ていくラインが急に止まればフォールでのバイトです。すかさず糸フケを巻き取り、ガツンと合わせましょう。この手のバイトが増えるとジグを飲まれるリスクが高まります。意外と鋭い歯を持つので、飲まれてパワーファイとなるとラインブレイクされかねません。
ベイトの層では掛かるサイズは15kgまでがほとんど。中、小型ほど浮く傾向にあり、パターンに入った人は面白いように掛けていきます。しかし、この魚を狙うのなら数よりもサイズ。ベイトの層の下で悠然と泳ぐ大型を掛けてこそ、真のファイトが楽しめます。

大型はさらに下へ潜む

ベイトの層より30m程下の水深100m。アタリは確実に減りますが、狙うは大型です。通常よりも多めにエサ付けしたメタルジグでタナを探っていると「コツ、コツ」と小さいシグナルがやってきました。アタリは小さいほど大型であることが多く、外道でもない限り大型でしょう。慎重に食い込ませ、アタリが増幅されたタイミングで渾身の合わせ!するとロッドにテンションが強く加わり、一気にラインが20m近く引き出されました。しっかり掛かったようです。
良型であればタックル強度とファイト方法の両方が試せます。 今回は70kgまでのマグロを見据えたタックル。大きく曲げてロッドのカーブを見ながら、体感的に限界値を探ることができます。
そして魚の顔を向けたら速攻の練習。ライン限界のハイプレッシャーで抵抗の隙を与えず一気に巻き上げを試みます。これは荒根のヒラマサや、マグロでサメがいるときに使う技術です。取り込み時間とドラグテンションに自身の体力がどれだけ耐つのか、限界を計っておけば本命魚との勝負の際に仕掛けるタイミングを見誤ることも減ります。
このように様ざまな練習ができるのが、この釣りの魅力。速攻を150mからしかけ、5分弱で船下までリフト。しかし最後の抵抗前に体力が尽きたため、ここから10分以上グダグダのファイトに・・・。それでも当日最大の30kg弱をゲット。体力配分の重要性を改めて感じさせてくれた1尾でした。

手軽に挑める大物の魅力

体力が尽きたので一休み。その間にも目の前で次つぎとロッドが絞り込まれ、続ぞくとアブラソコムツが浮上してきます。「今日はサットウ(アブラソコムツ)ばかりだな~♪」と入れ食い状態に船長も上機嫌。このまま終了の22時半まで食い続きました。
今回はバラムツこそ出なかったものの、アブラソコムツは高活性。こんなファイトが夕方から出船して夕涼みがてら楽しめるのです。釣り場が近い清水なら、料金も夜アナゴや夜メバルとさほど変わらない7500円(4名~)で乗船可能です。
気軽な大物ファイトを楽しむもよし、大型魚に備えて技術の練習をするもよし。

本気で魚と「闘える」釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょう?

[タックル]
ロッド:ソルティガドラドCB77S
リール:ソルティガ5000
ライン:PE5号300m+100LB3m
ルアー:メタルジグ300g+管付ムロ40

駿河湾ルアーカツオ船スタート!

2011/06/13

黒潮の使者、カツオは遊泳速度が非常に速いのが特徴で、掛かってからのパワフルで鋭いな引きでルアー・エサ釣り問わず人気のターゲットです。今年も黒潮の分流が関東沿岸に流入し各地で水温が上昇するとともに、遊漁船で狙えるエリアに姿を現しました。

北上する初鰹を狙う!

毎年南から黒潮に乗って北上し、水温が低下してくると南下する季節回遊をおこなうカツオ。関東近郊では初夏までを「初鰹」または「のぼりガツオ」、秋頃を「戻り鰹」と呼ばれ、食卓でも馴染み深いと思います。北上中の群れは通過も速く、釣れる期間は短いことがほとんどです。この時期はコマセに付くことはまれで、ルアーでのナブラ討ちがメインとなります。
ロッド:7ft前後のキャスティングロッド、ウェイトMAX60g前後のもの
リール:ドラグ性能に優れた中型スピニング。できればハイギア仕様
ライン:PE2~4号150m以上、リーダー40~50LB前後1.5m程
ルアー:30~50gまでの小型メタルジグ。10cm以内のジグミノーも有効
ルアーで狙う際はメタルジグのキャスティングが中心。タックルはシイラ系のPEタックルがベスト。あまりパワーがあり過ぎると、軽いルアーが扱い難いばかりかカツオが口切れを起こしバラシてしまいます。表層で跳ねる群れを探し出し、合図が出たら正確なキャストと高速横引きで狙っていきましょう。

