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フィッシングショーより新商品レビュー【手巻きリール系】

2013/02/08

今年は2月1~3日で行われた『フィッシングショーOSAKA2013』。 50回目を迎える今回は大盛況だったようで3日間で5万5千人以上の人が訪れ、前年比107%にも達したそうです。 今回はフィッシングショーにてTwitterで紹介した手巻きリール系をご紹介。カタログ等で数値は調べられるので感想や小ネタを中心に綴ります。

DAIWA

 

・セルテート 10種類 3月発売予定
3年ぶりのモデルチェンジとなったセルテート。今でこそピシッとした精度と剛性が両立したスピニングリールは多いですが、約9年前にR4(リアルフォー)と呼ばれるパワー・操作性・耐久性・カスタマイズの4項目をコンセプトとして登場した際は大いに話題になったものです。
さて今回のモデルの機能向上点は

1.非接触型防水機構の「マグシールド」をラインローラーに搭載。
2.ローター部へ軽量高剛性のザイオン樹脂を採用して回転レスポンスの向上。

ラインが触れて高回転にさらされるラインローラーは防水が難しい箇所です。それでいながら回転不良が発生するとラインへのダメージは一気に高まってしまいます。
ローター部は軽くとも剛性が足りなければ、いくら精度の良いギアを使っていてもネジレが生じて力は伝わりきりません。
この2点の改善は実釣において非常に恩恵が大きいところ。使ってみると違いを体感しやすい部分ですので快適性は格段に向上します!

また今回採用されたセルテートの「ザイオンローター」や「マグシールドラインローラー」はアフター担当部門のスポーツライフプラネットにて旧モデルのバージョンアップ企画が実施されます!

併せて、ギア比交換カスタムサービスも好評実施中。
お手元に10セルテート2506があったとするなら、
マグシールドラインローラー+ZAIONエアローター+ハイギア化で、
一つテンヤ特化カスタムなんてことも可能です!

進化を続けるセルテートはこれからも釣り人の期待に応え続けます。

SHIMANO

 

・ステラSW 13種類 3~5月発売予定
広い会場内において凄まじいまでの注目を集めていたのが、超ド級のターゲットを仕留めるために生まれたシマノが誇る最強のスピニングリール「ステラSW」

思う存分、闘うがいい。

というキャッチコピーを納得させるだけの存在感のある一品です。
様々な改善点はカタログのとおりですが、印象は「剛性」の一言に集約できます!
今回は前作よりモデルチェンジまでの期間が短く感じられますが、この期間の内容の濃さは近年稀に見るものだったといえるでしょう。

思い起こしてみてください。

ステラSWが登場した08年には相模湾に30キロ近いキハダが初回遊し、09年には外房大原沖で49.5キロの世界記録となるヒラマサが仕留められました。10年は伊豆南沖にてクロマグロとキハダが回遊して一躍マグロブームとなりクロマグロは80キロ級まで浮上。11年は相模湾にて空前の大型キハダラッシュに沸き、連日50キロ級が取り込まれるなか最大91キロ(ワタヌキ)が獲りこまれます。そして記憶に新しい12年は早々に相模湾へキハダが回遊し、初期は20キロクラス中心に中盤より大型化! 最大77キロ(ワタヌキ)まで仕留められ60キロ級も何本も上がりました。コマセにも本格的に付いたのでエサ釣り師の記憶にも新しいことでしょう。
関東だけでもこれだけ凄まじいですが、他のエリアも凄まじくクロマグロ、キハダ、ヒラマサ、とくにカンパチは10年の玄界灘で世界記録となる71.15キロが浮上。釣法が確立され耐えられるタックルが揃うと共に釣果は確実に伸びてゆきました。キャスティングゲームが本格的に認知されだしたのもこの頃からです。
そして最近はルアーだけでなく、マグロのフカセ釣りにも積極的に用いられるようになってきています。

ここまでくると今回の進化はもはや必然です。

そこに魚がいる限り闘う。というステラSWに課せられた使命をきっと全うするでしょう。
前置きが長くなりましたが注目されるステラSWにおいて特に人だかりが多かったのが「14000XG」と「30000」です。
14000はキャスティングで狙う大型ヒラマサやGT、そして100キロまでの近海マグロに。前代未聞の30000は300キロ級クロマグロを本気で狙う一品です。
300キロ近いクロマグロというと津軽海峡や沖縄の久米島や石垣島というイメージを抱きがちですが、関東からでも何とか日帰りできる意外な近場にもいるものです。記録としては古いですが南伊豆手石のT丸の玄関に張られた巨大なマグロの魚拓。

