記事検索
カレンダー
2024年5月
« 9月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  



相模湾キハダの攻略について

2012/10/08

最近はコマセ釣りが絶好調のキハダ。近海で50キロ近い大物が狙えるだけあって、平日でも満船となるほどの人気ぶり! 初挑戦でも運良く仕留められることもありますが、コンスタンと釣るためにはいくつものノウハウが存在するのも事実。よりキハダに近づくためにはどのようにすれば良いでしょうか?

【タックル編】

コマセで狙う場合、ハリ掛りさせるまでの食わせの要素もしっかりと考えなければいけません。意外にバランスが重要です。

ロッド

強烈な引きゆえに強靭なロッドを想像しがちです。たしかに間違いではありませんがいくつか抑えるべきポイントがあります。 まずはしっかりとコマセを振れなければなりません。オススメは2メートル前後の7:3から6:4調子くらいのグラス系ロッドです。バット部にしっかりとした張りのあるモデルがファイト時に魚をコントロールしやすいでしょう。できるだけワンピースに近い専用ロッドが安心です。 最近はメーカーで保障ハリスや最大ハリスが記載されているモデルが増えてきたので、だいぶ選びやすくなっています。ただメーカーによってもダイワのように最も強度がでる角度での計測なのか、アルファタックルのように破断しやすい角度での計測なのかで記載に差があるので注意しましょう。 また他魚種からの流用の際はバット部の長さにも注意。主に深場ロッドですが強度は十分でもバットの長さが非常に短いとロッドエンドを腹部に当てて巻き上げようとすると非常に窮屈です。一部のモデルではバットを付け替えられる場合があるので、最適な長さを選びたいところです

柔軟な穂先と強靭な胴を併せ持つ青物ロッド
ただパワーがあるだけでなく操作性も抜群です

リール

マグロの引きをロッドで受け止たら、巻き上げるのはリールの仕事です。 高負荷にも捩れない剛性と力強く巻き上げるギア、そしてスムーズに過負荷を逃がすドラグは不可欠。 ドラグの滑り出しに優れたレバードラグの手巻両軸リールがメインですが電動リールが使う人もいます。 手巻きでは回収とやり取りに優れた2スピード変速モデルなども。ラインキャパは最低でも8号300メートル以上は用意したいところです。

 

金属ボディで高剛性を誇るリールは存在感があります。

PEライン

道糸となるPEラインは8号を標準とし、12号までの太さを300メートル以上は巻きたいところ。これは掛かってからのマグロが走るため、どうしても長さが必要となります。 リールのラインキャパをオーバーするようなら、太さより長さを優先。ルアーでは6号でも100キロ近いマグロは上がっています。選ぶ際には信頼のおけるメーカーのものを。無名の激安品ではマグロを相手にするには無謀です。
そして少しでも痛んできたらその部分はカットし、常に強度維持に気を配ります。また見た目が傷がないようでも一度使ってしばらく間の空いた古いPEラインはご用心。繊維の中に染み込んで結晶化した塩分や、スプール面に発生しやすい錆が思わぬラインブレイクを招く場合があります。マグロは千載一遇のチャンスと勝負する釣りです。多少もったいなくとも安心できるラインを巻き直しましょう。

テンビン

様々なテンビンが販売されていますが、おすすめは全遊動型のカモシテンビン。全遊動の利点を説明してみましょう。

・ハリスの強度が活きる
マグロが疾走した際にコマセカゴやテンビンが引っ張られず、ハリス強度を最大限に活かします。

・微細なシグナルを伝える
高感度 アタリがミチイトにダイレクトに伝わるので感度が非常に良く、キハダのアタリを明確に捉えます。

・オマツリに強い
通常はテンビン部がオマツリしたらラインが出せず終わりですが、カモシテンビンではラインを送り出せるのでオマツリに対処しながらやり取りが可能です。

このようにマグロ釣りには多くの利点があります。ただカツオなどの最後まで走る中型ターゲットは少々苦手。取り込みの際にラインを引き出されやすいので、テンビンを持って寄せずカモシラインのリングを取ってそのままハリスを手繰り寄せましょう。

 

カモシ天秤は専用のカモシ遊動ラインと組み合わせて使用します。
船宿によってはハリスが手繰りにくい、オマツリされると外しにくい等の理由から
使用が規制されている場合もありますのでご注意ください。

コマセカゴ

ただコマセを詰めて沈めるだけではいけません。それぞれの特長を理解し使いこないしましょう。まず大きく分けてプラ製と金属製があります。前者は下部の開度を調整し、後者は穴をゴムで埋めてコマセ放出量を調整しています。 おすすめは「ステン缶」や「テッカメン」といった金属製のもの。これはコマセの出方の関係で上部の穴より水を取り込むまではプラ製も同じですが、そこからのコマセ放出がプラ製では下部の穴より滑り出るので拡散性が低く、アピール力に劣ります。それに対し金属製は穴から放出するのでビシ周りにフワっと拡散するのでアピール力に優れています。

・L80号
船宿指定のもっともオーソドックスなコマセカゴです。ミチイトも指定号数を使用するなら、このサイズを用意しましょう。

・L100号
船宿推奨よりも太いPEライン10~12号のミチイトを用いる方は是非用意していただきたいサイズです。これはラインの角度を合わせ、落下速度を高める為です。自身のメリットも多く、他乗船者とのオマツリといったトラブルを防ぎます。

・FL80号
通常のコマセカゴより一回り細いサイズで、水中での抵抗が少なく仕掛けを素早くタナまで届けます。移動が非常に速い群を狙うには最適でしょう。また潮流の抵抗を受けにくいので速潮でもタナボケを最小に止めます。

・調整用コインオモリ
潮流が非常に速く仕掛けが吹き上げられてしまったり、群れの移動がとにかく速い場合のお助けアイテム。コマセカゴに入れるだけなので必ずタックルボックスに忍ばせておきましょう。

また手返しのインターバルをより正確にする為にもコマセカゴの放出量は確実に把握しておきたいところです。慣れている釣り人はシャクリ動作の負荷の変化でコマセの有無を判断し、振れる回数と強さを決めていると思います。 ですが水面で満タンから振ってどれぐらいで無くなるのかも見ておきたいところ。意外と投入時にコマセが漏れ出していることがわかると思います。 またロスを減らすためにもコマセの詰め方にも一工夫。通常は詰めずに緩く入れて、出すぎる場合に詰め気味に調整してます。そこをコマセカゴの上下を詰め気味に入れて、真ん中を緩めに入れるようにします。 私はステン缶ばかりですが、これをすることによって投入時にコマセカゴ上部に発生する負圧による流出と、シャクリの圧力によって下部から押し出させるコマセを最小に抑えています。 その日のコマセの硬さや潮流によって詰める圧力を調整していますが、基本となる考えは「シャクリによってコマセカゴの中で水流を回す」こと。その上でタナまでのロスは最小に抑えたいところです。

ハリ

大型に対処しなければならないことから、太軸のハリは外せません。口も大きいことから魚体を見れば大型フックを用いたいところです。しかし、注意しなければなない項目も多くあります。

 

・ハリの形状
キハダを掛ける上で意識すべきことは「口に掛ける」です。基本は手持ちで釣るスタイルですが、アタリが散発の状況では置き竿にしてしまったり、手持ちでも油断すれば飲まれてしまいます。 飲まれにくくするだけならハリ先が内側に入り込んだムツ型が効果的。しかし針掛かりを考えれば針先はストレートを選びたいところです。

