Archive for 12月, 2011

17/24 価格のモンダイ

12月 29 2011 Published by under 本誌記事

●協力/ティカジャパン株式会社

神田の雑居ビルの屋上でスカイツリーを背にティカジャパンの吉田俊介さんに秘密を打ち明けられるという、まるでトレンディードラマ(今は言わないよね)のような展開から続く「つれる竿」プロジェクト。

今回はお詫びとご報告で す……

今回は、皆さまへのお詫びを兼ねての「価格」についてのご報告。

「吉田さん、価格って、もしかして1万円(メーカー希望本体価格)が難しくなっちゃったとか?」

「簡単に申し上げますと、そういうことなんです。どこから説明すればよいか……」

普段、困ると頭をかいて釈明会見状態に陥る吉田さんだが、今回は直立不動。本当に困っているのだ。

「実はですね、穂先を2本付けたり、スライドバットシステムを採用したり、塗料そのほか色いろと仕様を変えていくうち、
見積がオーバーしてしまったのです」

「なるほど……」

「たとえば、現在の仕様でメーカー希望本体価格1万円ですと、1本あたりのコストがこれぐらいなので……カタカタカタ……
このような数字(企業秘密)になってしまうのです」

階下の編集部へ降りて、電卓を弾いて見せる吉田さん。

「げっ! 吉田さん、それじゃあ商売になりませんね」

「はい。細かい仕様の調整で対処してみたのですが、やはり難しくなってしまいまして……」

選択肢としてはさらなるコストダウンができたのかもしれない。しかし、替え穂を付けてライトアジからシロギスまで使えて、ベイト、スピニング両方使えて、スライドバットシステムを搭載すると、やはりメーカー希望本体価格1万円は難しいとの結論に至ったそうだ。

「私も悩みました。替え穂を諦めれば、または、スライドバットシステムを諦めれば、可能かもしれません」

「でも、それでは女性や入門者が東京湾奥の色んな釣り物を1本の竿で楽しめる『つれる竿』ではなくなってしまいます。繰
り返し試釣して、替え穂とスライドバットがいかに有効か分かっていますから」

「そうなのです。ですから(詳しくは申し上げられないのですが)、『つれる竿』の構造的なアイデアは、メーカー希望本体価
格1万円では難しかったのです」

「分かりました。じゃあ、誌面で読者の皆さんに伝えて、謝りましょう。」

「はい。でも、理解していただけますかね」

「都合が悪い事実に関して、発表と説明が遅れるほど後の信頼を得られないのは今回の大震災での政府と東電の対応で痛いほ
ど分かっているじゃありませんか。竿づくりの舞台裏を報告するのも『つれる竿』プロジェクトです」

というわけでお詫びです。

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、当初目的としていたメーカー希望本体価格1万円を上回る価格での販売が決まり
ました。ここにお詫びいたします。(沖藤&吉田)

電卓で次つぎにはじき出される数字にビビる。な んだか最近こんなシーン多いなあ、公私ともども

「で、吉田さん。いったい、いくらになるんですか!?  場合によっては読者の皆さんから総スカン食らいますよ!」

「ちょ、ちょっと脅かさないでくださいよ」

カタカタカタ……。分かりやすい数字でも電卓をたたき液晶画面で示す吉田さん。

「……実は、メーカー希望本体価格1万5000円がギリギリなのです」

「分かりました。では、発表していいですね?」

「……大丈夫ですっ」

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、メーカー希望本体価格1万5000円を予定しております。

あまり詳細な数字は書けないのだが、メーカー希望本体価格と、店頭で販売されている価格は必ずしも同じではない。

これは他の竿やリールを見ても分かるとおり。もちろん『つれる竿』MAGICAL☆ONEも同じかたちで流通する。

いわゆる店頭価格については、来春、4月ごろの発売によって各店舗のほか、つり情報ホームページにて分かるはず。もしくは、国際フィッシングショー2012「つり情報」ブースで最終サンプルを展示する予定なので、こっそり聞いてください。あくまで個人的な予想をお教えします。

次号、重さのモンダイ?