10年前、伊豆諸島海域にて仕留められた1本。近年はここまでのサイズの捕獲情報はありませんが、現在でもぽつぽつと目撃情報は入ってきます。

さて新型が出てきて気になるのはカタログ掲載外の部分や新旧の互換性です。会場では無理でしたが終了3日後に6000PGのサンプルが店舗に来たので色々見てみました☆

 

・ドラグノブ
最大力付近での設定幅が広い新型ドラグノブは旧モデルにも取付け可能!これで限界値付近でのセッティングに余裕が生まれます☆

・ローター周り
ベールはチタン製でローター下部には樹脂カバーが付いて傷つき防止。ペンシルをジャークすると意外とぶつけるので嬉しい加工です。オイルインジェクションを排して剛性と防水性も強化されています。

 

・ハンドル周り
ハンドルは軸部のピッチが違うのでポン付け不可能…。6000番までは軸根元はカシメているので取り外せず。でも長さや太さは同じ模様。8000番以上は軸交換で左右を変えるので、もしかしたら08タイプの軸を使えば08モデルにつけられるかも…。防水キャップは取り付け可能。性能は上がりませんが装飾として良いでしょう♪

劇的な進化の評価はフィールドで出ます。きっと記録的な大物を数多く仕留めてくることでしょう!

スタジオオーシャンマーク

・大田ガレージモデル ブルーヘブンL50Hi S2T 参考出品
ソルトルアーリールのカスタムパーツの老舗、スタジオオーシャンマークよりブルーヘブン50のスローピッチジャークの特化モデルが発表されました。
具体的にはシャロースプール・ハイギア化・カスタムレバードラグといったところ。
リールの知名度は決して高くありませんが、その完成度は群を抜いた一品。同社のリールは店舗にて糸巻きをしていると精度と剛性が桁違いです!
今回は参考出品ながらも年内には受注開始の予定。完全メイドインジャパンで大田区の職人魂が注がれた大田ガレージモデルは少数限定生産。受注発表があった際には見逃さないように注意しましょう。

ゼブコ)クオンタム オーシャンマークカスタム 初夏頃発売予定
海外で人気のベイトリールのクオンタム。日本では正規輸入されていないので知名度の低いリールですが、やや大型ボディの剛性はバッチリでゲームフィッシングを意識したドラグ性能も秀逸です。
類似モデルとしてシマノのクラドをイメージして頂けるとサイズは分かりやすいかもしれません。オーシャンマークのダブルハンドルやシングルハンドルがついてお求め安い中堅機種になる予定だそうです。

夏以降も面白そうな企画を耳にしております。フィールドへの意識が非常に高いメーカーなので今後もきっと良い製品を送り出してくれることでしょう。

フィッシングショーより新商品レビュー【電動リール系】

2013/02/05

今年は2月1~3日で行われた『フィッシングショーOSAKA2013』。
50回目を迎える今回は大盛況だったようで3日間で5万5千人以上の人が訪れ、前年比107%にも達したそうです。
今回はフィッシングショーにてTwitterで紹介した電動リール系をご紹介。カタログ等で数値は調べられるので感想や小ネタを中心に綴ります。

SHIMANO

・ビーストマスター3000 6月発売予定
電動丸9000ビーストマスターと同様にブラシレスモーターを採用し、大幅なパワーアップを遂げた新生「ビーストマスター3000」。
既にブラシレスモーターを積んだ9000番は発売以降一回もモーター故障で修理に持ち込まれていない程の強靭さ!(アフター担当者談)
今までのモデルではスルメイカの「電動直結釣法」は3000では対応しきれず、FM3000MK以降もメーカーとしても4000番をすすめざるを得なかったそうです。

ブラシレス構造はモーターの長寿命化にも貢献しているので、旧来品をオーバーホール毎にモーター交換(パーツ15,000円)していた方にはお徳かも。
またフォースマスターより採用されたヒートフリーシステムⅡは前作より12%の放熱量アップ!(開発者談)熱ブレーカーも作動しにくくなりました。