※おすすめのハリ:ひらまさかんぱち16号・ムツサークル1/0号・
ゴリラ3/0号・メジ・カツオケイムラ16号 など

・ハリの強度
マグロのパワーを受け止めるなら太軸ですが、際限無しに太くしては重くなる一方。強度を保ちつつできるだけ軽量なハリを選びたいところです。 高強度を唄うハリはパッケージに対応ハリスや使用強度を記載しているものも多くあり、それらは一つの選択の目安となるでしょう。また表記のないハリでも軸の線径や平打ちなどの加工である程度は予測できます。購入時にわからないときは近くの店員に質問すると良いでしょう。 さて素材強度のあるハリほど重いもの。潮が無い状況ではハリは天秤から真っ直ぐ垂れ下がり、明らかに食いに影響がでます。これを解決するには重量を浮力で相殺すること。チモトへ浮力のある「東邦産業)ケイムラ玉ソフト」を装着するのが一番簡単でしょう。紫外線発光のアピールも加わり効果的です。

・結び方
強度のある結びができなければ、どんなにハリやハリスが強くても意味がありません。太軸ハリに太ハリスしっかり結ぶコツは一巻き毎にしっかり力を込めて巻くこと。結びに弛みが生じれば、力が均一に掛からず綻びを生み、強度低下を招く結果となります。 「南方延縄結び」や「坂本結び」など有名な結びも多数存在しますが、管付も鐘木もオススメは「フィンガーノット」です。この結びはハリスの本線が全てハリを巻く糸の内側に入り、表面の凹凸が通常よりも少なくなります。外側に縦のラインが全く無いためマグロの歯に拾われず、瞬殺や秒殺で切らることが少ない結びです。用途や強度もハゼからカジキまで対応し、実に汎用性があります。南方延縄結び・外掛け結び・内掛け結びなどで瞬殺ブレイクに悩まされる方はぜひお試しください。
またラインエンドは必ずライターで焼いて抜けを防止すると同時に、熱した直後の焼玉をハリに押し付けてハリとの段差を最小限に抑えましょう。こうする事でオキアミをスムーズに装餌できるようになります。

 

どんなに強度がある結びでも切られては意味がありません。
「何故切られたのか?」をとことん追求すれば自ずとマグロに近づきます。

ハリス

市販仕掛けではコスト面からもナイロンを用いたものがほとんどですが、おすすめはフロロカーボンでしょう。 耐摩擦性の強さは擦れに強く、長時間ファイトでマグロの側面を擦り続けても強度を保ちます。また屈折率が水に近くラインに張りがあるので警戒心緩和と捌きやすさを併せ持っている点も見逃せません。 長さですが現在は3~6メートルを指定する船宿が多いかと思います。私の推奨は3メートルです。「長くすれば食う」わけではありませんがロングハリスが現在は人気。コマセカゴが何個も浮いている海中は明らかに不自然。またアタリも一日で船中10回未満なので長くしたくもなるのでしょう。ですがそれでキハダの食いが変わるかといえば、それほど差のないように感じています。それよりもハリスが長すぎてオマツリを誘発したり、取り込みでバレるシーンを度々目撃しています。短いと食わない不安より、長くて水面でバラすリスクを減らした方が釣れる確率は高まります。

 

多少高価ですが大型マグロが釣れるなら安いもの!?

 

ノウハウの詰まったショップオリジナル仕掛けもフロロカーボンハリスを使用

接続器具

ハリスをテンビンに接続する際のスナップやスイベル類も強度にこだわりたいところです。様々な形のものが市販されていますが、トローリングスナップ(写真左)やハワイアンフック(写真右)を用いることが多いでしょう。おススメはトローリングスナップ。このモデルの強度は申し分なく、着脱も容易なのでオマツリの対処も楽。相模湾キハダなら5号や6号が最適です。次いでハワイアンフックは抜群の強度を誇り、値段も比較的安価で入手しやすい一品。ただ着脱はコツが必要で、素早く行うならプライヤーは必須でしょう。釣り場で多く見かけますが気を付けたいのがインターロック付きスナップ。このスナップは着脱しやすさと表示強度や値段はまずまずなのですが、瞬間負荷に開きやすく、サイドにワイヤーが出ているため、手繰る際に怪我を誘発します。脇役的な小物たちですがマグロの引きを受け止める重要なパーツなので妥協せず選びましょう。

付けエサ

「付けエサはオキアミ」ここで思考を止めてしまっては釣果向上は難しいでしょう。マグロと直接接する部分だからこそ一層の拘りを持っていただきたい部分です。 まず付けエサとなるオキアミは「大粒」で頭がしっかりと詰まった「形状が整っもの」であり、各部の「欠損が無い」個体を選びます。釣り具店ではブロック状のものと選別パックがありますが、オススメはブロック状のオキアミです。これは同じ単価でもエサの量は圧倒的に多く、良質な個体を多く拾うことができます。選別パックは一度解凍された状態から選別されるので鮮度的にやや不利で価格も割高となります。

・解凍
ブロック状のオキアミを購入したら、釣行日前日なら冷蔵庫でゆっくりと溶かして下さい。冷凍食品を解凍するように扱います。ブロックの内側と外側で温度差の激しい解凍方法はNG。透明感が失われ白っぽくなってしまいます。 現場で解凍する際は日陰で解凍が無難ですが、急いでいることもあるでしょう。ビニールに包み海水バケツで解凍することが多いと思います。外側は温度差も大きく水圧で潰れるので付けエサには適しませんが、内側は十分に使えるでしょう。 もっともオキアミにダメージが大きい解凍は循環海水ホースを入れたバケツに袋から開けて出して解凍する方法。見た目は水圧が掛からずフワっと仕上がりますがオキアミの温度が一気に上がってしまうので、その後の鮮度低下は明らかです。

・加工
鮮度に注意し解凍したブロックから良質のオキアミを選別できたらマグロに適した加工を施します。 まずは尾羽付近のカット。ハサミを使って切り口が潰れないようにスパッと切断します。切断面は自身が用いるハリがしっかり入るサイズになるよう調整が必要です。太軸のハリでは斜めにカットすると切断面が大きく刺しやすくなります。 エサもちを優先するならアミノソルトのような添加材を使用するとオキアミの身が締まり、太軸のハリでも潰れにくくなります。ただし掛けすぎると硬くなりすぎるので要注意です。 また付けエサを目立たせるために紫外線加工も常套手段。移動が速くやる気のある群を追う状況に有効で、振り撒かれたオキアミの中から紫外線発光で目立たせ、魚に的を絞らせます。

・保管
「選別」「加工」を経て魅力的に仕上げた付けエサのオキアミも、そのまま船上で放置しては傷んでしまいます。しっかりと鮮度を保つ意味でも、保管はタッパーに入れてクーラーボックス。必要分だけを小分けに出して使います。 オキアミはマグロにとっての「食品」です。人間のそれと思えば自然と丁寧に扱えるようになります。

・疑似オキアミ
最近では特船オキアミやスーパーオキアミといったゴム製のオキアミが存在します。コマセマグロ釣りでは太軸ハリのチモトまでしっかり刺せるので愛用者も多い一品です。そのままでも良いですが一工夫すると更に効果的。特船オキアミならカラーチューニング、スーパーオキアミは頭部への夜行玉挿入などが効きます。

  

 魚との接点となる部分なので最もこだわりたい部分です。

 

【実釣編】

捕食動作を考える

コマセ釣りではコマセワークが非常に重要なのは言うまでもありません。セオリーとなる撒きかたは船宿指示通りですが、まずはターゲットがどのような泳ぎ方でエサを食うのかを理解しなければなりません。

