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‘釣り小ネタ’ カテゴリーのアーカイブ

フィッシングショーより新商品レビュー【電動リール系】

2013/02/05

今年は2月1~3日で行われた『フィッシングショーOSAKA2013』。
50回目を迎える今回は大盛況だったようで3日間で5万5千人以上の人が訪れ、前年比107%にも達したそうです。
今回はフィッシングショーにてTwitterで紹介した電動リール系をご紹介。カタログ等で数値は調べられるので感想や小ネタを中心に綴ります。

SHIMANO

・ビーストマスター3000 6月発売予定
電動丸9000ビーストマスターと同様にブラシレスモーターを採用し、大幅なパワーアップを遂げた新生「ビーストマスター3000」。
既にブラシレスモーターを積んだ9000番は発売以降一回もモーター故障で修理に持ち込まれていない程の強靭さ!(アフター担当者談)
今までのモデルではスルメイカの「電動直結釣法」は3000では対応しきれず、FM3000MK以降もメーカーとしても4000番をすすめざるを得なかったそうです。

ブラシレス構造はモーターの長寿命化にも貢献しているので、旧来品をオーバーホール毎にモーター交換(パーツ15,000円)していた方にはお徳かも。
またフォースマスターより採用されたヒートフリーシステムⅡは前作より12%の放熱量アップ!(開発者談)熱ブレーカーも作動しにくくなりました。

カウンター機能も強化され、探見丸通信機能で水深をリアルタイム表示可能。さらにアキュフィッシュのタナ表示も備えています☆

ちなみに、パワーやフィーリングの細部に関しては、発売までに展示品からさらに調整されるそうです。

定価は11,5000円ですがパワーや剛性面などを考えれば決して高くはないでしょう。発売が待ち遠しいですね。

 

・フォースマスター400 5月発売予定
400サイズが初のフルモデルチェンジ!手にしっくり収まるサイズは勿論のこと、見えないところにも工夫が多数施されています。
外観の最大の特徴は「スマートダイヤル」と呼ばれる電動巻上げの変速機構。それを最大限活かす「スマートクラッチ」は左側を大きく抉った形で成型されているので、左手でのダイヤル操作が行いやすくなっております。またクラッチ下部も凹みをつけて片手で押し上げて戻せるので、左右どちらでも片手で操作が可能な作りです。チョイ巻き機能も備えているので右手でロッドを持ちたい人にもお勧めできます。
そして実機を持って印象深かったのが軽量と剛性の両立。
CI4カーボンボディと金属パーツを多用することでかなりカッチリしています。クラッチを切ったときの独特の剛性感はぜひ皆様にも体験して頂きたいものです。
モーター周りは外からは見えませんがアルミ材で囲い放熱性も向上。数値のパワーは上がってないように見えますが、高剛性ボディによってスペック以上のパワーを体感できるでしょう。

・探見丸CV-FISH 4月発売予定
3代目となる探見丸。前作のCVから外観上の変更点は「ボタン変更」と「反射を抑えた画面の搭載と液晶の小型化」。本体価格は7000円下がるも、コードは専用化され値段は4000円に。Y字の通信コードも廃止されました。

 「CVをアキュフィッシュ化している方は早急な購入は必要ないでしょう」と言われましたが、じっくり見れば新型だけにほしくなる機能が搭載されています。
もっとも注目するのは「電動リールナビ」と呼ばれる電動リールの状態を表示する機能。これは大物ファイトやスルメ電動直結釣法では非常に重要な機能で、電動リールの温度や電流レベルがグラフにて表示されるようになります。これがあれば今まで勘と経験に頼らざる得なかった電動リールのパワーセレクトをよりシビアに設定することができ、ファイトの短時間化によるバラシ防止や手返し向上が望めます。
まだ探見丸を持っていない人には十二分にお勧めできるモデルとなっております。

DAIWA

・シーボーグ150J/L/DH/DH-L 3月~6月発売
一昨年、DAIWAより300番の左巻き電動リールが発売されたとき「150番で左だったら・・・」と多くの人が思ったことでしょう。もちろん300番の左モデルも好調に売れましたが、ご購入される方も「もっと小さい番手で左だったら・・・」「片手で使う釣り物にこそ小型の左巻きがほしい」との声が聞かれました。
それらの意見を受け止め、じっくり開発されて発表されたシーボーグ150J。300番クラスのモーターを搭載して異次元のパワーを獲得!1月放送のザ・フィッシングでは久里浜~剣崎沖のマダイ釣りで掛かってくるワラサを難無くいなし、昨年末に釣具店中心に行われた実釣会においてもライトヤリイカにてその実力を発揮したそうです。
細いPEラインがメインとなるので回転性のよいシンクロレベルワンドで落下速度向上と摩擦ダメージを低減。ドラグ性能はシングルハンドルは最大力を重視し、ダブルハンドルモデルは設定幅に重視した使用。これによりハンドルへのシャフト長が変わるので、シングルハンドルをダブルハンドルに交換はできますが、ダブルハンドルをシングルハンドルに交換することはできなくなっています。
これから盛期を迎えるマルイカはもちろん、リールサイズ以上の大物にも!「スモールモンスター」と呼べるパワーを今年の船上にて目にする機会が多そうです。


・マグマックス500 6月発売予定
業者日ではあまり注目されていなかったマグマックス500。旧来のフレームにハイパワーモーターを積んだだけに見えるのかもしれません。しかしそのパワーは凄まじく、今年の電動リール市場のダークホース的存在です。
まずはパワーですがこのリールの最大巻上げ力はなんと92キロ! リチウムバッテリーを接続すると102キロにも達します。またDAIWA製にしては珍しくスプール内にモーターを搭載するので、スプールは大口径化され一回転のライン放出量もまずまずです。もちろんスムーズな落下のシンクロレベルワンドを搭載しています。
価格面でも先に登場した300番同様にコストパフォーマンスに優れており、回遊魚シーズンの人気も出るとなりそうです。

オニカサゴ飼育より見えた実釣のヒント

2013/02/04

数年前にオニカサゴを飼育していたことがあります。約半年ほどの期間ではありましたが、釣りに使えるヒントを十分に得ることができました。水槽で見せたオニカサゴの素顔とは?