カウンター機能も強化され、探見丸通信機能で水深をリアルタイム表示可能。さらにアキュフィッシュのタナ表示も備えています☆

ちなみに、パワーやフィーリングの細部に関しては、発売までに展示品からさらに調整されるそうです。

定価は11,5000円ですがパワーや剛性面などを考えれば決して高くはないでしょう。発売が待ち遠しいですね。

 

・フォースマスター400 5月発売予定
400サイズが初のフルモデルチェンジ!手にしっくり収まるサイズは勿論のこと、見えないところにも工夫が多数施されています。
外観の最大の特徴は「スマートダイヤル」と呼ばれる電動巻上げの変速機構。それを最大限活かす「スマートクラッチ」は左側を大きく抉った形で成型されているので、左手でのダイヤル操作が行いやすくなっております。またクラッチ下部も凹みをつけて片手で押し上げて戻せるので、左右どちらでも片手で操作が可能な作りです。チョイ巻き機能も備えているので右手でロッドを持ちたい人にもお勧めできます。
そして実機を持って印象深かったのが軽量と剛性の両立。
CI4カーボンボディと金属パーツを多用することでかなりカッチリしています。クラッチを切ったときの独特の剛性感はぜひ皆様にも体験して頂きたいものです。
モーター周りは外からは見えませんがアルミ材で囲い放熱性も向上。数値のパワーは上がってないように見えますが、高剛性ボディによってスペック以上のパワーを体感できるでしょう。

・探見丸CV-FISH 4月発売予定
3代目となる探見丸。前作のCVから外観上の変更点は「ボタン変更」と「反射を抑えた画面の搭載と液晶の小型化」。本体価格は7000円下がるも、コードは専用化され値段は4000円に。Y字の通信コードも廃止されました。

 「CVをアキュフィッシュ化している方は早急な購入は必要ないでしょう」と言われましたが、じっくり見れば新型だけにほしくなる機能が搭載されています。
もっとも注目するのは「電動リールナビ」と呼ばれる電動リールの状態を表示する機能。これは大物ファイトやスルメ電動直結釣法では非常に重要な機能で、電動リールの温度や電流レベルがグラフにて表示されるようになります。これがあれば今まで勘と経験に頼らざる得なかった電動リールのパワーセレクトをよりシビアに設定することができ、ファイトの短時間化によるバラシ防止や手返し向上が望めます。
まだ探見丸を持っていない人には十二分にお勧めできるモデルとなっております。

DAIWA

・シーボーグ150J/L/DH/DH-L 3月~6月発売
一昨年、DAIWAより300番の左巻き電動リールが発売されたとき「150番で左だったら・・・」と多くの人が思ったことでしょう。もちろん300番の左モデルも好調に売れましたが、ご購入される方も「もっと小さい番手で左だったら・・・」「片手で使う釣り物にこそ小型の左巻きがほしい」との声が聞かれました。
それらの意見を受け止め、じっくり開発されて発表されたシーボーグ150J。300番クラスのモーターを搭載して異次元のパワーを獲得!1月放送のザ・フィッシングでは久里浜~剣崎沖のマダイ釣りで掛かってくるワラサを難無くいなし、昨年末に釣具店中心に行われた実釣会においてもライトヤリイカにてその実力を発揮したそうです。
細いPEラインがメインとなるので回転性のよいシンクロレベルワンドで落下速度向上と摩擦ダメージを低減。ドラグ性能はシングルハンドルは最大力を重視し、ダブルハンドルモデルは設定幅に重視した使用。これによりハンドルへのシャフト長が変わるので、シングルハンドルをダブルハンドルに交換はできますが、ダブルハンドルをシングルハンドルに交換することはできなくなっています。
これから盛期を迎えるマルイカはもちろん、リールサイズ以上の大物にも!「スモールモンスター」と呼べるパワーを今年の船上にて目にする機会が多そうです。


・マグマックス500 6月発売予定
業者日ではあまり注目されていなかったマグマックス500。旧来のフレームにハイパワーモーターを積んだだけに見えるのかもしれません。しかしそのパワーは凄まじく、今年の電動リール市場のダークホース的存在です。
まずはパワーですがこのリールの最大巻上げ力はなんと92キロ! リチウムバッテリーを接続すると102キロにも達します。またDAIWA製にしては珍しくスプール内にモーターを搭載するので、スプールは大口径化され一回転のライン放出量もまずまずです。もちろんスムーズな落下のシンクロレベルワンドを搭載しています。
価格面でも先に登場した300番同様にコストパフォーマンスに優れており、回遊魚シーズンの人気も出るとなりそうです。

オニカサゴ飼育より見えた実釣のヒント

2013/02/04

数年前にオニカサゴを飼育していたことがあります。約半年ほどの期間ではありましたが、釣りに使えるヒントを十分に得ることができました。水槽で見せたオニカサゴの素顔とは?