・キハダの補食動作
ターゲットのキハダマグロですが見た目は紡錘型でいかにも高速遊泳に向いている身体つきです。実際泳ぐ速度は凄まじく、針掛かりしてからの抵抗は強烈です。
ではエサを食うときはどうなのか? ということですが、遊泳力の強い魚系を襲うときは良く映像であるような凄まじい速度で下から上へと突っ込んでゆきます。派手なボイルやジャンプが見られるのもこのときです。
そしてオキアミを食うときはというと、現在の相模湾のような飽食状態ではかなり遅い速度で補食していると思われます。意外に思われるかもしれませんがシラスを飽食状態で襲っている時のキハダの遊泳速度はボラ並です。それこそ人の歩く程度の速度になります。となると下から突き上げる奇襲的な補食ではなく、ゆったり横方向に泳ぎながらエサを食っているのでしょう。このことから移動が速く食い気のある群は縦を意識しコマセを撒いて下から突っ込ませる感じに。逆に飽食状態で食い気があまり無い群はコマセマダイのようにポロポロ出すほうが効果的かもしれません。

最初は「60~80メートル」と船長より幅をもって指示されたタナも、船側に群れが近づくと「反応入ってくるよ」と予告から「75mぐらい」といった細かい指示に変わります。あまり忙しなくコマセを打ち返していると大型個体に警戒されやすいだけでなく、通過のチャンスを逃しかねません。指示タナ変更に仕掛けを合わせる準備はもちろん、常に一振り分ぐらいのコマセはビシに残しておきたいものです。

合わせ

予告があると程なく船内にアタリが訪れます。アタリは穂先に「コン」と短く軽い衝撃、もしくは「フワフワ」と揺するような振動がきて一寸間をおいて「ズドン」とロッドを絞りこんできます。この際、ヒラマサバリのようなハリ先が立ったハリの場合は、走る前のアタリで合わせを入れるのが理想的。ムツバリのようなハリ先が内側に入ったハリは「ズドン」とロッドが絞り込まれてからでも高確率で口元に掛かります。
もしアタリを感知し損ねていきなり走られた場合、走っている最中に鋭い合わせは厳禁です。これは飲み込まれてハリスに歯が当たっていた場合、鋭い衝撃は自らハリスを切断するようなもの。走りが止まってからグイっとロッドを絞り込むように力を掛けるのがポイントです。これでハリスやハリが口の際に移動しやすく、がっちりと掛けて獲ることができます。重要なのは口元にしっかりとハリを掛けることですが、飲み込まれて喉元に掛かったと思っても諦めてはいけません。
硬いマグロの口に掛けるにはそれなりの力が必要ですが、合わせの力の掛け方は押し刺すイメージです。重量を感じたらそのまま力を込めましょう。鋭く貫くような合わせはすっぽ抜けやハリス切れが多く感じます。

ヤリトリ

・ドラグテンションのコントロール
掛かったマグロは猛烈なスピードで疾走します。それこそスプールからライン全てを引き出すほどです。しかし慌ててはいけません。走るなら走るだけだしてしまいましょう。
掛かってからのポイントは「相手の体力を先に尽きさせる」につきます。その為にはマグロの特徴を把握しておく必要があります。マグロは高負荷でゆっくり短い距離を走らせるより、低負荷でも長い距離を走らせたほうが体力を消耗します。初期ドラグは3キロ前後が妥当でしょう。
そして体力が尽きてくるとマグロは首を振って抵抗します。このときロッドを叩くような振動が伝わるので、このシグナルを見逃さないように注意しましょう。
そうしたらドラグを増し締めし、ポンピングも入れずに一気にゴリ巻きます。マグロは体が硬いので一度顔を向けてしまえば、後は尾ビレを振ってもこちらに向かって巻き上げのサポートをしてくれます。
しかし油断は禁物。隙を与えたらヒレで軌道を変えてしまいます。こうなると再び顔を向けさせる際に余計な抵抗をされバラシの危険性が高まります。ポンピングをするならショートストロークを心掛け、隙を与えないように細心の注意を払いましょう。

・電動リールの注意点
空巻きの利便性や体力不足から電動を用いることもあるでしょう。しかし現行モデルはだいぶ改善されたとはいえ、電動リールは剛性面・ドラグでは中級以上の手巻きリールに劣る傾向にあります。
ボディはモーターや配線が組まれているために、構造的自由が少なさから剛性が十分確保できず、手巻きがいまいちの物も。ドラグも小径ワッシャーを多板式に納めているので最大ドラグ力の数値が出ていても、滑り出しや持続性ではレバードラグ式のような大口径ワッシャーを採用するものには大きく劣ります。そしてマグロを相手ではその引きによって釣り座の移動を余儀なくされる場合も多く、電源確保も悩みの種です。このようなハンデを背負ってマグロに挑むことを認識しなければなりません。
ファイトは電源や場所的な制限が無ければロッドキーパーに預けた状態でのファイトが確実です。電動リールに十分なパワーがあるのなら、そのまま巻き上げてしまう方法が最もバラしが少なく上がってきます。パワーが足りなければロッドをキーパーのサポートに固定した状態でのポンピングで対処。ロッドを手で起こし、巻き上げスイッチを入れながら倒し、止めます。
これでもパワーが足らない場合は電動リールの巻き上げをアシストに使いながら手巻きで勝負することになります。事前に確認しておきたいのはモーター作動中の手巻き。電動自転車のようなアシストするモデルと、手巻き速度を加算する増速モデルが存在します。
最後の難関は残り数十メートルの手巻きです。高負荷の勝負となればスプールに巻かれるラインは締め込まれて小口径化し必然的にカウンターは狂います。ですので電動巻き上げではほぼ確実に10~20メートル手前で止まることとなります。ここをしっかり巻き取れるかどうかが最後の難関です。

・サメの猛攻を突破せよ
さて現在の相模湾は残り30メートルが鬼門となります。ここから水面まではサメ多数。酷いときは船下に数匹が待機し上がってくるマグロを狙ってきます。
無事に切り抜ける最重要項目は素早く回収すること。ロッドキーパーに接続し、ドラグを締めてゴリ巻きします。ポンピングは回収が遅くなるばかりかマグロを揺すってサメにアピールしてしまうので厳禁です。
ドラグを締めるとラインブレイクのリスクもありますが、ゆっくりやってはサメに襲われて頭だけになります。パワーファイトでヒットから5分と経たずに残り30メートルでは危険かもしれませんが、通常は有る程度走って体力を消耗しているので勝負を掛けましょう。
またサメに襲われ始めるとロッドが激しく叩かれるような振動がおきます。こうなると選択は二つ、更なる速巻きを敢行し被害を最小に抑えるか、マグロが元気なことを期待してドラグをフリーに走らせるかです。正直どちらも怖いですが何もしなければ全てを失います。覚悟を決めて選択しましょう。

YouTube Preview Image

・取り込み
マグロが旋回して姿を見せれば後もう一息。テンビンをつかみ、ハリスを手繰ってゆきます。船長やネットマンと呼吸を合わせ旋回する円を狭めてゆきましょう。思わぬ疾走をする場合もあるのでハリスはいつでも手放せるよう一層注意が必要。危険なので絶対に手に巻いて手繰ってはいけません。ネットやギャフが決まれば釣り人の勝利。ネットは入る瞬間にハリスをゆるめて奥までしっかり誘導しましょう。

YouTube Preview Image

 