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16/24 最終サンプル登場

12月 16 2011 Published by under 本誌記事

●協力/ティカジャパン株式会社、ですよね。

不安になって三石忍のよ うにバンバンとブッたた いてみる吉田さん

街路樹から落ちる銀杏のにほひが鼻をつく晩秋の外神田・つり情報編集部。ティカジャパンの吉田俊介さんがエレベーターから降りるなり、ガサゴソとビニール袋を剥がし始める。

「今日は最終サンプルをお持ちしました」

「おおっ! ついにできましたか。待ってましたよ」

取り出された竿はラメピンクに塗装され、グリップは赤とブラックのツートン、ガイドの前後には金の糸が巻かれ、グリップ各部にはゴールド&コパーのリングも装着されている。

「穂先はオレンジと白ですね」

「はい、先端部オレンジがライトアジなどオモリ30号を主体としたAタイプ、白がシロギスなどオモリ15号以内と主体とした
Sタイプです」

「なんで両方オレンジなの?」

「あ、いや、これはちょっと手違いで、すぐに作り直したものができます」

「それ以外は、この状態が市販品と思っていいのですね」

「はい(自信満々)。チェックしてみてください」

ついにできました!「MAGICAL ☆ONE」の最終サンプル

本来ならティカジャパン本社で済ませるチェックを編集部で行ってもらう。

「プロト2号に比べて若干軟らかくなってますね」

「はい。塗装、研磨によって若干変わります」

「プロト2号で『若干張りが強すぎる』って意見が出たとき、吉田さんが最終サンプルでちょうどよくなるかもって言ってた
のはこのことなんですか?」

「もちろんです」

どや顔で答える吉田さん。オモリ30〜50号を段階的にぶら下げてプロト2号と比較すると、最終サンプルは若干入り込む。

「ですが、プロト1号に比べたら元部から胴にかけての張りはかなり強くなっています」

「なるほど。三石忍に怒られませんかね。バンバンッてたたいて、弱いって」

「え!?大丈夫ですよね?」

不安に駆られてバンバンと竿をたたいてみる吉田さん。もちろん三石はそんなことで怒ったりはしない。

「第1ガイドを手前に持ってきたため、ラインタッチ解消です」

最終サンプルはプロト2号 よりもほんのわずかしなや か。角が取れた印象の動き でグッド!

ガイドの位置と間隔もプロトから変更してある。試釣では様ざまな点がチェックされ、こうして改良されてくるのだ。

「そのほか懸案となっていたスライドバットの水抜き穴も開けてあります」

「さっそく試しましょう」

「ええ?」

流しに持って行き、最終サンプルをジャバジャバと洗う。
プシュー。

「大丈夫ですね。ちゃんと空気きてるし、もう乾き始めてます」

「もっと穴を大きくしたら、乾くの早いんじゃない?」

「砂利が入ったら終わりですよ」

「……失礼しました」

最後はデザインチェック。ブランクスには「MAGICAL☆ONE」の文字。裏にはつれる竿プロジェクトバージョン1
・03を示す英字。スペルOK。

「ところで吉田さん、思ったよりもピンク、暗くありませんか」

「ええ!?今、言われても……」

「ね? Yさん、ちょっと暗いよね、この色」

屋外で見ると本当にカッコ イイ。ちなみにつり情報社 の入っているビルの屋上か らはスカイツリーがよく見 えます(ブログみたいだな)

本誌アルバイトの女性Yさんに見せる。

「うわあ、カッワイイですね〜! すごくいいです!」

「……吉田さん、完璧です」

女性の意見に文句なし。

「実際、太陽光で見ると本当にきれいですよ。これ、男性でもほしくなります。きっと」

外神田の雑居ビルの屋上へ上がるオヤジ2人。

「おおっ! 本当だ。これはきれいだ!」

ようやく私も納得する。

「ところで沖藤さん、色いろパーツ付けて、仕様を変えていったら、予定していた定価が難しくなってきてしまいまして……」

スカイツリーを背に、突然打ち明ける吉田さん。

「それって、価格のモンダイ?」

「実は……そうなんです」

次号、2人して釈明会見か!?