注意:少数個体の飼育記録ですので参考程度にしていただければ幸いです

沖ノ瀬で捕獲した28センチの個体

きっかけは家族からの「オニカサゴの活け造りが食べたい」との要望。これを受けて三崎えいあん丸に釣行し捕獲するもののインフルエンザでダウン・・・。これにより一時保管の為に入れた水槽より飼育は始まりました。

基本的に無警戒?

当初は飼育する気はなかったので海水魚水槽に水合わせも無しに入れてみたところ、他魚の食べ残したモエビを見つけ一気に吸い込み食べたのです。水槽に移してから僅か2分ほどでの捕食。
数時間前までは沖ノ瀬140メートルにいて、クーラーに入って車で輸送され、水合わせも無しに水深40センチ水温18℃に入れられる。通常これだけのストレスを与えれば相当弱る上に、しばらくは絶食状態になるものです。
エサも多いとは言えない深い海底にいると、目の前を通り過ぎるエサに何でも食いつく習性を持つのは理解できます。しかし、これだけの変化の中ですぐさま捕食行動を起こしたのには本当に驚かされました。

毎分1回転

すぐさまエサを食べたことにより予定外の飼育はスタートしました。メインに生きモエビを与えながら様子を見ていると、特徴的な捕食を見てとれます。
オニカサゴは視覚でモエビを捕らえると、まずはその向きに回頭します。胸ビレと腹ビレを起用に使いながらまるで歩くように。ゆっくりとした動きは毎分1回転ほど。これで向きを整えると捕食体制に入ります。

ロケットスタート

モエビを射程に収めると僅かに身体を縮めるような動きを見せます。まるで猫が獲物に飛びかかる際の動作のようです。すると猛烈なダッシュと共にモエビに近づき、大きな口で一瞬に吸い込みます。ダッシュから捕食までは1秒も掛かりません。吸い込み動作がブレーキにもなるようで獲物の位置より奥に進むこともなくストップしました。これならば障害物に衝突し無駄に傷つくこともないでしょう。
また大型のモエビを投入すると同様に襲い掛かりますが、一口で収まりきらないと数秒間咥えてから首を振るように口内に押し込んでいました。

流れの方向へ

エサを与えながらも他にも色々と実験を継続。ポンプを使用し水槽内に意図的な水流を設置します。
するとオニカサゴはしばらくするとその方向に向きます。何度か設置場所を移動しても10分前後でその向きに向くようです。
普段はエサとなるものが潮上から流れてきたり、潮上に向かって泳いでいる為なのでしょう。
流れている間は自分の後方へエサが流されていっても、エサを追う素振りは見せませんでした。

エサの好き嫌い

与えるエサもモエビや小魚などの生きているものから、サバやイカの切り身など。様々な種類を用意。
エサに関してはまず動くものでなければ興味を示しませんでした。切り身エサは落下途中や紐で動かせば食いつきますが沈むと完全に無視されます。
またエサのサイズは長さよりも太さを意識しているようで、細くても長いものは食いますが太いものは狙いはするもののほとんど襲いませんでした。
自然界で悠長にエサを判断する時間などないはずですから、瞬間的に襲えるか判断する太さがあるのでしょう。

実釣へのヒント

こうして観察しながら実釣でのアタリが増えるヒントを探る期間は半年に及びました。
潮流の有無によるアタリの増減については、流れている場合は各個体が同一方向を向くことでエサを発見できる確率が高まるのでしょう。オニカサゴがエサを意識できるタナで少々停止して焦らし、その後に落とすと食いやすいようです。
逆に潮が流れていなければ各個体はバラバラの方向を向いていると考えれれます。バラバラに向いた個体はエサに気づいても、向きを直してから襲うまでの間を与えなければなりません。大きく動かすよりも目の前で僅かに動かす程度で十分なのでしょう。
またエサのサイズでは太さを調整することで、ある程度なら狙うサイズを絞ることもできそうです。