マグロの保管と解体

やっとの思いで釣り上げたキハダマグロ。魚体が大きいだけにそのまま入れるなら大型クーラーボックスが必要です。しかし全員が大型クーラーボックスを乗せてしまえば、それこそ足の踏み場もなくなってしまうでしょう。
そこで最近の乗合船ではマグロを保管できる超大型クーラーや魚倉を用意し対応しています。釣れたらインシュロックやバンドなどで目印をつけて入れさせてもらいましょう。また港に戻ってからはマグロ解体サービスのある船宿も増えてきており、超大型クーラーがなくてもマグロに挑める環境が整ってきました。もちろん最高の食味を求めるのなら、魚体に包丁を入れず大型クーラーボックスにて熟成させましょう。現在の25~50キロぐらいまでのマグロなら熟成期間は約一週間といったところ。大型クーラーの置き場や氷の確保そして解体などそれなりに大変ですが、苦労に見合う最高の食味が待っています。また解体サービスにてブロック状で持ち帰った場合も熟成させて美味しく頂けます。その場合は酸化の早い血合いを切除し、キッチンペーパーにくるんでからビニール袋に入れて保管します。酸化を最小限に抑えるためビニール袋内の空気は極限まで抜き、キッチンペーパーは毎日交換しましょう。ちなみに熟成が必要なのは刺身などの生食なのでステーキやフライ、煮物などは釣った当日からOK。ですので焼き物などを楽しみながら、最後に生食の刺身や寿司といった順ならば釣った当日から毎日食すことができるでしょう。

YouTube Preview Image

  

数々の幸運が積み重なって食べるマグロは最高の食味です

回遊の幸運をお見逃しなく

今年は釣れ盛った相模湾のキハダマグロですが毎年回遊してくる魚というわけではありません。まして姿を現してもコマセにつくまで時間が掛かるので今年のような釣れっぷりを見せたのは4年ぶりです。10月までの時点でコマセの最大魚は60キロ強。ルアーでは腸抜きで77キロまで上がっています。水温分布的には10月一杯までが釣期となりそう。回遊魚は釣れているうちが勝負です。本来ならば遠征でしか出会えない大物と、近場の海で渡り合える幸運をしっかりと楽しんでください。

 

提灯行列を狙え!銚子沖アコウダイ

2012/06/27

深場釣りの人気ターゲット、アコウダイ。普段は水深300~600mに生息する深海魚。初夏になると産卵のため、浅場へ移動してきます。

暖流と寒流のぶつかる銚子沖

今回狙う銚子沖のポイントは北からの親潮と南からの黒潮がぶつかり合い、非常に豊かな漁場を形成してる場所の一つ。そこで育つアコウは食味も抜群!ご当地ではメヌケと呼ばれ親しまれています。数もそれなりに生息しているとあって、比較的安定した釣果を得ることが可能です。銚子沖のアコウダイはポイントが遠く、出船時間が非常に早いのも特徴の一つ。今回、お邪魔したのは外川港福田丸も午前2時半に出船し、釣り場まで2時間半の航程。キャビンでぐっすり眠りながら向かいます。

マグネット投入で楽々♪

空も明るくなった午前5時にポイントへ到着。しっかり眠れれば短時間でも身体はずいぶん楽になります。 今回使用するアコウ仕掛けは以下の通り。福田丸では仕掛けを再使用するスタイル。船縁には強力なマグネットが設置されているので投入は楽々。仕掛けの消耗も少なく経済的です。 注意点として「エサは持参」となるので用意を忘れないでください。

・胴付き10本針: ムツバリ22号 ハリス18号65センチ 幹糸30号1.3メートル オモリ:500号 中オモリ50号 エサ:サバ切り身 ・イカのタンザク

基本的に大ドモから順に投入するスタイル。1人投入が終わる度に船を前進させ、各人の仕掛けが絡まない用に最適な間を作り出します。 この投入ですが通常はマグネット投入が無難です。その理由として治具投入では仕掛けコントロールが困難であるということ。下膨れ形状の胴付オモリ500号を使用した場合、落下速度が非常に速く、ある程度慣れていなければ危険です。船で用意されているオモリも鉄製ワンダーワンで下膨れなので落下速度は速め。初心者はマグネット投入で安全に投入しましょう。

一流し目から本命浮上

各人の仕掛けが藍色の海へ吸い込まれてゆくと、ゆっくりと船を戻して船長より水深のアナウンス。「水深550メートル。段々掛け上がってゆきます」 アコウダイの仕掛け操作の基本は底たたきの状態を作り出すこと。時折オモリが海底をたたく状態をキープし、根掛かりを極力避けることがポイントです。 船長曰く深場釣りの仕掛けコントロールは「オモリに聞く」とのこと。様々な変化はオモリによって伝達されます。それによって状況を推測し仕掛けを操るのが釣り人の仕事。大雑把なイメージの深場釣りは昔の話。何もしないで放置して釣れるほど甘くありません。細かな状況判断と仕掛け操作が釣果を伸ばしてゆくのです。

刻々と変化する海底地形からアタリを引き出すべく、各人が底取りに集中。しかし潮に吹かれてラインが斜めに入ると、とたんに難易度が増してきます。 オモリが海底をとらえる感触は曖昧となり、知らず知らずのうちにオモリを引きずると、たちまち根掛かりしてしまいます。ラインが斜めに深く入るときは一度10メートルほど巻き上げてから落とし直すと効果的。多少なりラインの角度が戻り、底の感触がつかみやすくなります。

しばらく流していると数名の穂先がアタリをとらえ始めました。「ゴクン、ゴクン」という独特の鋭い引き込みはアコウのアタリに間違いなさそうです。 まわりがアタリだせば自分もチャンス!海底で群れるアコウは1尾でいるということはほどんどありません。仕掛けの位置がそう離れていない以上、自分に当たる確率も大です。 福田丸は自由回収のスタイル。確実に1尾を獲るもよし、提灯行列を夢見るもよしです。ただし追い食いにはリスクも付き物。いつの間にか居なくなることも多々あります。そして最も注意しなければならないのは根掛かり。オモリが切れるだけと安易に考えてはいけません。特に追い食いを狙っているときは先に掛かった魚が暴れて針穴が広がっています。そこにオモリが切れた瞬間的な高負荷が掛かってしまうとバレることが多いとか。 アタリによってオモリからの海底情報が聞きにくくなるので細心の注意を払って仕掛けを操作しましょう。

仕掛けを操作しアタリを待つも無念のブザーの巻き上げ合図。魚のいない仕掛けを手繰っていると隣ではポコン、ポコン、ポコンと3尾のアコウが浮上。その隣でもアコウが上がっています。一流し目から姿が見れて上々のスタートとなったようです。

速潮にはオモリ700号も・・・

2流し目もポツリポツリと釣れますが、依然私にはアタリなし・・・。モゾモゾと微妙な魚信はありますが、周りのアタリから見てもアナゴやギスなどがイタズラしているのでしょう。それよりも潮流が微妙な形となってきました。落下途中の変速具合から最低3層に分かれていそう・・・。表層は北へそれなりに流れるも中層は停滞、そして400m以深はトロトロと流れている模様。これもあって投入巻上中の糸は右へ左へと向きを変え、油断するとすぐにオマツリに。斜めに入ったラインでは着底のシグナルも一瞬だけ。これを捉えきれないと潮流でズルズルラインが引き出されるばかりで根掛かりは必至です。 この状況に船長からはオモリを追加する提案も・・・。500号のオモリに200号を巻き付けて合計700号・・・。潮流が速くなると度々使う手段とのことなので、メインのオモリのほかに予備で200号は数本積んでおいたほうが良いでしょう。 「確実に底をとれる手段の確立がアコウの敷居を下げる。そういう意味でも800号ぐらいのオモリを是非ともメーカーに作ってほしい。」と船長談。もとより手持ちにすることのない深場釣りでは仕掛けの挙動が明確に把握できた プラスオモリは効果効果的。しかし着底を確実にとれる手段ではありますが、PE8号のライトライン派には厳しいところ。浮力のある魚と違い、追加されたオモリの負荷はかなりのもの。直線強力的に大丈夫でも、強い負荷で緊張状態のラインはオマツリの擦れに意外なまでの脆さをみせます。