田子ノ浦より出船!いざカツオのいる海へ

カツオ回遊の情報は駿河湾・相模湾共にありましたが、今回は釣行予定日が台風直後ということもあり出船可能な駿河湾へ。東名富士ICよりほど近い田子ノ浦のH丸にお邪魔しました。ここの船長のルアーカツオ操船はアングラー間で「駿河湾一」とも言われるほど。ナブラ発見から回り込み、そして先読みまで高い技術でアングラーをサポートしてくれます。ここ最近は釣れていることもあってシケ後ながら12名のアングラーが乗船。明け方と共にカツオ探しのクルージングが始まります。
カツオは遊泳速度の速い魚。大型の構造物や生物に着くこともありますが、基本的にエサを求めて回遊しています。このカツオを魚探やソナーだけで探しきるのは難しく、今も昔も船長や乗船者の目が頼りとなります。ルアー・エサ問わずカツオ船に乗船したら是非「ワッチ」に協力しましょう。鳥の動きや海面の変化に目を凝らし、異常や兆候を感じ取ったら船長やベテランアングラーへ報告。全員で協力すれば協力するほどカツオへ近づける確率が上がる大切な作業です。

群れ遭遇!進行方向を見極めよう

港周辺は薄緑の潮色も大瀬崎付近まで下ってくると潮色も変わってきました。透明度の高い澄んだ青色の潮こそカツオの潮。ここからワッチも力が入ります。それまで吹いていた風も弱まり、海面も見やすくなってきました。鳥も時折何かに反応する素振りを見せ、そろそろ出そうな感じです…。船速を落としながらゆっくりと航行する船。するとそれまで疎らに飛んでいた海鳥が一箇所にめがけて飛び始めました。いよいよカツオが跳ね始めたのでしょうか!?
鳥の集まる所へ全速で向かうH丸。各アングラーもいつでもキャストできるよう、指にラインを掛けて臨戦態勢。鳥の動きから方向を見極め徐々に減速し、魚へのプレッシャーを抑えながら先回りしてゆきます。そしてカツオが集まり海面がザワつき跳ね始めると、合図と共に一斉にキャストが開始されます。
この船では舳先の人は正面、両舷の人は前方斜め45度に投げるのがルール。オーバースローもOKですが、届くのならアンダースローが無難です。そして表層を高速トゥイッチで狙い、「追われて逃げ惑うイワシ」を演出しましょう。移動の速い群れでは、あまり沈めていると群れが通り過ぎてしまうので要注意。コマセ釣りと同乗の場合はコマセで群れも沈みますが、浮いた魚は表層勝負が効率的です。
やっと捉えた群れを乗船者全員でガンガンキャストしますが、このナブラは舳先のアングラーが2本ゲットしたのみで沈黙。鳥の進行方向を読んで巧みにバイトさせたようです。
この後もぽつぽつとナブラに遭遇するもポツポツとヒットする程度の単発ばかり。群れの移動も速く水面にイワシのウロコもほとんど散ってないことからベイトが少ないのかもしれません。

時合到来!手返しで数を伸ばそう

出船より数時間。日もだいぶ高くなりクルージングが長くなりはじめたころ、遂に密度の濃い鳥山が出現しました!船長もアングラーもチャンス到来とばかりにテンションが上がります。鳥を読んで船は進行方向を先回り。後はカツオが跳ねだすタイミングを待つばかりです。鳥山よりやや離れて様子を見ていると徐々に収束を開始。そして海面がザワつきカツオの姿が現れました。
このナブラは活性も高く、次々にアングラーのロッドが絞り込まれます。そして私のロッドにもヒット! 一気にラインが走る引きは速度感満点。油断すれば右に左にと縦横無人に走り回ります。カツオのファイトは主導権を魚に渡さないことが重要。緩めると一気に走ってしまうので、良型でなければポンピングせず巻きましょう。下手にポンピングすると暴れるばかりか口切れを誘発させバラシのリスクが増します。そして海面に見えてきたらネットマンと息を合わせて旋回するカツオをすくいましょう。
次つぎと取り込まれるカツオ。型は2kg弱ながらも鋭い引きで楽しませてくれます。手返しのよいアングラーは立て続けに取り込んで数をのばし、ビギナーはその引きの速さと強さに戸惑いながらも必死に釣り上げてゆきます。

厄介なシラスパターン

しかし、どんなに高活性の群れも次第に活性も落ちてくるものです。依然表層でバシャバシャと姿は見えるも、先程までのルアーへの反応がなくなり一向に掛かってきません…。アングラーが手を変え品を変え攻める中、ポツリと「シラス食ってんな…」と船長。どうやら攻略の難しいシラスパターンに入ってしまったようです。
シラスとは主にカタクチイワシの稚魚で、サイズは1~3cm。細く小さく遊泳速度は遅めです。カツオが海面で補食動作を見せながらも移動が遅く、それでいてルアーへの反応が鈍いときはに多いパターンです。マッチ・ザ・ベイトが非常に難しく「シラスサイズの小さいルアーを、船のプレッシャーを与えない距離まで飛ばし、移動距離を抑えてゆっくり動かす」必要があります。言葉にすると簡単そうですが、自重・沈下速度・飛距離は相反する要素も多いためアングラーは苦労を強いられます。このとき有効な攻略法として、