注意:少数個体の飼育記録ですので参考程度にしていただければ幸いです

沖ノ瀬で捕獲した28センチの個体

きっかけは家族からの「オニカサゴの活け造りが食べたい」との要望。これを受けて三崎えいあん丸に釣行し捕獲するもののインフルエンザでダウン・・・。これにより一時保管の為に入れた水槽より飼育は始まりました。

基本的に無警戒?

当初は飼育する気はなかったので海水魚水槽に水合わせも無しに入れてみたところ、他魚の食べ残したモエビを見つけ一気に吸い込み食べたのです。水槽に移してから僅か2分ほどでの捕食。
数時間前までは沖ノ瀬140メートルにいて、クーラーに入って車で輸送され、水合わせも無しに水深40センチ水温18℃に入れられる。通常これだけのストレスを与えれば相当弱る上に、しばらくは絶食状態になるものです。
エサも多いとは言えない深い海底にいると、目の前を通り過ぎるエサに何でも食いつく習性を持つのは理解できます。しかし、これだけの変化の中ですぐさま捕食行動を起こしたのには本当に驚かされました。

毎分1回転

すぐさまエサを食べたことにより予定外の飼育はスタートしました。メインに生きモエビを与えながら様子を見ていると、特徴的な捕食を見てとれます。
オニカサゴは視覚でモエビを捕らえると、まずはその向きに回頭します。胸ビレと腹ビレを起用に使いながらまるで歩くように。ゆっくりとした動きは毎分1回転ほど。これで向きを整えると捕食体制に入ります。

ロケットスタート

モエビを射程に収めると僅かに身体を縮めるような動きを見せます。まるで猫が獲物に飛びかかる際の動作のようです。すると猛烈なダッシュと共にモエビに近づき、大きな口で一瞬に吸い込みます。ダッシュから捕食までは1秒も掛かりません。吸い込み動作がブレーキにもなるようで獲物の位置より奥に進むこともなくストップしました。これならば障害物に衝突し無駄に傷つくこともないでしょう。
また大型のモエビを投入すると同様に襲い掛かりますが、一口で収まりきらないと数秒間咥えてから首を振るように口内に押し込んでいました。

流れの方向へ

エサを与えながらも他にも色々と実験を継続。ポンプを使用し水槽内に意図的な水流を設置します。
するとオニカサゴはしばらくするとその方向に向きます。何度か設置場所を移動しても10分前後でその向きに向くようです。
普段はエサとなるものが潮上から流れてきたり、潮上に向かって泳いでいる為なのでしょう。
流れている間は自分の後方へエサが流されていっても、エサを追う素振りは見せませんでした。

エサの好き嫌い

与えるエサもモエビや小魚などの生きているものから、サバやイカの切り身など。様々な種類を用意。
エサに関してはまず動くものでなければ興味を示しませんでした。切り身エサは落下途中や紐で動かせば食いつきますが沈むと完全に無視されます。
またエサのサイズは長さよりも太さを意識しているようで、細くても長いものは食いますが太いものは狙いはするもののほとんど襲いませんでした。
自然界で悠長にエサを判断する時間などないはずですから、瞬間的に襲えるか判断する太さがあるのでしょう。

実釣へのヒント

こうして観察しながら実釣でのアタリが増えるヒントを探る期間は半年に及びました。
潮流の有無によるアタリの増減については、流れている場合は各個体が同一方向を向くことでエサを発見できる確率が高まるのでしょう。オニカサゴがエサを意識できるタナで少々停止して焦らし、その後に落とすと食いやすいようです。
逆に潮が流れていなければ各個体はバラバラの方向を向いていると考えれれます。バラバラに向いた個体はエサに気づいても、向きを直してから襲うまでの間を与えなければなりません。大きく動かすよりも目の前で僅かに動かす程度で十分なのでしょう。
またエサのサイズでは太さを調整することで、ある程度なら狙うサイズを絞ることもできそうです。

半年間の成長

約半年間飼育したオニカサゴでしたが最後は水温クーラーの故障によって亡くなりました。飼育水温は18℃で死亡時の温度は27℃。海底での生息温度はかなり低いはずですから3℃前後でも恐らく耐えるでしょう。輸送における目安温度として氷ペットボトルは入れておいたほうがよいようです。
様ざまなエサをあたえ、飼育水温も生息域よりかなり高い状態だったでしょう。参考値ですが飼育開始より約2センチ成長していました。「大鬼」と呼ばれるサイズまで成長するには長い年月を要するのは間違いなさそうです。小型は放流し、大切に釣り続けてゆきたいと改めて感じさせられました。

カワハギ仕掛けでイカも狙おう

2012/10/26

秋の深まりと共にキモが肥えゆくカワハギ。冬に備えて白くでっぷりとしたキモは「海のフォアグラ」といえる逸品です。これを裏ごしして醤油に溶かし、刺身につけて食べる肝和えはシンプルながらも食通を唸らせます。
さらにその肝醤油に柔らかいイカの刺身を合わせれば絶品!美味しいカワハギとイカが両方を手に出来れば言うこと無しです。今回はこれらが同時に狙える釣法について考えてみます。

カワハギ釣り場ではイカも釣れる

今年はカワハギの数も多いようで、各地のカワハギ船で好釣果が上がっております。ゲーム性の高い人気魚種だけあって週末となれば多くの釣り人で船は賑わう程です。
さてカワハギですがエサがあれば砂泥、岩礁問わず極浅瀬から50メートル以深まで幅広く生息してますが、釣りの対象となるのは水深10~40メートルが多いでしょう。
この水深はイカ類も多く生息し、特にツブ根交じりの砂地や藻類の多い岩礁帯を狙うことが多い相模湾エリアでは、アオリイカを狙って餌木をシャクる人が同船することもあります。
岩礁、藻場ではアオリイカやマルイカ、砂地が多い場所ではコウイカ類が多く見られ、餌木で専門に狙っても十分に釣果を上げることができます。カワハギも餌木を怖がるどころか寄って来るようで隣でシャクられても釣果が落ちることはありません。
しかし、中オモリを用いた餌木シャクリは長いハリスを使うので釣座が限定され、どこでもすぐに狙えるわけではありません。

 

こんな釣果が理想的!おいしく楽しい釣り物がまとめて釣れれば大満足でしょう

両方をまとめて狙うには?