一流しだけ行ってみるもやはりオマツリは解消されません。そこで船長が機転を利かせてスパンカーを下し、船向きと潮流を同化を試みると何とかオモリ500号でも流せるようになってきました。

一挙に8本!提灯行列達成

普通に仕掛けが下りるようになれば、オモリの情報を聞き取る動作もグッと楽になります。「ここは駆け上がるところ。根のジャングルを抜け、林となる感触をオモリから聞き取るんだ」と船長のアナウンスも入り、仕掛け操作をしながらも穂先には外道のいたずらやオモリの擦る感触など、様々な情報が伝わってきます。
そして待望のアコウのアタリも到来♪ アコウダイは通常、アタリの強弱に応じて道糸を送り込んで数を伸ばすのがセオリーです。しかし船長が「根のジャングル」と形容するほど流しているポイントは起伏の激しい海底形状。少しでも送り込めば一瞬で根掛かりするほどです。ゴクン、ゴクンと引き込まれるアタリを見ながら、その中でオモリが底を突くシグナルもとらえなければ折角付いた魚も逃がすことになってしまいます。

ウネリの動揺も重なり判断は難しい所ですが、船長もマイクを片手に身を乗り出してサポート。何とか根掛かりを避けて巻き上げに入ると、ロッドは大きな弧を描いています。揺れる穂先を見ながら大きなウネリで巻き上げが僅かに滑る程度にドラグを緩め、500メートルをワクワクしながら巻き上げは様々な想像が膨らむ楽しい時間。残り200メートル前後で一層激しく暴れ、残り70メートルぐらいからラインが斜め前に流れ始めればいよいよ浮上。 リールの巻き上げが止まるより速く、「ボコッ」「ボコッ」と続々とアコウが浮き始めます♪ 綺麗な紅い提灯行列となり、一挙に8尾ゲット。この光景を味わってしまうと深場釣りは止められません。

 YouTube Preview Image

深海巨魚アブラボウズの気配

次の流しも同じ根に仕掛けを入れます。下ろすとともに船内では次々つぎとアタリをとらえ、私もすぐにアタリ到来。しかし今回は操作ミスもあって根掛かり・・・。外そうと何度かライン操作をしているとズルッとオモリが岩礁を擦るような感触と共に外れた模様。魚も付いているようなので巻き上げに掛かります。 500・・・・400・・・・300と順調に巻き上げをしてくるも300メートルを切った辺りから暴れ方が随分激しくなってきました。念のためドラグを緩め、巻き上げ速度も落として様子をみていると100メートルを切った辺りで大きく暴れはじめ、残り70メートルで穂先から一気にテンションが抜けて無念のバラし・・・。しかもバレてみるとオモリの負荷は全く無し。どうやら重量すべてが魚だった模様・・・。痛恨の極み。 それでも多少は重量が残りアコウ2尾をゲット。そして仕掛けを回収してみると、ハリ2本が無惨な姿に・・・。伸びたハリを見て「アブラボウズだったね~」と船長や乗船者。もう少し速度を落としドラグを緩めるべきだったと悔やまれます。

銚子沖に効くタコベイト

その後も流しの度にポツポツとアタリ、順調に数を伸ばしてゆきます。その中で明らかに釣果に影響を与えるアイテムが・・・・。 下田漁具)クラゲ4号鮭皮ブラック。夜光カラーのイメージが強いアコウダイ釣りですが、実際にそればかりでは深海ザメやトウジンなど黒い外道を呼び寄せてしまいます。そんなときに有効なのがローアピールのタコベイト。 銚子沖では鮭皮ブラックとケイムラクラゲが実績カラー! 後から仕掛けに取り付けることは容易ですのでタックルボックスに忍ばせておきましょう。

シーズンは夏前まで

12時近くまで流して今回の釣行は終了。回数にして10回近く流したでしょうか? 実釣時間は約7時間。帰港までの2時間半は心地よい疲れと共にグッスリ快眠できました。 福田丸のアコウはシーズン終盤です。これから夏の潮となって流れが速くなりサメが増えてくると終了。7月ごろまでが目安です。
それでも魚影は抜群!いい潮の日に釣行できれば提灯行列も夢ではありません。繊細な仕掛け操作を行い、見た目と違って意外とテクニカルなメヌケ釣り。ぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょう?

外川 福田丸
℡0479-22-5741

[使用タックル]
ディープマスターCX-9H240
コマンドX-9NP
PE12号1400m

遠征釣りで見た!電動ジギングの威力

2012/05/09

今年もイナンバにキハダやビンチョウマグロが回遊する季節となりました。ジギングで重いメタルジグを動かし続けるため若いアングラーが大半を占めています。「ルアー」というジャンルと、重たいジグを一日中操りマグロと勝負する体力的な問題から、敬遠されている餌釣り師も多いことでしょう。しかし現在の餌釣りタックルは初挑戦であっても十分な釣果を出せる性能を秘めています。

遠征船のエキスパートで挑む

4月に入ると漁海況速報で水温分布表とにらめっこする日々が続きます。例年4月から5月に掛けて黒潮が沿岸部に近づくことが多く、20℃の水温帯にキハダやビンチョウが乗っており、それがイナンバや御蔵島へ接岸すると一斉に遠征船たちが出船を開始します。遠征釣りでよく聞く「イナンバ」は伊豆諸島御蔵島の南西、伊豆半島先端から110キロメートルほど離れた海域に浮かぶ無人島です。見た目は島というより巨大な岩礁といった感じです。マグロ以外にもカンパチ、ヒラマサ、シマアジといった大型回遊魚やモロコ、ハタなどの大型根魚が狙えます。「限定近海航路許可」を取得した船舶のみが釣行でき、出港地により差がありますがルアーの平均乗船代金は30000円ほどです。
今回、いち早くイナンバへ出撃したのは遠征船の大御所、土肥とび島丸。舵を握る鈴木船長は釣り人を大物と戦う「勇者」とすべく、日々研究と大胆な挑戦が魅力の船長。船内の独特の雰囲気やマイク演出は自然と釣り人を高揚させ、大物遠征を存分に楽しませてくれます。
遠征釣りを行うだけあって船は遊漁船としては最大クラス。多少海況が悪くても揺れが少なく、第11とび島丸はベッドも完備され釣り場までの往復はゆっくり寝てゆくことが可能。出船時間が早くとも釣り場に着くまでに休むことができます。初めての挑戦でも乗船前から丁寧なレクチャーで安心して挑むことが可能。上乗りさんも乗船し心強いフルサポート体制。きっと記憶に残る釣行となるでしょう。

 

初心者でも大物釣りがしたいと思ったら「土肥とび島丸」です!

電動ジギングの威力

黒潮よせるイナンバへ向け、土肥港を1時半に出港し、釣り場についたのは6時過ぎ。前日が荒天だったためウネリは強く残り3メートル近い波高となっています。
私は普通のジギングタックル。同行のF氏は電動ジギングで参戦。電動ジギングとは「電動リールの巻き上げ+シャクリのコンビネーション」で狙う釣法。ペースを乱すことなくアピールできるため、動体視力に優れ警戒心の強いマグロ類に有効です。

そう、実に有効なのです。一流し目こそ全員空振りとなるものの、先頭に立って掛けまくる電動ジギングのF氏。普段より深めの200メートル以深に反応が出ても余裕で攻めきり、荒れた海も何のその。船内でバラしが多発する中、一切バラすことなく上げてきます。
ルアーアングラーの端くれとしては複雑ですがこの威力は本物・・・。いったい何がおきているのでしょうか?