・バケフックの装着
メタルジグに付けるアシストフックにサビキバリのような魚皮が装着されているため、フックそのものがシラスに見えるといった代物です。サイズも豊富で有効な魚種も多いので始めから取り付けておいてもよいでしょう。

・プラグで攻略
また、シイラやシーバスで用いられる小型ペンシルプラグも、シラスパターン攻略には有効です。特にフローティングタイプは水面で小刻みにドッグウォークさせることで移動距離を抑えながら長くアピールできます。
とはいえ最大の問題は飛距離。フローティングなら斜めや縦に浮くので、カツオからは小さく見えますが、シンキングはどうしてもシルエットが大きくなりがち。最近はそれを打破すべくほとんど透明で一部のみ彩色されたモデルも作られています。

なりふり構わなければ陸っぱりで用いられるカブラの付いたブリッジ仕掛けが非常に強力です。しかし、ルアー船である以上、ルアーで釣る趣を大切にしたいところです。

盛期はこれから!

各自の工夫でその後もポツポツとカツオを追加。基本のジグだけでなくバリエーション豊かにルアーを持ってきたアングラーほど、釣果は良かったように思われました。駿河湾・相模湾に入ってきたカツオは間もなくキメジも合流し、しばらくはルアー中心で楽しむことができます。これから暑い夏が近づいてきますがクルージングが基本となるカツオ船は、涼しい海風を受けながら群を探すので意外に快適。そして一度群に遭遇すれば熱い釣りが待っています。黒潮の使者、スピード感溢れるカツオ。回遊魚は情報が入ったら即釣行が鉄則。これから訪れるハイシーズンに是非狙ってみてはいかがでしょう。

[タックル]
ランバラル76
ステラSW6000HG
PE3号300m・リーダー50LB2m
スキルジグLC35g など

黒いダイヤを追う

2011/06/10

強烈な引き味、なかなか掛からない気難しさ、そして抜群の食味。釣りはもちろん、日本のあらゆる魚のなかで最高の評価を得ている「クロマグロ」。海水温の上昇にともなって、今年も伊豆南沖で釣果が上がり始めました。

黒いダイヤと称される魚

マグロの王様「クロマグロ」。最大300kg級に成長し、黒いダイヤの異名を持つ高級魚です。成長も非常に早く、晩夏に相模湾・駿河湾で釣れる500g前後の幼魚は湾から離れる冬には4kg強まで成長するほどです。一般的な釣り人が狙えるサイズは100kg未満まで。それ以上のサイズは釣り場もタックルも限定され釣獲率も非常に低くなります。

餌釣りのクロマグロタックル

サイズ幅がありすぎてタックルの地域差が非常に大きいのもクロマグロ釣りの特徴。今回狙う海域「伊豆南沖」では最大サイズ80kg級までを想定したタックルとなります。

・ロッド
キンメダイやアコウダイ、アブラボウズを想定した深場竿や、遠征大型青物や大型ハタ類狙い用の2m前後のワンピースロッド。最大許容ハリス60号、ガチガチで硬い棒のような竿でなく、強烈な引きにしなやかに追従するグラス系素材のものが適します。

・リール
最低糸巻き量PE10号500m、最大ドラグ力15kg以上のものなら電動でも手巻きでもOK。マグロ類は力も強くスピードも速く、リールに掛かる負荷は想像以上。大きな負荷に耐えられる耐久性も重要です。

・ライン
道糸は高強度PEライン10~16号500m以上。流した距離がわかる色分けされた物が便利です。ハリスは50~60号を10m。比重があり光の屈折率が水に近く、擦れにも強いフロロカーボンがおすすめですが、ナイロンラインでも大丈夫です。道糸とハリスはPRノットなどの強度に優れた結びで直結します。

・フック
船宿でもいまだベストなハリは断言できないそうですが、ハリ先のややネムった泳がせ系のハリが無難だそうです。サイズはGTー25なら7/0、スーパームツなら24号。あまり大きすぎるとエサのサバの泳ぎが悪く、小さすぎるとマグロに飲まれて切られてしまいます。いかに口に掛けるかがポイントとなります。

南伊豆の遠征大型船で狙う

パワー・スピードを兼ね備えた大型魚クロマグロ。今回この魚を狙いに訪れたのは手石のT兵衛丸。銭洲・イナンバといった遠征大物や深場釣りを得意とし、昨年は伊豆南沖のクロマグロでも数々の大物をしとめています。さらにクロマグロの船宿記録は黒瀬沖で上がった280kg級と実績もバッチリ! 釣行数日前にも50kg級2本・40kg級1本・25kg級1本をしとめており期待がもてます。
集合時間は午前3時。活きエサのマグロ釣りは近場でエサとなるサバ釣りを行い、その後マグロ釣り場に移動し開始となります。今回大型マグロを夢見て集まった釣り人は4名。大型遠征船に乗り込み、釣り場まではベットでぐっすり眠りながら向かうことができます。