半年間の成長

約半年間飼育したオニカサゴでしたが最後は水温クーラーの故障によって亡くなりました。飼育水温は18℃で死亡時の温度は27℃。海底での生息温度はかなり低いはずですから3℃前後でも恐らく耐えるでしょう。輸送における目安温度として氷ペットボトルは入れておいたほうがよいようです。
様ざまなエサをあたえ、飼育水温も生息域よりかなり高い状態だったでしょう。参考値ですが飼育開始より約2センチ成長していました。「大鬼」と呼ばれるサイズまで成長するには長い年月を要するのは間違いなさそうです。小型は放流し、大切に釣り続けてゆきたいと改めて感じさせられました。

様々な活エサで狙う相模湾ブリ

2013/01/28

 今シーズンは例年よりかなり早くから姿を見せていた相模湾のブリ。
秋から冬の大物として釣り師を熱くさせます。エサ・ルアー問わず釣れれる魚ですが今回はエサ釣り、特に泳がせに絞って書きたいと思います。 

近年釣果上昇中の大型魚

ブリは最大で1.3メートル、20キロ前後に成長する大型回遊魚です。出世魚としても有名な魚ですが、神奈川県の遊漁ではここ十年ほどで釣果が上昇している魚でもあります。
様々な要因がありますが釣果上昇は釣り人にとっては嬉しいかぎり。しかも大型個体の釣果も年々増え、2011年秋には東京湾内のアジ泳がせで16キロという記録的な大型も仕留められました。
ここ数年で10キロクラスは季節に狙って通えば十分に獲れるサイズとなってきており、近場の大物として注目度は増すばかりです。

地域・季節で変化するエサ

今シーズンのスタートは大いに盛り上がったキハダが収束するとほぼ同時。瀬ノ海や亀城根の水深100メートル前後や、城ケ島東30メートルや西沖の200メートル前後など様々な場所に姿を見せ、釣り人を楽しませてくれました。
そして冬を迎えた12月頃にはアカカマスを追って瀬ノ海120~200メートルを回遊する群れと、南下するサンマや回遊するヤリイカを追う真鶴半島から初島周辺の群れに固まった感じです。

・サバ&アジ
10~12月 シーズン序盤は主にサバを使って狙います。先にエサを釣ってから泳がせ釣りに移行することが多く、手返し良く短時間でエサをしとめることが非常に重要です。 サバはビシ仕掛けやフラッシャーサビキで狙います。

・カマス
12~2月 冬になると相模湾では水深120~250メートルのタナに40センチほどのアカカマスがやってきます。脂が乗って非常においしいカマスはブリの特エサです。 エサ釣りを泳がせ釣りと並行して行うことがほとんどで、タックルは2セット用意する必要があります。またカマスが釣れない場合はサバをエサとするので、こちらの用意も忘れずに。

 

・ヤリイカ
12~3月 年末よりスタートするのがヤリイカをエサにしての泳がせ船。ブリはもちろん、マダイ・メダイ・イシナギ・アラなど多彩な魚が掛かってきます。日中に狙うことが多いですが、地域限定で夜間に狙う場所存在します。 日中はヤリイカ釣りと並行して泳がせ釣りを行うスタイル。いかに早くヤリイカを釣って泳がせ釣りをスタートさせるかに尽きます。 それに対し夜イカブリでは前半にヤリイカを釣って、後半にブリを狙って泳がせます。もしヤリイカが釣れなかった場合は冷凍・冷蔵ヤリイカを使うか、活ヤリイカを買い取って釣ることとなります。 活ヤリイカをエサにする船ではサバなどの魚を泳がせることを禁止しているところがほとんどです。仕掛けが胴突き式やテンビン式となります。

泳がせ専門もしくはハモノ狙いでは各船によってオモリや仕掛け形式が異なります。必ず事前に確認をとってから挑むようにしましょう。 また活きエサは鮮度が命。扱いは極力素手で触れないように注意し、こまめに生け簀へ移すなど気を使いたいところです。エサ付けも短時間で行い、海面で元気に泳ぐのを確認してから沈めましょう。

上記以外にも様々な魚がエサとなりますので色々試して特エサを見つけても面白いかもしれません。

 

ブリと対峙するタックル

メインターゲットは10キロ級のブリですが時には50キロ以上のイシナギも掛かってくるこの釣りでは、活きエサの動きが分かる繊細さと大型魚もねじ伏せるパワーが求められます。