YouTube Preview Image

電動リールのパワー

船のエサ釣り師は最近の電動リールのハイパワー化はご存じの方も多いでしょう。ルアーアングラーは触れる機会も少ないので分かりにくいかもしれません。
たまに「手巻きと電動どちらが強いの?」と聞かれることがありますが、同じラインキャパの現行ハイエンドモデル同士ならば、電動リールは人間の力を越えています。
ギア比などの条件もありますが、少なくとも電動リールのブレーカーがあがる前に殆どの人間はヘバります。何百台と電動リールやオフショア用リールの糸巻きをしての結論です。それほどのパワーを現在の電動リールは秘めているのです。
また最近はテンションコントロール機能を持つモデルも多く、引きやウネリの強弱によって巻き上げ速度を変動させ、ラインを保護しバラシを防ぎます。そして構造がベイトリールなのでフォール中のバイトに対しての応答性も良好。最近はスピニングリールが多いジギングにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。

エサ用青物ロッドの利点

電動リールを用いてのジギングが電動ジギングとなるわけですが、その際に専用のジギングロッドを用いる必要はありません。メジ・カツオやカモシ釣りなどで使うような、ワンピースロッドであれば十分通用します。

・ラインが切られにくい
マグロは非常に目の良い魚です。特に動体視力に優れ、怪しいと感じたものを瞬時に避ける危機回避能力もなかなかのもの。当然、太ラインを見切る能力も優れ、太いリーダーによって一人だけ釣れないなどということも発生します。
故にイナンバでは20号(60ポンド程度)のフロロリーダーを用いるアングラーが多く、対象魚に対して細めなので一瞬の油断で切られる場面を目にします。
「太ければ食わない、細ければ切られる」よくある話ですが、いかにラインを切られないかが重要です。
この問題で大きなアドバンテージを持つのが餌釣り用の青物ロッド。グラス素材を多く使用したブランクは、カーボン素材ほぼ100パーセントのジギングロッドには出せないクッション性と驚異的な粘りを生み出します。
これによりロッドをしっかり立ててファイトできれば、ドラグで過負荷を逃がしつつ、ラインブレイクの原因となる瞬間的衝撃を避けることができます。

・バラしにくい
メタルジグは200グラム前後の重量。それが口元のフックから下方向へ自重が掛かっています。当然巻き上げる方向と逆なので、ファイトによって針穴が広がったところにウネリによってテンションが抜けてしまうとスッポ抜ける事態が起こります。これで悔しがる人を何人見たことか・・・。
柔軟に曲がるグラス素材を用いたロッドは魚が掛かれば常にテンションを与え続けます。加えて長さもそれなりにあるので、ウネリの上下動によって起こるテンション抜けが少なくバラしを防止します。

 
曲がり方は一目瞭然!ファイトにおいてはエサ用青物ロッドは断然有利です

これらのロッドはジギングロッドにおける分類ではローレスポンスロッドに属します。ローレスポンスロッドは弾性が低く、ブランク戻りがやや遅いのが特徴。ジグを跳ね飛ばすようなアクションは苦手ですが、メリハリあるストップ&ゴーのような動作は得意とします。その動作でも十分に釣れるのですが更に釣るために有効なメタルジグが存在します。

ローレスポンス対応のメタルジグ

イナンバでの流しはマグロの反応を見ながら、イナンバ島へ向けて潮に乗る方法。スパンカーを出した船は風に舳先を向け、船下を流れる潮流は1.5ノットから速いと4ノット近くになることもあります。ここへ200~300グラムのジグをマグロの反応に応じて70~200メートル落とし込みます。
ラインが斜めに入り速潮に流されたジグへ、ロッドの反発力でスライドさせるようなアクションを入力することは極めて困難。船上でしっかり動かしているつもりでも、糸フケによって力の伝達は緩慢になり、ジグは棒引き状態になることも多数。これを防ぐためにハイパワーな高弾性ロッドに300グラム以上のヘビージグを組む選択もありますが、大抵は数流しでバテてしまうことでしょう。
電動ジギングで前記のタックルではジグの棒引き状態は必至です。しかし逆転の発想で棒引きになる緩慢な力をウネるようなアクションに変えるジグが存在します。

・MCワークス)ガタージグ
独特の溝が掘られたボディが最大の特徴。従来のようなロッドで弾いてスライドさせるアクションは苦手ですが、独特の溝が潮流を逃がし、ウネるようなアクションを発生させます。これにより単純なストップ&ゴーの棒引きが、ウネる動作による誘いとフラッシングによるアピール。そして独特の波動を演出し、食わせの間となるストップでたまらず食いつくというわけです。
正直私もその威力は実際に目にするまでは半信半疑でした。しかし、目の前での爆釣劇とジグの適正ロッドの関係から間違いなく通用するものと確信しました。
このジグはジギングでは珍しいローレスポンスロッドの使用を前提としたモデル。反発力の強いハイレスポンスロッドで「弾く」のではなく、反発力の弱いロッドの「戻り」によってウネる動作を生み出しています。
これは餌釣りのロッドが非常に得意とするアクション。常にオモリを下げている餌用ロッドは曲がっている状態が基本であり、餌の不自然な動きを押さえウネリをかわすしなやかなブランクはガタージグとの相性が非常に良いのです。

ヒット連発!これぞパワースポット「イナンバ」

次つぎと掛かるマグロにファイトと取り込みで船内のテンションは最高潮!ジャーク後の間で食ってくるパターンが多いものの、フォールにもバイトは出ており、糸フケに注意し一瞬の変化を見逃さないことが重要。特にスピニングタックルではバイトが見難いのでフェザーリングでジグのフォールを妨げない程度にラインを張ると効果的です。周囲に海鳥は多く、流し変える度に複数ヒット!水深が200メートル以浅のイナンバの根に差し掛かるとヒラマサも登場。しかし根についたヒラマサは大型でパワーも凄まじくラインブレイクも・・・。それでも14キロと19キロが浮上!切っていったヒラマサはもっと大きそうです。 各自様々なアクションを試してますが基本はワンピッチジャーク。マグロ類はフォール中のバイトも多いので少しでも落下速度が緩んだらアワセを入れてみると取りこぼしは少なく済みます。 ファイトに入ったらパワフルな魚の引きを楽しみましょう。大きいようなら膝を曲げて腰を落としどっしり構えるぐらいで。最初から全力ではバテてしまいます。長距離走のようにスタミナ配分を考えた勝負が基本。リラックスして楽しむ心が重要です。 大きいようならポンピングをしますが大きいストロークはNG。体力の負担も大きいですし、負荷抜けによるバラシや魚に反転の隙を与えます。ショートストロークで小さく素早く巻きとって距離を詰めてゆきます。残り20メートルを切ったら周囲に声を掛けておきましょう。 取り込みはギャフマンと息を合わせて。マグロ類は回って上がるのでタイミングを予測して素早く掛けてもらいましょう。だらだらと旋回させ続けてはオマツリの原因になりますし、船下に突っ走られると体勢的にかなり苦しくなります。 無事にギャフが入れば捕獲成功!とび島丸では上乗りさんが保冷用魚倉に運んでくれますので大型クーラーの船内持ち込みは不要。撮影とタグ付けが済んだらお任せしましょう。

YouTube Preview Image

 
 

掛かる魚は10キロオーバーばかり!これが遠征釣りの魅力!!