餌のサバは手返し勝負

出港より約1時間。サバ釣り場へ到着です。ここで手返しよくサバを釣り上げなければマグロ釣りの時間にも影響を及ぼしてしまいます。
サバ釣りはフラッシャーサビキにて狙うスタイル。150号オモリをつけて船長の告げる指示ダナに下ろします。できるだけ1回の投入で数を稼がねばなりません。治具に巻かれたサビキをパラパラと落として行くと先に投入した常連氏より「50mで止まった!」とのアドバイス。見ると穂先がガタガタと震え、サバの反応を捉えたようです。私の仕掛けもタナに入るとすぐにアタリを捉えました。アタリが出たらゆっくり巻き上げを開始し、暴れる魚でサビキを踊らせ次つぎと追い食いをさせます。船では若船長が助手として手伝ってくれるので長仕掛けでも取り込みは非常に楽!船ベリもマグネットが装備されており糸絡みを軽減し手返しを向上させます。次つぎと掛かってくるサバを釣り続け、30分ほどでイケスの容量を満たせました。いよいよマグロ釣りです。

フカセ釣りでマグロを狙う

サバ釣り場からさらに1時間。海水温は20℃。やや強い北東風ながら海上には多くの鳥が方向性を持って飛んでおり期待できそうです。船が反応を捉えると投入の合図が出されました。
生きサバエサのマグロ釣りはフカセの横流しスタイル。トモより順に投入し、少しづつ投入点をずらしながら船側面に風を受けて糸を伸ばしてゆきます。基本は表層狙いとなりマグロが跳ねているようならチャンスです。スルスルと引き出される道糸。出す距離は100~150mである程度道糸が出たらドラグをやや緩めにセットし音響クラッチのあるモデルならそれを入れてアタリを待ちます。無くても穂先を見ていればOKです。

沈む反応を狙い打つ

大きくウネっていた海も2、3流しすると徐々に落ち着いてきました。ここまでマグロのアタリ無し・・・。しかし魚探へは水深40~50mポツポツと反応が映っているようです。
この状況に対応すべく若船長より教えて頂いたのがオモリの装着。通常フカセ釣りでは何もつけずにフリーで流すのが一般的ですが、反応が沈んでいる状況ではアタリを拾うことはできません。かといって胴付き仕掛けにするとエサの動きが悪くなるのかアタリが減ってしまいます。そこでフカセの利点を活かしつつオモリを装着する方法として船宿が推奨しているのは輪ゴムや紐で道糸にオモリを取り付ける方法。これならば長いハリスの好きな場所に錘を装着でき、マグロがヒットしてからはオモリをつけたゴムを簡単に切断できるのでファイトにも影響が少ないとか。号数は40~60号の胴付きオモリ。反応の沈み方によって号数を選択するそうです。さっそくオモリを付けて流し始めるとミヨシの釣り人のラインが音を立てリールより引き出されてゆきます! すかさずアワセを入れてファイト開始。竿の曲がりからやや軽めに見えますが・・・。

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上がってきたのは6kg級のまずまずのワラサ。この時期のブリは産卵期にあたり、食い気がたって補食は積極的。大きなサバエサも丸飲みしてくるほどです。

マグロの活性上昇

ワラサが取り込まれにわかに活気づく船上。魚を目にすればやる気が沸いてくるのは釣り人の性ともいえるでしょう。そしてワラサを魚槽へ入れにいった若船長のリールがけたたましいクリック音をたててラインが引き出されはじめました!そのスピードを見るに本命クロマグロでしょう。急いでタックルへと戻り合わせを入れる若船長。しかし無情にもスッポ抜け・・・。もう少し早くタックルに戻れていれば結果は変わったかもしれませんが仕方ありません。ちなみにこのアタリはオモリなしの表層流しとのこと。マグロの活性が上がってきたのでしょうか?
すると今度は大ドモで竿を出していた常連氏の竿が海面に突き刺さりました!この竿は胴付き型の泳がせ仕掛けを流していたものです。「ヒラマサ?、ブリ?、マグロ?」と若船長も問いかけながらファイトが始まりました。

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浮上したのは20kg級の本命クロマグロ!意外に走らなかったことと、胴付き泳がせ仕掛けに掛かったので浮上するまで正体不明もという珍事もありましたが中々のサイズです。

マグロは夢を追う釣り

しかしその後はぱったりとアタリも止まり、風向きもコロコロ変わってオマツリばかりに・・・。顔を見れたらよい魚なので船内に釣果があるだけよかったのでしょう。今回はボウズにて沖揚がりとなりましたが、後日他船で一人で3本のクロマグロを獲った情報も入ったことから依然チャンスには変わりないようです。さらに水温上昇にともない同海域にキハダマグロも入ってきた模様。昨年の大フィーバーが今年も訪れるかもしれません。