ロッド:
この釣りの要となるのはやはりロッドでしょう。穂先はエサの動きを伝え、ターゲットの食い込みを妨げない柔軟なものが必要です。そして大型魚の引きを受け止めきれる胴がなければなりません。強度と繊細さが同居するロッドとなるのでグラス系ワンピースのものが適しています。

MPGのパワーとしなやかさが特徴のスフィンクスシリーズ。色鮮やかでアタリも見やすい!
細身ながら驚異的な強度を見せるマッドバイパー。筆者も愛用し仕留めた大物多数♪

リール:
近海泳がせで必要とされるラインキャパはPE6~8号を300メートル以上。そして鋭く重い引きをいなせるドラグが重要です。狙う水深は70~250メートルとなるのでパワーのある電動リールが適しています

 
大型モデルはパワーはもちろん糸巻き量が多いので不意のトラブルにも安心感があります。
昨今の中型モデルはパワーアアップされて大物と十分渡り合える実力を持ちます。

仕掛け作成は強度を抜かりなく

泳がせ釣りの仕掛けはヒラメ仕掛けに良く似た胴付き一本バリが多めです。地域や対象魚によって仕掛け形式が変化することも多いので必ず乗船船宿に確認しておきましょう。

ハリス:
ブリを中心とする場合は14~20号を2メートル以内。ある程度太さがあれば同時ヒットやサメの襲撃が多いときにゴリ巻きが可能です。また長すぎるとエサは幹糸を中心に動くので他乗船者とのオマツリを発生しやすくなります。

ハリ:
ヒラマサ16~20号、アジ16~18号が目安のサイズ。エサのサイズに応じてサイズを使い分けられれば理想的。カラーは銀が無難でしょう。エサが大きいためコマセ釣りの感覚で小さいものを使用すると苦戦するでしょう。
エサずれ防止に小型のケイムラビーズや夜行玉をハリのフトコロにつけておきましょう。

幹糸:
ハリス長・号数+α程度のものを使用します。一般的には16~20号前後が多いでしょう。
もしルアーや一つテンヤで用いるPRノットができるのなら、ミチイトに直接3~5メートル組めれば理想的。これはオマツリや水面付近で船下に潜られた際のダメージを軽減するためで、高強度ナイロンを用いればナチュラルクッションとしての働きも得られます。

 

的確なタナ設定でターゲットを狙おう

どんなターゲットもタナを合わせなければ釣れる確率は激減します。ブリをターゲットとした場合、通常時のタナは海底より5メートル前後。高いときで10メートル、低くとも3メートルは浮かせます。たまにエサを追いかけて中層まで浮くこともあり、そのような時はエサの反応に対して5~10メートル程下げて待ちかまえます。ブリは遊泳力がある魚なので多少タナが上下しても食わせることは可能です。また、サメ以外の掛かる魚に高級大物が多いのもこの釣りの特徴。イシナギは底から3~5メートル、ヒラメは1~3メートル、イカエサでのマダイは3~5メートルでアタリが多く感じます。

 
思わぬ大物は専門船のレコード級が釣れることも!気を抜かず挑みましょう。

船長に聞く泳がせ釣りのポイント

指示タナで活きエサを泳がせるだけに見えますが当然釣果差は出てきます。貴重なブリをしとめるにはどうすれば? 今まで船長に聞いたポイントをまとめてみました。

・ロッドが突っ込むまで持たない
30センチ程の活きエサを飲むには時間が掛かります。ブリはハリにエサが付いている限り何度もアタックを繰り返すので、じっくりと待つこと。

・送り込み厳禁
ロッドを大きく揺すり、エサを飲み込もうとしているときは不用意にテンション変化を与えてはいけません。食い込みを促そうと送り込んでは離してしまう事がほとんど。テンションが抜けるためハリ先も立ちにくくなります。またロッドを手に持つと十分な食い込みを待ちきれない人も多いようです。

・ポンピング不要
引き込みは強烈ですが顔を向けさせれば意外と巻けます。バランスのとれたタックルを用いれば、ロッド角度を保ってゴリ巻きも可能。不用意なポンピングは魚に反転の隙を与えます。ファイト時間が増加すればサメの被害やオマツリのリスクを増大させるだけです。