同じ釣り場にカワハギとイカ。おいしい釣り物が二ついますが普通に狙ってはどちらか一つしか狙うことができません。両方をまとめて狙える良い手は無いものか・・・?
まずは誰でも一度は考える手段はスナップでスッテや餌木をつける方法。接続も楽ですぐに試すことができるでしょう。たしかにこれでも釣れました。しかし釣れる確率は決して高くなくイカ類は運良く混ざる程度。それに餌木やスッテの抵抗が常に仕掛けに掛かって操作性が悪くなるばかりか、肝心のカワハギでアタリの感度が低下してしまい釣果を落とすこととなりました。これではいけません。
そこで試行錯誤。まずはイカ狙いの中オモリ式餌木シャクリの仕掛けを考えます。中オモリはエギをタナまで速く正確に届けるためとしてロングハリスの利点とは? その答えは餌木に長くゆっくりと安定したフォールをあたえるためです。
イカ類を誘う場合、ゆっくりとしたフォールがキーポイント。特に堤防からも狙えるアオリイカでは餌木がフォールしているときに距離を詰めて襲い掛かる瞬間を観察できます。マルイカやスミイカも止めてポーズを入れているときに乗ってくるものです。
そしてもう一つ、カワハギ狙いでの感度の確保。これは仕掛けから手元まで感度を減哀させる障害物を取り除くのが一番です。ただこれで餌木を取り除いては本末転倒。要は抵抗なくアタリを伝達できれば良いのです。
思い当たったのが遊動テンビンの構造。最近はコマセキハダで瞬殺されない天秤として注目されたことで記憶に新しいですが、このテンビンは非常に感度に優れていることも忘れてはなりません。それは遊動ラインによってハリスから道糸へダイレクトにアタリが伝わるためで、初めて使う人はビシの重さで逃しているシグナルの多さに驚くほどです。
この遊動テンビン同様の遊動構想を取り入れて仕掛けの改良に着手します。

仕掛けの作成

仕掛けとしては道糸となるPEライン先端にフロロカーボンのリーダーをFGノットやPRノットで接続し、カワハギ仕掛け上部につなぐスタイル。中オモリや集器は使いません。リーダーは1ヒロ弱としこの区間に餌木を遊動させます。
餌木の接続方法としてはFGノットやPRノットで止まるような極小ビーズを通し、そのビーズで止まるサイズの軽量ルアー用スナップを続けて通します。そして再び極小ビーズを通し、ビーズ→スナップ→ビーズの順となるようにします。最後に餌木をスナップにつければ仕掛けの完成です。
餌木の適正サイズは2~2.5号。これ以上大きいと潮の抵抗を受け、他の乗船者とオマツリを誘発させます。道糸も1.5号以下の号数がおすすめです。
注意点としてはビーズは硬いハードタイプを用いることと、スナップのアームが横向きなのでエギのアイが縦方向についているタイプを選ぶことです。スナップはサルカン付にすればアイの方向を選びませんが、若干重くなるのでフォールで乗りに影響がでる気がします。
エギが遊動する仕掛けに改良するとアオリイカやスミイカの乗りが格段に向上。カワハギの感度低下も最小に抑えることができ、どちらも効率的に狙うことが出来るようになりました。

 

陸っぱりヒイカの影響で小型餌木も種類が豊富です。ラトル音の出るものも!

まとめて狙う際のアクション

作成した仕掛けで両者を効率よく狙うにはどのようなアクションが有効か? 数年の実釣テストから時折誘い上げを入れるだけで良いように感じます。
リーダー区間を遊動している餌木を時折誘い上げてから落とすことで、先に沈降した仕掛けにリーダーを伝ってゆっくりとフォールしてゆきます。このときにイカが乗ることが最も多く、上部から落ちてくる餌木はカワハギにエサの存在をアピールします。
またタタキ動作では餌木が仕掛けと共にシェイクします。このアクションはスミイカやマルイカに対して有効なアクション。この後に入れるポーズで思わず抱きついてきます。また暴れるエギはエサをつつく他魚に見えるのか、カワハギの寄りも良好です。
そしてカワハギへの集魚以外の利点としては感度を保った状態でタルマセができること。これはオモリが着底状態から道糸のテンションを抜くと仕掛けを張った状態で餌木がフォールするためで、タルマセながら仕掛けを張っているのでアタリは鋭敏に捉えることが可能となります。

楽しい釣りを

カワハギとイカの両狙いの仕掛けですが、これで竿頭を狙うことは難しいものです。筆者も試し続けていますが、常に両魚種の上位には食い込めるものの専門で狙う人には及びません。
しかし釣りとは楽しんでするもの。ストイックに数を追うのも一つのスタイルですが、色々釣れて楽しいのも良いと思います。アフターフィッシングも同一魚種ばかりより多魚種の方が喜ばれるものです。
カワハギ釣りの一つのスタイルとしてぜひ楽しんで頂ければと思います。

相模湾キハダの攻略について

2012/10/08

最近はコマセ釣りが絶好調のキハダ。近海で50キロ近い大物が狙えるだけあって、平日でも満船となるほどの人気ぶり! 初挑戦でも運良く仕留められることもありますが、コンスタンと釣るためにはいくつものノウハウが存在するのも事実。よりキハダに近づくためにはどのようにすれば良いでしょうか?

【タックル編】

コマセで狙う場合、ハリ掛りさせるまでの食わせの要素もしっかりと考えなければいけません。意外にバランスが重要です。

ロッド

強烈な引きゆえに強靭なロッドを想像しがちです。たしかに間違いではありませんがいくつか抑えるべきポイントがあります。 まずはしっかりとコマセを振れなければなりません。オススメは2メートル前後の7:3から6:4調子くらいのグラス系ロッドです。バット部にしっかりとした張りのあるモデルがファイト時に魚をコントロールしやすいでしょう。できるだけワンピースに近い専用ロッドが安心です。 最近はメーカーで保障ハリスや最大ハリスが記載されているモデルが増えてきたので、だいぶ選びやすくなっています。ただメーカーによってもダイワのように最も強度がでる角度での計測なのか、アルファタックルのように破断しやすい角度での計測なのかで記載に差があるので注意しましょう。 また他魚種からの流用の際はバット部の長さにも注意。主に深場ロッドですが強度は十分でもバットの長さが非常に短いとロッドエンドを腹部に当てて巻き上げようとすると非常に窮屈です。一部のモデルではバットを付け替えられる場合があるので、最適な長さを選びたいところです

