24/24 つれる竿・MAGICAL☆ONE フィッシングショーにデビュー

●協力/ここまで来ましたティカジャパン株式会社

3月23日、パシフィコ横浜展示ホール。国際フィッシングショー2012 フィッシングフェスティバル。

フィッシングショーで説明 するも病み上がりで目がう つろなティカジャパンの吉 田俊介さん(中央)。初日の 午後数時間で退却(右は同 社の根尾さん)

春休み最初の金〜日曜日、ファミリーのお出かけにこれ以上ない好日程で開催されたフィッシングショーの会場・辰巳出版ブースに、つれる竿「MAGICAL☆ONE」が展示される。

いよいよ本番である。

辰巳出版・つり情報ブースのカウンター脇にプロト1号、プロト2号、最終サンプル、完成品の4本を並べ、ポップを装着、使用説明書を掲げる。

そして開場。

素通りする人、チラッと見ていく人。その脇に佇むMAGICAL☆ONEのラックは、自信なさげな自分の子どもが人前に立たされているのを見るようで、切なさすら感じるのだった。

「がんばれ! つれる竿!」

不安を抱いたまま、応援で駆けつけてくれたティカジャパンの根尾さんに対応を任せ、所用で午後2時までブースを離れる。

4時間後。

食べたガール・笹本は所用で最終日残り2 時間のみ来場。吉田さんといい、2人ともナ メとんのか!(by 沖藤)

「すごいですね、興味を持たれた方が、次から次にきますよ!」

根尾さんが上気した顔で笑いかけてくる。

「またまた、大げさに」

謙そんしてブースを見ると、数人のお客さんがMAGICAL☆ONEを囲んでいる。続いて、後ろで見ていた人が歩み出て手にとっている。

「おおっ! やるじゃないか!」

不安が感動に変わる。私の予想よりもはるかに多くのお客さんが、金曜日の時点でつれる竿を見にきてくれていた。

入場者が増えた土曜日、日曜日はさらに賑やかになり、私のほかティカジャパンの五十嵐さん、渡井さん、そして友人の築地さんが対応にあたってくれたのだった。

予想以上のお客さんの好反応に、うれしい悲鳴を上げ続けた3日間であった。

「これを見たくて来たんです」開場と同時 にきてくれました

「これを見たくて来たんです」開場と同時 にきてくれました

ここでまとめ。
商品説明に対応してくれたスタッフの皆さんと私の率直な感想を上げてみると……

  • 予想以上に多くの男性が興味を示してくれていた。
  • 女性が「カワイイ!」と言ってくれた。
  • 第一声で「軽い!」と言ってくれる人が多かった。

そして、

  • 「いいね」と言ってくれる人が多かった(手前味噌ですが)。

などがあげられた。
一方、これは説明書に書いておけばよかった! と反省させられたのが……

▼スライドバットを伸ばすときに、グリグリと回さず、引くだけ、押すだけで大丈夫。

ということだった。

「バットを伸ばしてください」と言うと、ギュギュギュと回してしまう人が半数以上であった。

ともあれ、3日間の展示において、皆さんからいただいた意見は大変貴重で、うれしいものばかり。

足を運んでいただいた皆さま、本当にありがとうございました。あとは、工場から完成品が上がり、釣具店に届けられるのを待つばかりです。

(今回も沖藤のみの構成でお届けしました→吉田さんについては写真説明参照)

「娘と釣りに行きます」うれ しい〜!

 

「娘にプレゼントします」喜ん でくれたお嬢ちゃん、将来の釣り ガールですね!

 

「子どもの分、2本ほし いですね」みんなで楽しん でください!

▲ブースでは女性、お子さんにも思 い切りいじってもらいました。みん な、船に乗って、釣りに行ってね!

23/24 MAGICAL☆ONE、内覧会に登場

●協力/気がつけばティカジャパン株式会社。

4年に一度の2月29 日、夏季オリンピックの年なのだとカレンダーを見て気づく真冬の午後3時過ぎの八丁堀、フィッシング会館6階

ティカジャパンの春期内 覧会場。左端にMAGI CAL☆ONEが展示さ れていた

2日間にわたるティカジャパンの内覧会も終了間近である。

「もう、みなさん帰られましたよ。沖藤さん来られないのかと思いましたよ」

唯一フロアに残っていたお客さんと商談していた吉田俊介さんが声をかけてくる。

「いえいえ、2日間、釣具店の皆さんが竿を見た後に、その評価を聞きたかったんですよ」

これ本当。遅刻したのではなく、集約した意見を社員の皆さんから聞きたかったのだ。

「おう、久しぶりだね」

吉田さんの前に座るお客さんに声をかけられて、のけぞる。

「伊良原さんじゃないっすか!」

本誌でもおなじみ渋谷サンスイ船づり館の「いらさん」である。歯に衣着せぬ江戸っ子の伊良原さんは、MAGICAL☆ONEみたいなチャラチャラした竿には激辛評価のはず。