[タックル]
ディープスナイパー 250-210
CXー9HP
PE12号1400m
ナイロン50号10m
GT-25 7/0

マグロを夢見るイナンバ遠征

2011/05/27

4月末~5月上旬にかけて各地に青物の好釣果をもたらした黒潮分流。まさに釣り人にとってのゴールデンウィークと呼べるような1週間だったといえるでしょう。その中でずば抜けた釣果を出していたのがイナンバ周辺。20kg近いキハダマグロが連日上がり、船中全員釣果や複数釣り上げるアングラーも!これは行ってみるしかないでしょう!

日帰り遠征 最遠の釣り場

遠征釣りでよく聞く「イナンバ」は伊豆諸島御蔵島の南西、伊豆半島先端から110kmほど離れた海域に浮かぶ無人島です。見た目は島というより巨大な岩礁といった感じで、海水温が20℃を越えるころになるとキハダやビンチョウなどのマグロ類が回遊してきます。マグロ以外にもカンパチ、ヒラマサ、シマアジといった大型回遊魚やモロコ、ハタなどの大型根魚が狙えます。「限定近海航路許可」を取得した船舶のみが釣行でき、出港地により差がありますがルアーの平均乗船代金は25000~30000円ほどです。

イナンバのジギングタックル

連日の釣果を見てみるとマグロ類はキハダで20kg前後、ビンチョウで10kgほどと例年よりやや小振りの模様。それにヒラマサやカンパチの15kg級までが交じる可能性があります。大物釣り場のイメージが強い「イナンバ」ですがタックルは近海用を多少強くした程度です。

・ロッド
200gを中心にMAX250~300gまで扱える5.5~6.5フィートほどのウェイト負荷。ライン許容がPE5号まで使えるものが無難です。ありがちですがマグロ類が相手だからといってガチガチのヘビーロッドを用意することはNG。ジグを踊らせて魅せるアクションができないロッドではマグロが掛かることは希です。また硬くクッション性が低いと瞬発力のある引きの負荷をもろにラインに与えてしまいブレイクされかねません。ほどよく曲がる外房ヒラマサに使用されるようなロッドを用意しましょう。

・リール
アルミなどの強度と精度に優れたボディで、MAX10kg程度で滑り出しに優れたドラグを持つもの。ギア比はローギアが無難でギア比が高いと身体的負荷も高くなります。ラインキャパは4号300m以上あれば良いでしょう。リールは機械部品の集合体の為、値段が性能へダイレクトに反映されます。ですので廉価品のラインキャパを満たしているだけのリールでは太刀打ちすることは難しく、特に釣りの要となるドラグは負荷への応答性がものをいいます。アバウトではありますが有名メーカー製で定価25000円以上のモデルが無難です。

・ライン
メインラインは高強度PEラインの3~5号。水深の判断できるマーキングは必須です。そして極力ラインは新品を使いましょう。マグロ類は引きが強く魚体も重いため普段の魚なら誤魔化せる小傷もそれが原因でブレイクする現場を非常に多く見ます。高い遠征代を払って手に入れた千載一隅のチャンスを掴みに行く釣りです。常に万全の体制で挑みましょう。リーダーは50~100LBを5m以上。最後の最後に船縁で突っ込まれて船底にラインを擦ってブレイクさせないためにも多少長めが無難。オマツリも多いので意外とリーダーも傷つきます。

・メタルジグ
サンマ・サバ・イカを捕食するキハダマグロ。イナンバではセミロングタイプの200g前後、カラーはフルシルバーやピンクシルバーが定番です。慣れたアングラーはベイトの種類によってジグの形状とバランスを決め、天候・潮色・ベイトでカラーを絞り、潮流に応じてウェイトを使い分けます。日のよって当たりジグやパターンが変化するので良く釣る人のジグやジャークを見逃さないようにしましょう。意外と汎用性のあるタックルです。1セットそろえれば遠征から近海まで様ざまなジギングを楽しむことができます。

遠征は快適大型船で楽々!