・予備の仕掛けは多めに
一瞬が勝負となる大型魚だけに「時合にオマツリほどき」ほどバカらしいことはありません。時間の掛かる絡みなら即切断し次の仕掛けを出しましょう。

サメによる妨害

泳がせ釣りでは必ずといって良いほど掛かるのがサメ類。せっかく手に入れたエサを潰されるばかりか、仕掛けを切られることもしばしば。大型個体は掛かった魚を横取りしすることもあります。そして切られず上がってきたとしてもハリスは鮫肌で擦られ、魚体も大きいので船上に上げることも困難です。
また1メートルほどの小型のサメは要注意! ついつい抜き上げてしまいがちですが毒棘を持つツノザメ類であることが多く、魚体をくねらせて第一・第二背鰭の大きな毒棘を刺して切り裂こうとしてきます。60メートル以浅でまざるドチザメ・ホシザメ・シロザメにパッと見が似ているので要注意です。
厄介なサメ類ですが底付近で掛かることが多く、大抵は底から3メートル以内で掛かります。あまりにもサメが掛かるようならサメが食わなくなるタナまで仕掛けを引き上げるのも一手。それでもダメなようなら専門船はほぼ移動し、便乗船でも本命魚が食害されるので大抵移動します。


100キロ以上のサメは上げるだけで一苦労…。小型のサメは毒棘に要注意!

泳がせの基本を覚えて更なる大物へ…

今回の泳がせブリは「泳がせ釣り」の範疇では中級レベルといった位置づけでしょう。ここで食い込んだ本アタリの見極めや、ロッド操作などをしっかり体得しておくと更なる大物釣りに役立ちます。できればイシナギなどが掛かり、ファイトの体力配分の感覚も掴めれば理想的です。
泳がせの上級ターゲットはマグロ・モロコ・大型カンパチ&ヒラマサといった一筋縄ではいかない超大物たちが待っています。いつかはそのような魚と闘える日を目指して、ぜひ身近な海から泳がせ釣りを始めてみてはいかがでしょうか?

 

カワハギ仕掛けでイカも狙おう

2012/10/26

秋の深まりと共にキモが肥えゆくカワハギ。冬に備えて白くでっぷりとしたキモは「海のフォアグラ」といえる逸品です。これを裏ごしして醤油に溶かし、刺身につけて食べる肝和えはシンプルながらも食通を唸らせます。
さらにその肝醤油に柔らかいイカの刺身を合わせれば絶品!美味しいカワハギとイカが両方を手に出来れば言うこと無しです。今回はこれらが同時に狙える釣法について考えてみます。

カワハギ釣り場ではイカも釣れる

今年はカワハギの数も多いようで、各地のカワハギ船で好釣果が上がっております。ゲーム性の高い人気魚種だけあって週末となれば多くの釣り人で船は賑わう程です。
さてカワハギですがエサがあれば砂泥、岩礁問わず極浅瀬から50メートル以深まで幅広く生息してますが、釣りの対象となるのは水深10~40メートルが多いでしょう。
この水深はイカ類も多く生息し、特にツブ根交じりの砂地や藻類の多い岩礁帯を狙うことが多い相模湾エリアでは、アオリイカを狙って餌木をシャクる人が同船することもあります。
岩礁、藻場ではアオリイカやマルイカ、砂地が多い場所ではコウイカ類が多く見られ、餌木で専門に狙っても十分に釣果を上げることができます。カワハギも餌木を怖がるどころか寄って来るようで隣でシャクられても釣果が落ちることはありません。
しかし、中オモリを用いた餌木シャクリは長いハリスを使うので釣座が限定され、どこでもすぐに狙えるわけではありません。

 

こんな釣果が理想的!おいしく楽しい釣り物がまとめて釣れれば大満足でしょう

両方をまとめて狙うには?