記憶に残る特別な釣行を

興奮度満点の遠征釣りの時間は瞬く間に過ぎ去り沖揚がりの時刻を迎えました。ファイトの達成感に酔いしれる者、無念にもブレイクされ再挑戦を誓う者など人それぞれですが、乗船したアングラーの記憶に強く残る釣行となったことでしょう。結果はキハダマグロ船中1本、ビンチョウ船中24本、ヒラマサ船中2本、ヒット数はその倍以上。その他メダイ・小カンパチ・カマスザワラまじりです。
遠征船は技術も運も資金もタイミングもいる釣りです。しかし乗船した釣り人にはそれ以上の大きな感動を残します。「近場で気軽に」と違う特別な釣行。遠征釣りという「お祭り」に気合いを入れて挑んでみてはいかがでしょう。

土肥 とび島丸
℡0558-99-0159

[使用タックル]
ノーマルジギング:

SGコースタル コンビジャーク64
ソルティガ4500
ウルトラダイニーマWX8 4号300メートル
シーガーFXR船20号5メートル
キラージグⅣ210グラム

電動ジギング:
ゴウインブルHHH240
電動丸BM3000ムテキ
シーガーFXR船20号5メートル
ガタージグⅣ210グラム

春~初夏の多摩川を楽しむ

2012/04/25

河川下流部のターゲット

桜が咲き始める頃より、多摩川では生物の動きが活発となります。様々な魚がおりますが多くの種にとって春は産卵のシーズン。釣りのターゲットになる魚も豊富です。今回は河口から約25キロ上流となる登戸までの主なターゲットを見てみましょう。

・マルタ
普段汽水に生息するマルタウグイは3月中旬より遡上を開始。河川中流を目指し活発にジャンプをしながら遡ってゆきます。全長は50センチ前後になり、活きエサから練りエサまで貪欲に食すためルアーやエサで簡単に釣ることができます。
河口部ではシーバスの外道としてお馴染みですが、最近はトラウト用のライトタックルやフライで狙うスタイルが流行っています。
釣期:3~5月 釣り場:登戸~丸子橋

・コイ
河川の清掃目的で放流されているコイは様々な餌を食べる雑食性。4月中旬~5月中旬に掛けて産卵の為に浅場へ群れて移動してきます。平均サイズは60センチ近くあるのでファイトもかなり楽しめるでしょう。
3月頃から産卵期までの期間は栄養を蓄えるべく魚食性が高まりルアーへの反応も良好です。学習能力の高い魚で餌釣りで狙う際はハリなどの金属の反射光を大変嫌うので注意しましょう。
釣期:周年 釣り場:登戸~多摩川大橋

・ナマズ
冬季はほとんど動かなかったナマズも水温上昇と共に動き始めます。産卵期はコイとほとんど同じで4月中旬~5月中旬。夜間に浅場で水を跳ねながら産卵する様子が見られます。典型的なフィッシュイーターですのでルアーへの反応は良好。しかし、ナマズにとって水温の低い春は水面を割って出てくることは希で波動の強いミノー系が有利となります。
汽水は嫌いなようで多摩川では丸子橋より上流部に多く生息します。
釣期:4~10月 釣り場:登戸~丸子橋

・シーバス(スズキ)
東京湾へ春の濁りが入る頃、稚アユを追いかけて河川を遡上してきます。水温が高いほど淡水への順応性が高く、多摩川では登戸まで上ることがあります。捕食目的で遡上する魚なので、稚アユ→テナガエビ→ハゼ・ボラ→落ちアユなど季節によって特エサが異なります。ルアーの場合はこのことを考慮してプラグを選択しましょう。
釣期:4~11月 釣り場:丸子橋~河口

他にも様々な生物が生息。世田谷区が行った調査でも多くの個体が確認されています。自然にあふれる河川は最高の遊び場の一つといえるでしょう。
参照:世田谷区 平成23年度 魚類調査結果

餌とルアーを楽しむタックル

・汎用タックル
ルアーもエサも両方楽しむなら3m弱の小型投竿が適してます。リールはナイロン3号を100メートルほど巻いたスピニングリールが扱いやすく、初心者にもおすすめです。
このクラスのタックルならばロッドを45°にした状態で引っ張り、穂先が竿尻と水平になったところでドラグが出るようにセッティング出来れば大抵の魚は獲れます。
大きな魚もいますがいきなり高いタックルは必要ありません。小技を駆使して魚とのやり取りを楽しましょう!

エサ釣り:
これにナツメ型などの10号前後のオモリに、ハリは丸セイゴ13号。ハリス3号40センチと接続すれば、多摩川に生息する30センチ以上となるほとんどの魚を狙うことが可能です。市販仕掛けではウナギ仕掛けを選んで頂ければOK。
エサはミミズやアオイソメなど、生きているものが魚の反応も良く、アタリも早くでます。流れの合流部や淵などの変化のある場所、杭や橋桁などの障害物付近へ投げ込みアタリを待ちましょう。

ルアー釣り:
エサ釣りに比べると魚ごとに有効な種類がことなりますが、基本は10センチ以下のものが反応も良いように感じられます。ミノー・スプーン・バイブレーションなど。河川なので流れの中でもしっかり泳ぐものを選びましょう。
またマルタに関してはフックに夜光玉を取り付けると、ヒット率が格段に上がります。エサ釣りでは夜光玉のみで釣り人もいますのでお試しください。

 

下流部の主な釣り場

登戸・和泉多摩川:
緑も多く川の流れもやや速い場所が多いエリアです。初夏にアユが上ってきてからがハイシーズンとなり、ナマズやスモールマウスバスがルアーで狙えます。エサ釣りではボート乗り場周辺でヘラブナやクチボソ、本流でコイも多数です。アユはコロガシの人が多く、その傍にはアユを狙うフィッシュイーターが潜んでいます。

東名高速~第三京浜:
マルタが主に産卵するエリアで、春は多くの魚が集まります。中型のコイやナマズの魚影もまずまずで、年によってはライギョやスモールマウスバスが釣れることも。主なベイとはモエビやクチボソです。梅雨頃よりアユも入り、ドブ釣りやコロガシで狙っている人もいます。

丸子橋~多摩川大橋:
調布堰より下流の釣り場は潮汐の変化を受ける汽水のエリア。テナガエビやハゼ、ボラなどのベイトが多くなり、それを狙うシーバス・ウナギ・コイが多く生息します。ある程度整地され居る場所も多く、休日には駐車場が解放されている場所もあります。ルアーで狙うアングラーが多いですが、確実な釣果を獲るならブッ込み釣りがおすすめです。

大師橋~河口:
いよいよ塩分濃度も高まりアナゴも混ざりだします。多摩川ではもっともテナガエビが多いエリアでもあり、川崎鉄橋下や六郷水門などメジャーポイントもあります。シジミやアサリが掘れますがウェーダーは欲しいところです。

初夏から夏にかけて

春以降の多摩川下流域も様々なターゲットを狙うことができます。

・5月
コイやナマズの産卵が最盛期となるころ、河口より遡上する稚アユもピークを迎えます。毎年何十万も遡ぼってくる小魚を河川の魚が見逃すはずはありません。丸子橋にある調布堰ではシーバスが集まって稚アユを捕食。ナマズやウナギも稚アユを意識したエサやルアーで良く釣れるようになります。4月に産卵していたマルタも汽水まで下降し、丸子橋より下流で稚アユを捕食します。
河口部での潮干狩りも最盛期となり、アサリやホンビノスが良くとれます。人によってはシジミやサルボウを専門に狙う方も見られます。ただアカエイの産卵期終盤と重なるので、踏みつけて刺されないようスリ足で動くようにしましょう。

 