今回お世話になったのは南伊豆手石のT兵衛丸。大物遠征と深海を得意とする船宿で、銭洲・イナンバ遠征でのカンパチ・ヒラマサ・シマアジや南伊豆沖ではクロマグロ・キハダマグロ。深場では新島沖トロキンメやアコウ、そして最近は50kgをゆうに越えるアブラボウズも狙っています。遠征釣りを行うだけあって船は遊漁船としては最大クラス。多少海況が悪くても揺れが少なく、ベッドも完備され釣り場までの往復はゆっくり寝てゆくことが可能。出船時間が早く、距離もやや遠い南伊豆でも、釣り場に着くまでに休むことができます。

キハダマグロに挑む

連日の好釣果も後押ししてか当日は満員御礼の2隻出し。それぞれ大型船に乗り込み1時半に手石港を出発。多少潮流の影響も受けて目指すイナンバ近海には6時過ぎに到着です。当日の海は非常に穏やか。風も無く晴れ渡り、まるで東京湾や相模湾と錯覚するほどの凪陽気。ナギ倒れにならないよう祈る限りです。事前の情報ではイカ類が多いようで、定番はワンピッチジャーク。速い変則アクションよりスローで一定なアクション方が反応が良いようで、若船長いわく「スムーズで見てて綺麗なシャクりほど食う!」とのことです。

タックルをセットし大物に備えて準備運動を行っていると、船はイナンバより潮上に停止し釣り開始となりました。「40~100mです。始めてください」とのアナウンスに一斉にジグが投入されてゆきます。流速は3.9ノット。釣りをするにはかなり速めですが船も潮流に乗せているためラインは真っ直ぐ。潮上からイナンバへと流れてゆき、近づくと潮上に戻るを繰り返しての釣りです。

私も指示ダナより10mほど多めにジグを沈めてアクションを開始。すると早くも右舷大ドモのアングラーがロッドを大きく曲げています!

エサ釣り師注目の釣法 電動ジギング

大ドモのアングラーは普段は餌釣り専門とのことで今回は青物ロッドを用いた電動ジギングに初挑戦。電動リールは中高速にセットしロッドはクランプをキーパーに接続しフォアグリップを握ってシャクるスタイル。アクションを入れるとロッドは大きくしなり、柔軟な調子はシャクリどころかルアーの自発的動きまで吸収してしまいそうです。しかしこれがよかったのでしょう。その動きは完璧なまでのストップ&ゴー。イカが水を噴射して逃げる様をリアルに演出できていたようです。
使用されていた電動リールはシマノの電動丸3000ビーストマスター。これにおそらくPE6号を300m巻いてリーダーを接続しています。これらのタックルは餌釣りで青物を狙われる多くの方が所有されいることでしょう。ルアーだからといって敬遠する必要はまったくありません。お手持ちのタックルでマグロは狙えます。

船内で繰り広げられる大物ファイト!

電動ジギングはやりとりも電動主体。適切にセットされたドラグが鋭い突っ込みをかわしてモーターがグイグイと魚体を浮かせます。マグロ類特有の大きな円を描きながら上がってきたのは本命キハダマグロ。丸まるとした20kg弱の個体です。この1本を皮切りにラッシュとまではいかないものの流しの度に続々ヒットしてきます。
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次つぎと掛かるマグロにファイトと取り込みで船内のテンションは最高潮!バタバタと船内で暴れるマグロを引きずりながら「疲れてもどんどんシャクり続けろ~!」と若船長からも激が飛びます。
ジャーク後の間で食ってくるパターンが多いものの、フォールにもバイトは出ており、糸フケに注意し一瞬の変化を見逃さないことが重要。特にスピニングタックルではバイトが見難いのでフェザーリングでジグのフォールを妨げない程度にラインを張ると効果的です。そしてそのフォールに注意していたアングラーにヒット!水深100m前後でふけたラインを見逃さずフッキングしたようです。グイグイと引き込みますが重量感は少なそうです。キメジでしょうか?
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上がってきたのは中々のサイズのメダイ。赤茶けた発色は美味しいメダイ証拠です!
この盛り上がっている状況にギャフ打ち&オマツリでやや出遅れた私にも「ズシン」とバイト!間髪入れずにアワセを2回たたき込めばまずまずのスピードでラインを20mほど引き出してゆきます。マグロなどの対大物のやり取りは取り込みまで自身の体力を温存しながら戦うことが鉄則です。相手が強くラインを引き出すようならばロッドエンドを下腹にあて、腕を伸ばして余計な力は入れずロッド・腕・身体で三角形を作るイメージで耐えます。そして引きが収まったら頭をこちらに向けさせ一定のリズムでポンピングし巻き上げます。リズムが狂わなければ隙が生じず簡単に反撃されることはないでしょう。キハダマグロは根擦れを気にする必要はありません。しっかり針掛かりしシャークアタックがなければ20kg級なら浮上させることは容易。相模湾や伊豆諸島北部を回遊をする頃に比べれば水温も低く大人しいものです。
やがて水面に浮上してきたキハダ。最後の旋回で他のアングラーのラインを拾わないよう気を付け、タイミングを合わせてギャフ打ち一発命中!引き上げられた個体は20kgには届かないも中々のサイズです。