柔軟な穂先と強靭な胴を併せ持つ青物ロッド
ただパワーがあるだけでなく操作性も抜群です

リール

マグロの引きをロッドで受け止たら、巻き上げるのはリールの仕事です。 高負荷にも捩れない剛性と力強く巻き上げるギア、そしてスムーズに過負荷を逃がすドラグは不可欠。 ドラグの滑り出しに優れたレバードラグの手巻両軸リールがメインですが電動リールが使う人もいます。 手巻きでは回収とやり取りに優れた2スピード変速モデルなども。ラインキャパは最低でも8号300メートル以上は用意したいところです。

 

金属ボディで高剛性を誇るリールは存在感があります。

PEライン

道糸となるPEラインは8号を標準とし、12号までの太さを300メートル以上は巻きたいところ。これは掛かってからのマグロが走るため、どうしても長さが必要となります。 リールのラインキャパをオーバーするようなら、太さより長さを優先。ルアーでは6号でも100キロ近いマグロは上がっています。選ぶ際には信頼のおけるメーカーのものを。無名の激安品ではマグロを相手にするには無謀です。
そして少しでも痛んできたらその部分はカットし、常に強度維持に気を配ります。また見た目が傷がないようでも一度使ってしばらく間の空いた古いPEラインはご用心。繊維の中に染み込んで結晶化した塩分や、スプール面に発生しやすい錆が思わぬラインブレイクを招く場合があります。マグロは千載一遇のチャンスと勝負する釣りです。多少もったいなくとも安心できるラインを巻き直しましょう。

テンビン

様々なテンビンが販売されていますが、おすすめは全遊動型のカモシテンビン。全遊動の利点を説明してみましょう。

・ハリスの強度が活きる
マグロが疾走した際にコマセカゴやテンビンが引っ張られず、ハリス強度を最大限に活かします。

・微細なシグナルを伝える
高感度 アタリがミチイトにダイレクトに伝わるので感度が非常に良く、キハダのアタリを明確に捉えます。

・オマツリに強い
通常はテンビン部がオマツリしたらラインが出せず終わりですが、カモシテンビンではラインを送り出せるのでオマツリに対処しながらやり取りが可能です。

このようにマグロ釣りには多くの利点があります。ただカツオなどの最後まで走る中型ターゲットは少々苦手。取り込みの際にラインを引き出されやすいので、テンビンを持って寄せずカモシラインのリングを取ってそのままハリスを手繰り寄せましょう。

 

カモシ天秤は専用のカモシ遊動ラインと組み合わせて使用します。
船宿によってはハリスが手繰りにくい、オマツリされると外しにくい等の理由から
使用が規制されている場合もありますのでご注意ください。

コマセカゴ

ただコマセを詰めて沈めるだけではいけません。それぞれの特長を理解し使いこないしましょう。まず大きく分けてプラ製と金属製があります。前者は下部の開度を調整し、後者は穴をゴムで埋めてコマセ放出量を調整しています。 おすすめは「ステン缶」や「テッカメン」といった金属製のもの。これはコマセの出方の関係で上部の穴より水を取り込むまではプラ製も同じですが、そこからのコマセ放出がプラ製では下部の穴より滑り出るので拡散性が低く、アピール力に劣ります。それに対し金属製は穴から放出するのでビシ周りにフワっと拡散するのでアピール力に優れています。

・L80号
船宿指定のもっともオーソドックスなコマセカゴです。ミチイトも指定号数を使用するなら、このサイズを用意しましょう。

・L100号
船宿推奨よりも太いPEライン10~12号のミチイトを用いる方は是非用意していただきたいサイズです。これはラインの角度を合わせ、落下速度を高める為です。自身のメリットも多く、他乗船者とのオマツリといったトラブルを防ぎます。

・FL80号
通常のコマセカゴより一回り細いサイズで、水中での抵抗が少なく仕掛けを素早くタナまで届けます。移動が非常に速い群を狙うには最適でしょう。また潮流の抵抗を受けにくいので速潮でもタナボケを最小に止めます。

・調整用コインオモリ
潮流が非常に速く仕掛けが吹き上げられてしまったり、群れの移動がとにかく速い場合のお助けアイテム。コマセカゴに入れるだけなので必ずタックルボックスに忍ばせておきましょう。

また手返しのインターバルをより正確にする為にもコマセカゴの放出量は確実に把握しておきたいところです。慣れている釣り人はシャクリ動作の負荷の変化でコマセの有無を判断し、振れる回数と強さを決めていると思います。 ですが水面で満タンから振ってどれぐらいで無くなるのかも見ておきたいところ。意外と投入時にコマセが漏れ出していることがわかると思います。 またロスを減らすためにもコマセの詰め方にも一工夫。通常は詰めずに緩く入れて、出すぎる場合に詰め気味に調整してます。そこをコマセカゴの上下を詰め気味に入れて、真ん中を緩めに入れるようにします。 私はステン缶ばかりですが、これをすることによって投入時にコマセカゴ上部に発生する負圧による流出と、シャクリの圧力によって下部から押し出させるコマセを最小に抑えています。 その日のコマセの硬さや潮流によって詰める圧力を調整していますが、基本となる考えは「シャクリによってコマセカゴの中で水流を回す」こと。その上でタナまでのロスは最小に抑えたいところです。

ハリ

大型に対処しなければならないことから、太軸のハリは外せません。口も大きいことから魚体を見れば大型フックを用いたいところです。しかし、注意しなければなない項目も多くあります。

 

・ハリの形状
キハダを掛ける上で意識すべきことは「口に掛ける」です。基本は手持ちで釣るスタイルですが、アタリが散発の状況では置き竿にしてしまったり、手持ちでも油断すれば飲まれてしまいます。 飲まれにくくするだけならハリ先が内側に入り込んだムツ型が効果的。しかし針掛かりを考えれば針先はストレートを選びたいところです。