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15/24 プロトタイプ最終テスト ーライトアジ編ー

12月 01 2011 Published by under 本誌記事

●協力/秋の夜長にティカジャパン株式会社

へし折らんばかりに竿を 振る笹本

金沢八景で行われたプロト2号の最終テスト。午前船で行われたシロギス試釣は問題なく終了。今回は後半、ライトアジでの試釣のはなし。

「船長、この竿、どうですか?」

午後ライトアジ船の準備を進める木村定義船長を呼び止め、オモリ30号ほどのライト用貸しビシをぶら下げて調子を見ていただく。

ユラユラ……。

「うんうん」

ギュイ、ギュイッ!強めにシャクって調子を確かめる船長。

「いいね。竿先は軟らかいけど、元がしっかりしてていいよ」

木村船長(中央)に竿を見ていただく

船長のコメントは好感触。

「慣れない人はね、7:3調子くらいのほうがコマセの振り具合が分かっていいよ、これ、ちょうどいい感じだね」

いざ出船。午後ライトアジは平日でも15人と大盛況。港を出てすぐの富岡沖20メートル台で釣り開始。

「これでアジが釣れたら合格、最終サンプルに進むんですね?」

何度も念押しするティカジャパン・吉田俊介さん。

「もちろんです。きっと問題はないのでしょうが、思わぬトラブルが起こるかもしれません。何せ、対象とするユーザーは女性、初心者ですからね」

「確かに……」

穂先への巻き込みが一番多いトラブル。こ れを防止するアイデアはないものか

気を引き締める吉田さん。

「思い出してきたぞ〜♪ コマセを振るんでしたね!」

グリップよりも先、ブランクスをムギュッと握って天に向かって竿をシャクる食べたガール・笹本里絵。基本もへったくれもないコマセ振りは、開発者をびびらせるに十分だ。

「釣れました〜!」

すでにコマセに着いていたのだろう。竿がキュンキュンと引き込まれている。上がってきたのは20センチ級の小判のような見事なアジ。

船上では好調にアジが上がり始める。笹本はポツポツながら釣り続ける。

「ビシが底に着いたの分かる?」

「分かりま〜す」

「コマセを振り出せる?」

スピニング仕様のシロギス竿にベイトリー ルを付けて、見事な腕前で釣っていく高校 生。ベイト、スピニング両方使える万能竿 は意外に少ないのだ

「いい感じだと思いま〜す」

「アタリ、分かる?」

「分かりますって!」

しつこく聞くオヤジにイラつく笹本。そりゃそうだ。ちゃんと釣れているのだから。

「竿は問題ないよ、釣ってるの見て、ライトアジに向いてるよ」

船長も改めて太鼓判を押してくれたのだった。

「ただ、巻き込みで破損しないように気をつけないとね」

ガッシャン!

「どうしましょう……」

友人に連れられて来て 面白さにハマり、以来 1人で釣行、貸し道具 で釣っていた女性。こ んな方のために「つれ る竿」を企画しました

穂先に絡みつくように食い込むテンビンを見せる笹本。運よく折れはしなかったものの、やはり釣れているときこそ巻き込みが起こることを再認識。

「吉田さん、やはりライトアジを中心とした硬めの穂先、Aタイプは、太いほうで間違いありませんね」

ライトアジ対応の穂先の太さは先径0.8ミリと0.9ミリを用意してあるが、0.9ミリを採用することを確認する。

かくして、ライトアジも無事に試釣を完了した。1本の竿でライトアジやシロギスをはじめとする、複数の内湾の小物釣りができないか?その答えとして替え穂式、スライドバットシステムを採用した「つれる竿」は、入念な試釣と仕様の変更、調整の結果、市販品同様となる「最終サンプル」へと進むこととなった。

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●取材協力
金沢八景・弁天屋
☎ 045・701・9061
(詳細は132ページ情報欄参照)
▼半日船6000 円(リレー割引あり)、一日船9000 円
▼カワハギ、アジ、餌木スミイカ、午前、午後ライトアジ、午前シロギス、午後イシモチ乗合へ出船中

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