記憶に残る特別な釣行を

興奮度満点のキハダ釣りの時間は瞬く間に過ぎ去り沖揚がりの時刻を迎えました。ファイトの達成感に酔いしれる者、無念にもブレイクされ再挑戦を誓う者など人それぞれですが、乗船したアングラーの記憶に強く残る釣行となったことでしょう。結果はキハダマグロ船中13本、平均サイズ17kg、ヒット数は20以上。その他キメジ・メダイまじりです。
遠征船は技術も運も資金もタイミングもいる釣りです。しかし乗船した釣り人にはそれ以上の大きな感動を残します。「近場で気軽に」と違う特別な釣行。遠征釣りという「お祭り」に気合いを入れて挑んでみてはいかがでしょう。

[使用タックル]
SGコースタル コンビジャーク64
ソルティガ4500
ウルトラダイニーマWX8 4号300m
シーガーFXR船20号5m
サイドスラスター200g
ファルコンZスロー180g
ツインパイク3/0

三大回遊魚を狙う房総オフショアルアー

2011/05/10

海水温が上昇する初夏は多くの魚が活動的になる季節。ようやく黒潮の分流も差し始め、各地の青物情報が続々と飛び込んで来ます。

解禁となった金洲・銭洲からは5kg未満のカンパチ好調、東伊豆初島沖ではワラサ・イナダがボイル、外房ではヒラマサにワラサ・イナダ、伊豆大島ではクロマグロ、イナンバではキハダ・ビンチョウマグロが跳ね飛んでいます。

今回はキャスティング&ジギングで房総半島初夏の青物を狙います。

キャスティングorジギング

青物用のルアーのメソッドは大きく分けると2つ。ひとつは横に攻めるキャスティング、もう一つは縦に攻めるジギングです。

・キャスティング
7~8フィート(約2.1〜2.4メートル)前後のロッドを用い、プラグやジグをキャストし狙います。従来はベイトフィッシュが絡む「ナブラ打ち」が基本でしたが、近年は潮目や根などの魚がついていそうな所から引き出す「誘い出し」が確立されつつあり、ジギングで攻めにくい15m以浅の攻略も可能です。
条件が揃わないと釣果を得ることは難しいですが、条件が揃うと爆発力があり、ジギングではなかなか掛からないような大型のマグロやヒラマサを狙うことができます。

・ジギング
6フィート(約1.8メートル)前後のロッドを用い、シャクリやフォールでメタルジグを操作し誘います。魚群反応や海底の根を狙っていき、底から表層まで探ることができるので安定した釣果を得ることが可能です。
ターゲットの種類や活性によってジグのタイプや重量を選ぶことで回遊魚から根魚まで幅広く対応。浅場こそやや苦手ですが、オフショアルアーで最も手堅い釣法といえるでしょう。

BIGワンを狙え!外房のヒラマサ

今期の外房は当初、ワラサジギングで狙う予定でした。しかし釣行前日、突如として大型ヒラマサの釣果が上昇。そのサイズは10kgを軽く越える個体ばかり!しかもトップに出るとあっては狙わない手はありません。この嬉しい誤算により急遽キャスティングヒラマサへ変更となりました。
お邪魔したのは勝浦川津港の新勝丸。一年を通してルアーで外房の魚を楽しませてくれる船宿で、ヒラマサ・ワラサといった青物ジギングがメインです。しかし前日の他船の釣果もあって乗船者は全員キャスティングタックルを用意済み。大型ヒラマサの人気、恐るべしです。

前半はジギングでワラサ狙い

港より北上した大原沖では鳥山が形成され魚っ気はムンムン。水深は40~70mでベイトの魚探反応は中層付近。鳥の移動速度も速いことからサンマのようです。となれば反応の良いジグはロングタイプのシルバー系。ロッドの反発を利用したスライドアクションと、魚の回遊タイミングが合うとイナダやワラサが次々ヒット!中にはブリ近い良型も上がりお土産確保はバッチリです。

浅瀬のヒラマサを誘い出せ!

ある程度イナダ・ワラサを釣ったら、いよいよヒラマサ狙いです。船は水深15~30mの根周りへと移動。鳥も飛び交い魚探にもベイト反応が映し出されています。根周りにつけるといよいよ開始の合図。両舷よりアンダーキャストにて20cm弱のプラグが一斉にキャストされます。キャスティングヒラマサは誘い出しの釣りが基本。ウッド製の水絡みのよいプラグで、泡引きダイブやS字スラロームでヒラマサにアピールします。
そして、その瞬間は来ました。舳先でキャストするアングラーが海面にS字を描くように操るルアーの後方より突然現れた巨大な魚影が水柱を上げて激しくルアーをバイト! 強烈に絞り込まれるロッドを堪えるもジリジリと引き出されるライン。相当キツく設定されたドラグをも滑らせる引きは大型を予感させます。

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ハリ掛かりすると根へと突進することの多いヒラマサは、いかに疾走を止めるかが勝負の分かれ目。そのファーストランを凌いだら多少強引でもガンガン巻くのが鉄則です。掛けたアングラーもそれを熟知しており必死の巻き上げ。魚対人間の体力勝負の末、仕留められたヒラマサは10kgオーバーの迫力ある魚体。このサイズなら1本でも上がれば上出来といえるところですが、今回はこの程度では終わりません。