※おすすめのハリ:ひらまさかんぱち16号・ムツサークル1/0号・
ゴリラ3/0号・メジ・カツオケイムラ16号 など

・ハリの強度
マグロのパワーを受け止めるなら太軸ですが、際限無しに太くしては重くなる一方。強度を保ちつつできるだけ軽量なハリを選びたいところです。 高強度を唄うハリはパッケージに対応ハリスや使用強度を記載しているものも多くあり、それらは一つの選択の目安となるでしょう。また表記のないハリでも軸の線径や平打ちなどの加工である程度は予測できます。購入時にわからないときは近くの店員に質問すると良いでしょう。 さて素材強度のあるハリほど重いもの。潮が無い状況ではハリは天秤から真っ直ぐ垂れ下がり、明らかに食いに影響がでます。これを解決するには重量を浮力で相殺すること。チモトへ浮力のある「東邦産業)ケイムラ玉ソフト」を装着するのが一番簡単でしょう。紫外線発光のアピールも加わり効果的です。

・結び方
強度のある結びができなければ、どんなにハリやハリスが強くても意味がありません。太軸ハリに太ハリスしっかり結ぶコツは一巻き毎にしっかり力を込めて巻くこと。結びに弛みが生じれば、力が均一に掛からず綻びを生み、強度低下を招く結果となります。 「南方延縄結び」や「坂本結び」など有名な結びも多数存在しますが、管付も鐘木もオススメは「フィンガーノット」です。この結びはハリスの本線が全てハリを巻く糸の内側に入り、表面の凹凸が通常よりも少なくなります。外側に縦のラインが全く無いためマグロの歯に拾われず、瞬殺や秒殺で切らることが少ない結びです。用途や強度もハゼからカジキまで対応し、実に汎用性があります。南方延縄結び・外掛け結び・内掛け結びなどで瞬殺ブレイクに悩まされる方はぜひお試しください。
またラインエンドは必ずライターで焼いて抜けを防止すると同時に、熱した直後の焼玉をハリに押し付けてハリとの段差を最小限に抑えましょう。こうする事でオキアミをスムーズに装餌できるようになります。

 

どんなに強度がある結びでも切られては意味がありません。
「何故切られたのか?」をとことん追求すれば自ずとマグロに近づきます。

ハリス

市販仕掛けではコスト面からもナイロンを用いたものがほとんどですが、おすすめはフロロカーボンでしょう。 耐摩擦性の強さは擦れに強く、長時間ファイトでマグロの側面を擦り続けても強度を保ちます。また屈折率が水に近くラインに張りがあるので警戒心緩和と捌きやすさを併せ持っている点も見逃せません。 長さですが現在は3~6メートルを指定する船宿が多いかと思います。私の推奨は3メートルです。「長くすれば食う」わけではありませんがロングハリスが現在は人気。コマセカゴが何個も浮いている海中は明らかに不自然。またアタリも一日で船中10回未満なので長くしたくもなるのでしょう。ですがそれでキハダの食いが変わるかといえば、それほど差のないように感じています。それよりもハリスが長すぎてオマツリを誘発したり、取り込みでバレるシーンを度々目撃しています。短いと食わない不安より、長くて水面でバラすリスクを減らした方が釣れる確率は高まります。

 

多少高価ですが大型マグロが釣れるなら安いもの!?

 

ノウハウの詰まったショップオリジナル仕掛けもフロロカーボンハリスを使用

接続器具

ハリスをテンビンに接続する際のスナップやスイベル類も強度にこだわりたいところです。様々な形のものが市販されていますが、トローリングスナップ(写真左)やハワイアンフック(写真右)を用いることが多いでしょう。おススメはトローリングスナップ。このモデルの強度は申し分なく、着脱も容易なのでオマツリの対処も楽。相模湾キハダなら5号や6号が最適です。次いでハワイアンフックは抜群の強度を誇り、値段も比較的安価で入手しやすい一品。ただ着脱はコツが必要で、素早く行うならプライヤーは必須でしょう。釣り場で多く見かけますが気を付けたいのがインターロック付きスナップ。このスナップは着脱しやすさと表示強度や値段はまずまずなのですが、瞬間負荷に開きやすく、サイドにワイヤーが出ているため、手繰る際に怪我を誘発します。脇役的な小物たちですがマグロの引きを受け止める重要なパーツなので妥協せず選びましょう。

付けエサ

「付けエサはオキアミ」ここで思考を止めてしまっては釣果向上は難しいでしょう。マグロと直接接する部分だからこそ一層の拘りを持っていただきたい部分です。 まず付けエサとなるオキアミは「大粒」で頭がしっかりと詰まった「形状が整っもの」であり、各部の「欠損が無い」個体を選びます。釣り具店ではブロック状のものと選別パックがありますが、オススメはブロック状のオキアミです。これは同じ単価でもエサの量は圧倒的に多く、良質な個体を多く拾うことができます。選別パックは一度解凍された状態から選別されるので鮮度的にやや不利で価格も割高となります。

・解凍
ブロック状のオキアミを購入したら、釣行日前日なら冷蔵庫でゆっくりと溶かして下さい。冷凍食品を解凍するように扱います。ブロックの内側と外側で温度差の激しい解凍方法はNG。透明感が失われ白っぽくなってしまいます。 現場で解凍する際は日陰で解凍が無難ですが、急いでいることもあるでしょう。ビニールに包み海水バケツで解凍することが多いと思います。外側は温度差も大きく水圧で潰れるので付けエサには適しませんが、内側は十分に使えるでしょう。 もっともオキアミにダメージが大きい解凍は循環海水ホースを入れたバケツに袋から開けて出して解凍する方法。見た目は水圧が掛からずフワっと仕上がりますがオキアミの温度が一気に上がってしまうので、その後の鮮度低下は明らかです。

・加工
鮮度に注意し解凍したブロックから良質のオキアミを選別できたらマグロに適した加工を施します。 まずは尾羽付近のカット。ハサミを使って切り口が潰れないようにスパッと切断します。切断面は自身が用いるハリがしっかり入るサイズになるよう調整が必要です。太軸のハリでは斜めにカットすると切断面が大きく刺しやすくなります。 エサもちを優先するならアミノソルトのような添加材を使用するとオキアミの身が締まり、太軸のハリでも潰れにくくなります。ただし掛けすぎると硬くなりすぎるので要注意です。 また付けエサを目立たせるために紫外線加工も常套手段。移動が速くやる気のある群を追う状況に有効で、振り撒かれたオキアミの中から紫外線発光で目立たせ、魚に的を絞らせます。

・保管
「選別」「加工」を経て魅力的に仕上げた付けエサのオキアミも、そのまま船上で放置しては傷んでしまいます。しっかりと鮮度を保つ意味でも、保管はタッパーに入れてクーラーボックス。必要分だけを小分けに出して使います。 オキアミはマグロにとっての「食品」です。人間のそれと思えば自然と丁寧に扱えるようになります。