・6月
遡上していった稚アユが解禁となり、毛針で狙うファンが多く集います。解放されていた調布堰も閉門され、下流部からの遡上魚は少なくなります。
この頃となると丸子橋より下流部ではテナガエビが産卵のため一斉に接岸します。テトラポットや桟橋跡、捨て石周りに多く集まっておりウキ釣りやミャク釣りで狙えます。慣れた人は複数本の竿を操り100匹以上釣るほど。エビは夜行性で、昼はエビの隠れ家が集約される干潮、夜は障害物の上でエサを探しているので満潮を狙うと好釣果が得られます。
捕食魚たちにとってテナガエビは格好のエサ。見逃すはずがありません。シーバス狙いでは生きているものを1匹づけ、ウナギ狙いでは剥き身にして狙ってみましょう。
もし脱皮直後の柔らかいエビが手に入れば特エサとなります。脱皮したエビは夜間に浅い場所でジッと止まっており、網があれば容易に捕らえることができます。

 

・7月
接岸しているテナガエビは産卵期後半へ入り、大型の雄は減ってきます。代わりに姿を見せるようになるのはマハゼ。7cm前後で釣るには小さいサイズですがグイグイ遡上。あわせてボラの稚魚も多く遡上し、登戸付近まで上ってゆきます。
稚アユとならんで格好のベイトとなるハゼやボラをシーバスが見逃すはずがありません。この頃はバイブレーションをロングジャークによく反応します。
夜間の気温も過ごしやすく、下流部でブッ込み釣りでウナギ・ナマズ・コイ・シーバス、手前でミャク釣りでテナガエビ・ハゼが楽しめます。共に通常エサはミミズやアオイソメ、ブッ込みの特エサはテナガエビやハゼとなります。

 

多摩川下流部の遊魚券

多摩川ではガス橋より上流部で釣りをするには遊魚券が必要となります。近隣釣り具店でも扱っているところは意外に少なく、現場でも料金差が無いため係員の巡回時に購入することが多いでしょう。
1日券は1000円、年券は5000円となります。購入したら係員が確認できるように衣類やバッグなどに取り付けてください。

深海巨魚アブラボウズに挑むには?

2012/04/09

近海の浅場釣りではお目に掛かれない深海魚が多数狙える深場釣り。サイズも1キロ以上のものが多く、食べて美味しい魚で数も狙えるのが魅力です。しかし深海には強烈な大型魚も生息しています。

深海の大型魚

「目指せ100キロ!」と謳われ、そのサイズと食味の良さで近年注目を浴びている深海大型魚がいます。
その名をアブラボウズ。カサゴ目に属する大型魚で最大サイズは170センチ100キロ近く。水深400~1000メートルの起伏の激しい岩礁帯に生息しており、春頃になると産卵の為やや浅場へ移動し、小さな群を形成するので、その時期が絶好の釣期となります。
「アブラ」の名が付く巨大魚なので誤解を受けることが多くありますが、アブラボウズの脂は普通の魚と同じもの。ワックス成分の脂を持つ食用不能魚、バラムツやアブラソコムツ(サットウ)と違い、人間にも消化できる食用可能魚です。しかし肉中の脂肪分が50パーセントを超える魚なので、肉の脂身などが苦手な方は脂を落とす調理を施した方が無難でしょう。食身は良好で脂を多少抜ける、炙り寿司・味噌付けなどがおすすめです。

南伊豆仕様の仕掛け

専門船が少なく、仕掛けに地域差が大きいアブラボウズ。関東近郊では乗合船で狙えるのは茨城県平潟と静岡県南伊豆ぐらい。生息範囲は広いので仕立船なら外海に面し、生息条件に合った海域が近くにあれば狙うことが可能です。今回は南伊豆手石から石廊崎沖を狙うパターンを紹介してみましょう。

[アブラボウズ仕掛け]
ハリ:スーパームツ35号
チモト:繊維強化チューブorケプラー5センチ
ハリス:ナイロンorフロロ50号2メートル
幹糸:ナイロンorフロロ80号2メートル
捨て糸:ナイロン16号5メートル
オモリ:鉄筋3キロ
ライト:赤色推奨ブランコ接続
エサ:スルメorヤリイカ1杯掛け
その他:状況に応じてタコベイトを使用

大きな特徴は非常に長い捨て糸。これは起伏の激しい岩礁を太掛けで狙うためで、深い溝を通過する際に根掛かりを防ぐためです。万が一、ハリなどが根掛かりしたら50号のハリス切断は非常に困難。ロッドで切ろうものなら余程強くなければ折れてしまいます。
またアブラボウズはヤスリ状のザラザラした歯を持ちます。この口に掛けた場合、ハリのチモトなどが歯が当たるので強化チューブやケプラーは必須。ハリと一緒に結び込んで必ず装着するようにしましょう。
また集魚灯も効果的です。船宿のおすすめは赤。あまり光が強すぎるとバラムツやミズウオといった外道を寄せてしまうので注意が必要。装着はダブルスナップなどでブランコ形式に接続すれば、直接負荷がかからないうえ、潮流で揺られて一層効果を高められます。

基本釣法は底たたき

 船はポイントとなる根や傾斜を通過するように流します。斜面を下るのならオモリの着底を確認してラインを止め、引かれるラインでオモリが浮いたら数秒待って底に下ろします。斜面を登るのならオモリが着底したら数メートル浮かせ、再び着底したらオモリを浮かせるようにします。
アブラボウズは底付近にいる魚なのでマメな底取りが肝心。キーパーにタックルを放置しているようでは根掛かりやタナボケを起こし、魚が掛かることは希です。
そして待望のアタリがきたらすぐに合わせずラインを送って静観しましょう。

巨大なアブラボウズの力は強く、自らの抵抗で十分針掛かりします。このときに暴れさせて鉄筋オモリをカットでれば、後のファイトが非常に楽になります。慌てて早合わせを入れてしまうと大抵はすっぽ抜けてハリ掛かりに至りません。
十分に食い込ませ、しっかりハリ掛かりできたら巻き上げ開始。強烈な重量感ですがサイズの割に引きは鈍いので、ドラグを効かせながらゆっくり巻き上げましょう。注意点としてはアブラボウズの顎はさほど強くないということ。巨大な口を開けながら上がってくると、途中で掛かる水圧は凄まじく、大きなウネリなどを通過すると口切れするおそれがあります。ドラグを調整しバラシに十分注意しましょう。
途中の激しい抵抗をいなし、いよいよ水面に見えたら取り込みです。モロコやイシナギを思わせるシルエットのアブラボウズですが水面で浮く魚ではありません。もしポロリと外れれば、そのまま水中に泳ぎ去ってしまいます。ですので油断は大敵!緩めないようにラインを手繰り船縁まで寄せます。
そして最後はギャフを打っての取り込みです。身は柔らかいので狙うはアゴ。大きな口にギャフを差し込み、1本目が掛かったら2本目を掛け、声を掛け合い全員で協力して引き上げます。このときギャフは垂直に引き上げなければ破損するので注意しましょう。
力を合わせて取り込めれば釣り人の勝利!大きな魚体は生で目にすると感動すらおぼえます。

アフターフィッシングは最大の楽しみ

下船後は調理し美味しく頂きましょう。脂肪分の多い身は柔らかく、包丁一本でも解体は可能なレベル。刺身は脂がくどく感じることも多いので、炙り寿司や西京漬けなどがおすすめです。
地元消費されることが多い魚なので味を知っている人は少ないですが、「銀ムツ」と似ているといわれることが多い魚です。切り身で冷凍すれば日持ちもまずまず。長く楽しむことができます。
まだ知名度の低い魚ですが、非常に魅力ある大型魚です。狙うまでの敷居は決して低い魚ではありませんが、機会があればぜひ狙ってみましょう!