チャンスは続くも…

キャストを繰り返しながら小移動を繰り返す新勝丸。時折起こる海面を切り裂くチェイスから、ヒラマサの活性は相当高いようです。船内でもポツポツとヒットさせ、引きを制して見事釣り上げる者、暴力的な疾走で根に走られて切られる者と様ざまです。
そして残り時間も少なくなったころ、サンマがヒラマサに追いつめられ海面にナブラが発生! それと同時にS字を描くスラロームアクションへ同時ヒットが見られるなど大きな盛り上がりを見せました。

船長もタモ入れに奔走し、この日取り込まれたヒラマサは6本。うち5本が10kgオーバーという凄まじい状況です。
・・・・・・・そして、そのヒラマサの波に乗れなかった私。キャストしたプラグはなぜか鳥に大人気で、鳥の連続ダイブにヒラマサも食わず。無念の結果となりました・・・。
でも、このままでは終われません。この惨敗を糧に必ずや大型をしとめてみせましょう。

川津 新勝丸 ℡090-6119-2712

[タックル]
オフブローOB-710LC
ステラSW10000XG
PE4号300m 80LB3m
TTイーグル180F・ブルーフィッシュ170

スロージギングで狙うワラサ・カンパチ

続いてお邪魔したのは南房白浜のS渡船。ここは名のとおり磯釣り渡船とルアー船が出ており、親切丁寧な対応で陸・船問わず人気の高い船宿です。
前週はブリ・ワラサのジギングが好調だったようですが、数日前より急接近した黒潮により水温急上昇・・・。釣行前日の釣果を見る限り、厳しいジギングになりそうです。それでも当日集まった釣り人は10名以上。黒潮の蛇行次第で水温が激しく変動するこの季節はバクチに近い状況になりがちですが、夢を追うアングラーには関係ないようです。

近場の白浜沖からスタート

ポイントまでは港から10分ほど。予想以上のウネリに体調の不安を覚えつつ白浜沖60mからスタートです。今回使用するメタルジグはブルーニングハーツのファルコンZスロー180g。全長が短く中央前よりが太くなったこのジグは緩い動きが得意なスロージギング用。水中でクルリヒラリとゆっくりアピールします。
開始合図とともに投入。挙動の安定しない落ち始めはサミングをやや強めに、落下が安定してきたらフリーで海底を目指します。滑り出るラインの動きを注視し、着底のタイミングを見逃さないことが重要。見逃すと追っていた魚が見切って逃がすことになりかねません。
私のジグが着底寸前、すでにボトムへ到達しアクションをつけ始めた横のアングラーへヒット! 引きの鋭さから青物のようです。

これを見て私は着底後ハイピッチショートジャークで10mほど一気に巻き上げ、そこからスロージャークの緩急で食わせの間をつくると「ガツン」とヒット! 少ない重量感の割に鋭い引き。頭を向けさせ一気に巻き上げると現れたのはショゴ(小型のカンパチ)。小さくても手応えはさすが回遊魚といったところでしょう。
カンパチ登場に沸く船内ですが続くヒットは訪れず。沖の水温もかなり変動しているようで、どうやら谷間の日に当たってしまったようです。

スロージギングの威力

回遊魚の見込みがかなり薄い状況。中層まで探ってもよい結果は得られそうもありません。そんな時はボトムに着く根魚狙いです。
幅広のスロー系ジグはフォールスピードも遅く、ゆっくりとしたヒラ打ちと回転によるフラッシングでアピールします。ジャーク後の長い滞空時間でしっかり食わせの間を作ることができます。

船内でこのタイプを使ったのは私と同行者の二人。すると周りにアタリがない中でヒラメやホウボウが次々とヒット!  インチクやタイラバと並び根魚キラーとも思える活躍です。スロージャークとフォールで誘うと前後関係なく食ってきますのでフックはフロント・リヤともに装着することをおすすめします。

後日再び青物が高活性に

釣行日はイマイチの食いでしたが、水温が安定し始めた翌日より釣果も再び上昇。丸まると太ったワラサを中心に時折ブリ級やカンパチを混じえて上がっています。基本はジギングで100~150g前後のジグが中心。時折起こるナブラに対応できるキャスティングタックルも用意すれば確実でしょう。
ルアー船は午前午後の2便制にて出船。朝一から気合を入れて攻めても、前夜にしっかり寝て昼から船酔い知らずで攻めてもよいでしょう。楽しみ方は人それぞれ。パワフルな回遊魚を狙って釣行されてはいかがでしょうか。

[タックル]
SGコースタル コンビジャーク64
ソルティガ4500
PE4号300m リーダー60LB3m
ファルコンZスロー180g ツインパイク3/0