・疑似オキアミ
最近では特船オキアミやスーパーオキアミといったゴム製のオキアミが存在します。コマセマグロ釣りでは太軸ハリのチモトまでしっかり刺せるので愛用者も多い一品です。そのままでも良いですが一工夫すると更に効果的。特船オキアミならカラーチューニング、スーパーオキアミは頭部への夜行玉挿入などが効きます。

  

 魚との接点となる部分なので最もこだわりたい部分です。

 

【実釣編】

捕食動作を考える

コマセ釣りではコマセワークが非常に重要なのは言うまでもありません。セオリーとなる撒きかたは船宿指示通りですが、まずはターゲットがどのような泳ぎ方でエサを食うのかを理解しなければなりません。

・キハダの補食動作
ターゲットのキハダマグロですが見た目は紡錘型でいかにも高速遊泳に向いている身体つきです。実際泳ぐ速度は凄まじく、針掛かりしてからの抵抗は強烈です。
ではエサを食うときはどうなのか? ということですが、遊泳力の強い魚系を襲うときは良く映像であるような凄まじい速度で下から上へと突っ込んでゆきます。派手なボイルやジャンプが見られるのもこのときです。
そしてオキアミを食うときはというと、現在の相模湾のような飽食状態ではかなり遅い速度で補食していると思われます。意外に思われるかもしれませんがシラスを飽食状態で襲っている時のキハダの遊泳速度はボラ並です。それこそ人の歩く程度の速度になります。となると下から突き上げる奇襲的な補食ではなく、ゆったり横方向に泳ぎながらエサを食っているのでしょう。このことから移動が速く食い気のある群は縦を意識しコマセを撒いて下から突っ込ませる感じに。逆に飽食状態で食い気があまり無い群はコマセマダイのようにポロポロ出すほうが効果的かもしれません。

最初は「60~80メートル」と船長より幅をもって指示されたタナも、船側に群れが近づくと「反応入ってくるよ」と予告から「75mぐらい」といった細かい指示に変わります。あまり忙しなくコマセを打ち返していると大型個体に警戒されやすいだけでなく、通過のチャンスを逃しかねません。指示タナ変更に仕掛けを合わせる準備はもちろん、常に一振り分ぐらいのコマセはビシに残しておきたいものです。

合わせ

予告があると程なく船内にアタリが訪れます。アタリは穂先に「コン」と短く軽い衝撃、もしくは「フワフワ」と揺するような振動がきて一寸間をおいて「ズドン」とロッドを絞りこんできます。この際、ヒラマサバリのようなハリ先が立ったハリの場合は、走る前のアタリで合わせを入れるのが理想的。ムツバリのようなハリ先が内側に入ったハリは「ズドン」とロッドが絞り込まれてからでも高確率で口元に掛かります。
もしアタリを感知し損ねていきなり走られた場合、走っている最中に鋭い合わせは厳禁です。これは飲み込まれてハリスに歯が当たっていた場合、鋭い衝撃は自らハリスを切断するようなもの。走りが止まってからグイっとロッドを絞り込むように力を掛けるのがポイントです。これでハリスやハリが口の際に移動しやすく、がっちりと掛けて獲ることができます。重要なのは口元にしっかりとハリを掛けることですが、飲み込まれて喉元に掛かったと思っても諦めてはいけません。
硬いマグロの口に掛けるにはそれなりの力が必要ですが、合わせの力の掛け方は押し刺すイメージです。重量を感じたらそのまま力を込めましょう。鋭く貫くような合わせはすっぽ抜けやハリス切れが多く感じます。

ヤリトリ

・ドラグテンションのコントロール
掛かったマグロは猛烈なスピードで疾走します。それこそスプールからライン全てを引き出すほどです。しかし慌ててはいけません。走るなら走るだけだしてしまいましょう。
掛かってからのポイントは「相手の体力を先に尽きさせる」につきます。その為にはマグロの特徴を把握しておく必要があります。マグロは高負荷でゆっくり短い距離を走らせるより、低負荷でも長い距離を走らせたほうが体力を消耗します。初期ドラグは3キロ前後が妥当でしょう。
そして体力が尽きてくるとマグロは首を振って抵抗します。このときロッドを叩くような振動が伝わるので、このシグナルを見逃さないように注意しましょう。
そうしたらドラグを増し締めし、ポンピングも入れずに一気にゴリ巻きます。マグロは体が硬いので一度顔を向けてしまえば、後は尾ビレを振ってもこちらに向かって巻き上げのサポートをしてくれます。
しかし油断は禁物。隙を与えたらヒレで軌道を変えてしまいます。こうなると再び顔を向けさせる際に余計な抵抗をされバラシの危険性が高まります。ポンピングをするならショートストロークを心掛け、隙を与えないように細心の注意を払いましょう。

・電動リールの注意点
空巻きの利便性や体力不足から電動を用いることもあるでしょう。しかし現行モデルはだいぶ改善されたとはいえ、電動リールは剛性面・ドラグでは中級以上の手巻きリールに劣る傾向にあります。
ボディはモーターや配線が組まれているために、構造的自由が少なさから剛性が十分確保できず、手巻きがいまいちの物も。ドラグも小径ワッシャーを多板式に納めているので最大ドラグ力の数値が出ていても、滑り出しや持続性ではレバードラグ式のような大口径ワッシャーを採用するものには大きく劣ります。そしてマグロを相手ではその引きによって釣り座の移動を余儀なくされる場合も多く、電源確保も悩みの種です。このようなハンデを背負ってマグロに挑むことを認識しなければなりません。
ファイトは電源や場所的な制限が無ければロッドキーパーに預けた状態でのファイトが確実です。電動リールに十分なパワーがあるのなら、そのまま巻き上げてしまう方法が最もバラしが少なく上がってきます。パワーが足りなければロッドをキーパーのサポートに固定した状態でのポンピングで対処。ロッドを手で起こし、巻き上げスイッチを入れながら倒し、止めます。
これでもパワーが足らない場合は電動リールの巻き上げをアシストに使いながら手巻きで勝負することになります。事前に確認しておきたいのはモーター作動中の手巻き。電動自転車のようなアシストするモデルと、手巻き速度を加算する増速モデルが存在します。
最後の難関は残り数十メートルの手巻きです。高負荷の勝負となればスプールに巻かれるラインは締め込まれて小口径化し必然的にカウンターは狂います。ですので電動巻き上げではほぼ確実に10~20メートル手前で止まることとなります。ここをしっかり巻き取れるかどうかが最後の難関です。