同じ釣り場にカワハギとイカ。おいしい釣り物が二ついますが普通に狙ってはどちらか一つしか狙うことができません。両方をまとめて狙える良い手は無いものか・・・?
まずは誰でも一度は考える手段はスナップでスッテや餌木をつける方法。接続も楽ですぐに試すことができるでしょう。たしかにこれでも釣れました。しかし釣れる確率は決して高くなくイカ類は運良く混ざる程度。それに餌木やスッテの抵抗が常に仕掛けに掛かって操作性が悪くなるばかりか、肝心のカワハギでアタリの感度が低下してしまい釣果を落とすこととなりました。これではいけません。
そこで試行錯誤。まずはイカ狙いの中オモリ式餌木シャクリの仕掛けを考えます。中オモリはエギをタナまで速く正確に届けるためとしてロングハリスの利点とは? その答えは餌木に長くゆっくりと安定したフォールをあたえるためです。
イカ類を誘う場合、ゆっくりとしたフォールがキーポイント。特に堤防からも狙えるアオリイカでは餌木がフォールしているときに距離を詰めて襲い掛かる瞬間を観察できます。マルイカやスミイカも止めてポーズを入れているときに乗ってくるものです。
そしてもう一つ、カワハギ狙いでの感度の確保。これは仕掛けから手元まで感度を減哀させる障害物を取り除くのが一番です。ただこれで餌木を取り除いては本末転倒。要は抵抗なくアタリを伝達できれば良いのです。
思い当たったのが遊動テンビンの構造。最近はコマセキハダで瞬殺されない天秤として注目されたことで記憶に新しいですが、このテンビンは非常に感度に優れていることも忘れてはなりません。それは遊動ラインによってハリスから道糸へダイレクトにアタリが伝わるためで、初めて使う人はビシの重さで逃しているシグナルの多さに驚くほどです。
この遊動テンビン同様の遊動構想を取り入れて仕掛けの改良に着手します。

仕掛けの作成

仕掛けとしては道糸となるPEライン先端にフロロカーボンのリーダーをFGノットやPRノットで接続し、カワハギ仕掛け上部につなぐスタイル。中オモリや集器は使いません。リーダーは1ヒロ弱としこの区間に餌木を遊動させます。
餌木の接続方法としてはFGノットやPRノットで止まるような極小ビーズを通し、そのビーズで止まるサイズの軽量ルアー用スナップを続けて通します。そして再び極小ビーズを通し、ビーズ→スナップ→ビーズの順となるようにします。最後に餌木をスナップにつければ仕掛けの完成です。
餌木の適正サイズは2~2.5号。これ以上大きいと潮の抵抗を受け、他の乗船者とオマツリを誘発させます。道糸も1.5号以下の号数がおすすめです。
注意点としてはビーズは硬いハードタイプを用いることと、スナップのアームが横向きなのでエギのアイが縦方向についているタイプを選ぶことです。スナップはサルカン付にすればアイの方向を選びませんが、若干重くなるのでフォールで乗りに影響がでる気がします。
エギが遊動する仕掛けに改良するとアオリイカやスミイカの乗りが格段に向上。カワハギの感度低下も最小に抑えることができ、どちらも効率的に狙うことが出来るようになりました。

 

陸っぱりヒイカの影響で小型餌木も種類が豊富です。ラトル音の出るものも!

まとめて狙う際のアクション

作成した仕掛けで両者を効率よく狙うにはどのようなアクションが有効か? 数年の実釣テストから時折誘い上げを入れるだけで良いように感じます。
リーダー区間を遊動している餌木を時折誘い上げてから落とすことで、先に沈降した仕掛けにリーダーを伝ってゆっくりとフォールしてゆきます。このときにイカが乗ることが最も多く、上部から落ちてくる餌木はカワハギにエサの存在をアピールします。
またタタキ動作では餌木が仕掛けと共にシェイクします。このアクションはスミイカやマルイカに対して有効なアクション。この後に入れるポーズで思わず抱きついてきます。また暴れるエギはエサをつつく他魚に見えるのか、カワハギの寄りも良好です。
そしてカワハギへの集魚以外の利点としては感度を保った状態でタルマセができること。これはオモリが着底状態から道糸のテンションを抜くと仕掛けを張った状態で餌木がフォールするためで、タルマセながら仕掛けを張っているのでアタリは鋭敏に捉えることが可能となります。

楽しい釣りを

カワハギとイカの両狙いの仕掛けですが、これで竿頭を狙うことは難しいものです。筆者も試し続けていますが、常に両魚種の上位には食い込めるものの専門で狙う人には及びません。
しかし釣りとは楽しんでするもの。ストイックに数を追うのも一つのスタイルですが、色々釣れて楽しいのも良いと思います。アフターフィッシングも同一魚種ばかりより多魚種の方が喜ばれるものです。
カワハギ釣りの一つのスタイルとしてぜひ楽しんで頂ければと思います。