・サメの猛攻を突破せよ
さて現在の相模湾は残り30メートルが鬼門となります。ここから水面まではサメ多数。酷いときは船下に数匹が待機し上がってくるマグロを狙ってきます。
無事に切り抜ける最重要項目は素早く回収すること。ロッドキーパーに接続し、ドラグを締めてゴリ巻きします。ポンピングは回収が遅くなるばかりかマグロを揺すってサメにアピールしてしまうので厳禁です。
ドラグを締めるとラインブレイクのリスクもありますが、ゆっくりやってはサメに襲われて頭だけになります。パワーファイトでヒットから5分と経たずに残り30メートルでは危険かもしれませんが、通常は有る程度走って体力を消耗しているので勝負を掛けましょう。
またサメに襲われ始めるとロッドが激しく叩かれるような振動がおきます。こうなると選択は二つ、更なる速巻きを敢行し被害を最小に抑えるか、マグロが元気なことを期待してドラグをフリーに走らせるかです。正直どちらも怖いですが何もしなければ全てを失います。覚悟を決めて選択しましょう。

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・取り込み
マグロが旋回して姿を見せれば後もう一息。テンビンをつかみ、ハリスを手繰ってゆきます。船長やネットマンと呼吸を合わせ旋回する円を狭めてゆきましょう。思わぬ疾走をする場合もあるのでハリスはいつでも手放せるよう一層注意が必要。危険なので絶対に手に巻いて手繰ってはいけません。ネットやギャフが決まれば釣り人の勝利。ネットは入る瞬間にハリスをゆるめて奥までしっかり誘導しましょう。

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マグロの保管と解体

やっとの思いで釣り上げたキハダマグロ。魚体が大きいだけにそのまま入れるなら大型クーラーボックスが必要です。しかし全員が大型クーラーボックスを乗せてしまえば、それこそ足の踏み場もなくなってしまうでしょう。
そこで最近の乗合船ではマグロを保管できる超大型クーラーや魚倉を用意し対応しています。釣れたらインシュロックやバンドなどで目印をつけて入れさせてもらいましょう。また港に戻ってからはマグロ解体サービスのある船宿も増えてきており、超大型クーラーがなくてもマグロに挑める環境が整ってきました。もちろん最高の食味を求めるのなら、魚体に包丁を入れず大型クーラーボックスにて熟成させましょう。現在の25~50キロぐらいまでのマグロなら熟成期間は約一週間といったところ。大型クーラーの置き場や氷の確保そして解体などそれなりに大変ですが、苦労に見合う最高の食味が待っています。また解体サービスにてブロック状で持ち帰った場合も熟成させて美味しく頂けます。その場合は酸化の早い血合いを切除し、キッチンペーパーにくるんでからビニール袋に入れて保管します。酸化を最小限に抑えるためビニール袋内の空気は極限まで抜き、キッチンペーパーは毎日交換しましょう。ちなみに熟成が必要なのは刺身などの生食なのでステーキやフライ、煮物などは釣った当日からOK。ですので焼き物などを楽しみながら、最後に生食の刺身や寿司といった順ならば釣った当日から毎日食すことができるでしょう。

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数々の幸運が積み重なって食べるマグロは最高の食味です

回遊の幸運をお見逃しなく

今年は釣れ盛った相模湾のキハダマグロですが毎年回遊してくる魚というわけではありません。まして姿を現してもコマセにつくまで時間が掛かるので今年のような釣れっぷりを見せたのは4年ぶりです。10月までの時点でコマセの最大魚は60キロ強。ルアーでは腸抜きで77キロまで上がっています。水温分布的には10月一杯までが釣期となりそう。回遊魚は釣れているうちが勝負です。本来ならば遠征でしか出会えない大物と、近場の海で渡り合える幸運をしっかりと楽しんでください。

 

春~初夏の多摩川を楽しむ

2012/04/25

河川下流部のターゲット

桜が咲き始める頃より、多摩川では生物の動きが活発となります。様々な魚がおりますが多くの種にとって春は産卵のシーズン。釣りのターゲットになる魚も豊富です。今回は河口から約25キロ上流となる登戸までの主なターゲットを見てみましょう。

・マルタ
普段汽水に生息するマルタウグイは3月中旬より遡上を開始。河川中流を目指し活発にジャンプをしながら遡ってゆきます。全長は50センチ前後になり、活きエサから練りエサまで貪欲に食すためルアーやエサで簡単に釣ることができます。
河口部ではシーバスの外道としてお馴染みですが、最近はトラウト用のライトタックルやフライで狙うスタイルが流行っています。
釣期:3~5月 釣り場:登戸~丸子橋

・コイ
河川の清掃目的で放流されているコイは様々な餌を食べる雑食性。4月中旬~5月中旬に掛けて産卵の為に浅場へ群れて移動してきます。平均サイズは60センチ近くあるのでファイトもかなり楽しめるでしょう。
3月頃から産卵期までの期間は栄養を蓄えるべく魚食性が高まりルアーへの反応も良好です。学習能力の高い魚で餌釣りで狙う際はハリなどの金属の反射光を大変嫌うので注意しましょう。
釣期:周年 釣り場:登戸~多摩川大橋

・ナマズ
冬季はほとんど動かなかったナマズも水温上昇と共に動き始めます。産卵期はコイとほとんど同じで4月中旬~5月中旬。夜間に浅場で水を跳ねながら産卵する様子が見られます。典型的なフィッシュイーターですのでルアーへの反応は良好。しかし、ナマズにとって水温の低い春は水面を割って出てくることは希で波動の強いミノー系が有利となります。
汽水は嫌いなようで多摩川では丸子橋より上流部に多く生息します。
釣期:4~10月 釣り場:登戸~丸子橋

・シーバス(スズキ)
東京湾へ春の濁りが入る頃、稚アユを追いかけて河川を遡上してきます。水温が高いほど淡水への順応性が高く、多摩川では登戸まで上ることがあります。捕食目的で遡上する魚なので、稚アユ→テナガエビ→ハゼ・ボラ→落ちアユなど季節によって特エサが異なります。ルアーの場合はこのことを考慮してプラグを選択しましょう。
釣期:4~11月 釣り場:丸子橋~河口

他にも様々な生物が生息。世田谷区が行った調査でも多くの個体が確認されています。自然にあふれる河川は最高の遊び場の一つといえるでしょう。
参照:世田谷区 平成23年度 魚類調査結果

餌とルアーを楽しむタックル

・汎用タックル
ルアーもエサも両方楽しむなら3m弱の小型投竿が適してます。リールはナイロン3号を100メートルほど巻いたスピニングリールが扱いやすく、初心者にもおすすめです。
このクラスのタックルならばロッドを45°にした状態で引っ張り、穂先が竿尻と水平になったところでドラグが出るようにセッティング出来れば大抵の魚は獲れます。
大きな魚もいますがいきなり高いタックルは必要ありません。小技を駆使して魚とのやり取りを楽しましょう!

エサ釣り:
これにナツメ型などの10号前後のオモリに、ハリは丸セイゴ13号。ハリス3号40センチと接続すれば、多摩川に生息する30センチ以上となるほとんどの魚を狙うことが可能です。市販仕掛けではウナギ仕掛けを選んで頂ければOK。
エサはミミズやアオイソメなど、生きているものが魚の反応も良く、アタリも早くでます。流れの合流部や淵などの変化のある場所、杭や橋桁などの障害物付近へ投げ込みアタリを待ちましょう。

ルアー釣り:
エサ釣りに比べると魚ごとに有効な種類がことなりますが、基本は10センチ以下のものが反応も良いように感じられます。ミノー・スプーン・バイブレーションなど。河川なので流れの中でもしっかり泳ぐものを選びましょう。
またマルタに関してはフックに夜光玉を取り付けると、ヒット率が格段に上がります。エサ釣りでは夜光玉のみで釣り人もいますのでお試しください。

 

下流部の主な釣り場

登戸・和泉多摩川:
緑も多く川の流れもやや速い場所が多いエリアです。初夏にアユが上ってきてからがハイシーズンとなり、ナマズやスモールマウスバスがルアーで狙えます。エサ釣りではボート乗り場周辺でヘラブナやクチボソ、本流でコイも多数です。アユはコロガシの人が多く、その傍にはアユを狙うフィッシュイーターが潜んでいます。

東名高速~第三京浜:
マルタが主に産卵するエリアで、春は多くの魚が集まります。中型のコイやナマズの魚影もまずまずで、年によってはライギョやスモールマウスバスが釣れることも。主なベイとはモエビやクチボソです。梅雨頃よりアユも入り、ドブ釣りやコロガシで狙っている人もいます。

丸子橋~多摩川大橋:
調布堰より下流の釣り場は潮汐の変化を受ける汽水のエリア。テナガエビやハゼ、ボラなどのベイトが多くなり、それを狙うシーバス・ウナギ・コイが多く生息します。ある程度整地され居る場所も多く、休日には駐車場が解放されている場所もあります。ルアーで狙うアングラーが多いですが、確実な釣果を獲るならブッ込み釣りがおすすめです。

大師橋~河口:
いよいよ塩分濃度も高まりアナゴも混ざりだします。多摩川ではもっともテナガエビが多いエリアでもあり、川崎鉄橋下や六郷水門などメジャーポイントもあります。シジミやアサリが掘れますがウェーダーは欲しいところです。

初夏から夏にかけて

春以降の多摩川下流域も様々なターゲットを狙うことができます。

・5月
コイやナマズの産卵が最盛期となるころ、河口より遡上する稚アユもピークを迎えます。毎年何十万も遡ぼってくる小魚を河川の魚が見逃すはずはありません。丸子橋にある調布堰ではシーバスが集まって稚アユを捕食。ナマズやウナギも稚アユを意識したエサやルアーで良く釣れるようになります。4月に産卵していたマルタも汽水まで下降し、丸子橋より下流で稚アユを捕食します。
河口部での潮干狩りも最盛期となり、アサリやホンビノスが良くとれます。人によってはシジミやサルボウを専門に狙う方も見られます。ただアカエイの産卵期終盤と重なるので、踏みつけて刺されないようスリ足で動くようにしましょう。

 

・6月
遡上していった稚アユが解禁となり、毛針で狙うファンが多く集います。解放されていた調布堰も閉門され、下流部からの遡上魚は少なくなります。
この頃となると丸子橋より下流部ではテナガエビが産卵のため一斉に接岸します。テトラポットや桟橋跡、捨て石周りに多く集まっておりウキ釣りやミャク釣りで狙えます。慣れた人は複数本の竿を操り100匹以上釣るほど。エビは夜行性で、昼はエビの隠れ家が集約される干潮、夜は障害物の上でエサを探しているので満潮を狙うと好釣果が得られます。
捕食魚たちにとってテナガエビは格好のエサ。見逃すはずがありません。シーバス狙いでは生きているものを1匹づけ、ウナギ狙いでは剥き身にして狙ってみましょう。
もし脱皮直後の柔らかいエビが手に入れば特エサとなります。脱皮したエビは夜間に浅い場所でジッと止まっており、網があれば容易に捕らえることができます。

 

・7月
接岸しているテナガエビは産卵期後半へ入り、大型の雄は減ってきます。代わりに姿を見せるようになるのはマハゼ。7cm前後で釣るには小さいサイズですがグイグイ遡上。あわせてボラの稚魚も多く遡上し、登戸付近まで上ってゆきます。
稚アユとならんで格好のベイトとなるハゼやボラをシーバスが見逃すはずがありません。この頃はバイブレーションをロングジャークによく反応します。
夜間の気温も過ごしやすく、下流部でブッ込み釣りでウナギ・ナマズ・コイ・シーバス、手前でミャク釣りでテナガエビ・ハゼが楽しめます。共に通常エサはミミズやアオイソメ、ブッ込みの特エサはテナガエビやハゼとなります。

 

多摩川下流部の遊魚券

多摩川ではガス橋より上流部で釣りをするには遊魚券が必要となります。近隣釣り具店でも扱っているところは意外に少なく、現場でも料金差が無いため係員の巡回時に購入することが多いでしょう。
1日券は1000円、年券は5000円となります。購入したら係員が確認できるように衣類やバッグなどに取り付けてください。