「釣れたんでしょ?」

「え? はい、説明書に☆印のある釣り物は全部釣れました」

「そうなんだってなあ。いい加減に作ってたならダメだけどさ、ちゃんと作ってあって、釣れたってんだから、ダメって言えないよなあ

「あ、ありがとうございます!」

大先輩の前では先生に作文を見せる小学生状態である。その前で吉田さん、どや顔。

「ところで皆さん、釣具店さんから、どんな意見が出ましたか」

吉田さんのほか営業部の根尾さん、五十嵐さんに聞いてみる。

「女性専用竿と思われている方が多かったようです」

「女性専用として見ているせいか、売れないんじゃないかっておっしゃる方もいました」

キツイ意見である。でも、女性「専用」とはうたっていないんだけどなあ。

右から吉田さん、五十嵐さん、根尾さん。思いのほか自由 に意見をぶつけ合い、ときに鋭くツッコんでくれます。「こ の説明書の評判、いいですねぇ」と根尾さん

「グリップの素材や色がイマイチという意見もありました」

うう……。そりゃ、素材も色も、自由に使わせてくれたらいいけど、予算があるし……。

「色違いで出せば、男女用としていいのでは? との意見もありました」

だから、女性専用じゃないし、男性でもカッコいいって言う人いると思うんだけどなあ……。

ここまで聞かれたネガティブな評価で、いかに女性をターゲットにした釣具の販売が難しいか実感する。

「つれる竿プロジェクトで女性を対象に行ったアンケートやモニタリングと、釣具店のみなさんの評価のギャップはとても興味深いです。でも、それらはすべてデザインや外見についてです。調子や作りについては、どんな意見がありましたか?」

「ライト用の竿としての評価はとても高かったです」

「替え穂付きと、スライドバットは評判がよかったですね」

「穂先の継ぎがよく、軟らかいほう、硬いほう、どちらの穂先を継いでも調子がいい、という意見が多かったです」

なるほど。きっと、伊良原さんの「ちゃんと作ってある」という評価もこれに入るのだろう。

とはいえ、初回生産の100本のうち、どれぐらい注文があったのか……。甚だ不安である。

「それが実は……」

ばつの悪そうな顔をする吉田さん。

「なくなっちゃったんです。初回分の100本、全部、注文が入りそうなのです」

「ええ!? それ、すごいじゃないですか!」

「は、はい。ですが、もしかしたら注文に対して竿が足りないという事態が……」

曖昧に笑う吉田さん。

根尾さんと五十嵐さんが、「だからもっと生産しとけばよかったのに」光線を発射する。

「実は、急きょ増産の方向で動いているのですが、追加分の納品が8月になりそうなのです」

「ええ!?」

本誌をご覧になって、応援していただいている皆さんには、ぜひ、MAGICAL☆ONEを手にしていただきたいと思っております。

大変お手数かけますが、購入を希望される方はぜひ、釣具店さんに予約していただきたく思います。

吉田&沖藤

22/24 読んで楽しい使用説明書?

●協力/ティカジャパン株式会社。業務命令でしょうか。

いよいよ市販品のサンプルも完成、5月上旬の発売に向けて工場で量産が進んでいるはずの「MAGICAL☆ONE」。

4分の1に折った状態で竿袋に同封されるMAGICAL☆ONEの使用説明書

わが「つれる竿」プロジェクト(ティカジャパン吉田俊介さんと私と時どき食べたガール・笹本里絵)も、残す役割は国際フィッシングショー2012の『辰巳出版・つり情報』ブースにおける釈明、いや違った、商品展示と説明を残すところとなった、と、思いきや……。

「ちょ、ちょっと待ってください沖藤さん、梱包と使用説明書、まだ終わってないですよ」

感慨にふけっていると電話の向こうで吉田さんが焦っている。

「梱包はプラケースを使わずに、仕様書はティカさんがプレートを付けて、使用説明書はうちで作るって話ですけど何か?」

「何か? って……。まあ、プラケースなくて大丈夫かって思いましたけど、コストダウンになっていますからいいとして」

「おれはプラケースはいらないと思います。きっと、つれる竿をほしいと思う人は、プラケースに価値観を見いだしません。そもそもプラケースって、売り場で置きやすいとか、輸送で安全とか、販売面の事情でゴニョゴニョゴニョ……」

「はいはい、分かりました。ところで、使用説明書、できましたか?」

最近は忙しいのか、議論してくれない吉田さんである。

「え? 次の締め切り終わってからでいいんじゃないの?」

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ、手を付けてないんですか? 印刷して、4分の1に折って、工場で1枚1枚、竿袋に同封するんですよ。上がってなかったら、工程が止まっちゃうんですよ」

「発売が5月だから、4月ぐらいでいいのかと思ってました」

「……大丈夫ですか?」

「仕方ないですね、まあ、案は練ってありますから、少々お待ちください」

みなさん、釣り竿や釣具の使用説明書って、読んで楽しいですか?

私は仕事柄、説明書や家電のマニュアルでも、よくできている物には面白さや満足感や価値観を見いだします。

たとえば昔、ビッグワンガムってプラモデル付きのガムがあったでしょ? 私はあの箱と説明書が大好きで、戦艦大和のパッケージに心躍らせたものです。

と、いうわけで、つれる竿・MAGICAL☆ONEの使用説明書は、読んで楽しく、ためになる、をコンセプトに作ってみることにしたんです。

【写真1】コピー用紙数枚に、書いては消してを繰り返してイメージと文面を書き留めていく

今は何でもパソコンで設計するのですが、ここはひとつ、紙にガーッと描いてみました。それが写真1。

こうしたら面白いぞ、あ、ここはちゃんと説明しなくちゃ、竿の説明書だけど、チチワの作り方とか、穂先保護の話とか、竿やリールの手入れまで書いたほうがいいゾ、などなど、買ってくれる皆さんを思い浮かべながら、落書きのようにズンズンイメージを膨らませます。

あとは、本誌で活躍していただいているイラストレーターのたむら正さんと、デザイナーの富田さんに発注。ああだこうだと手直しして、でき上がったのが写真2。

説明書はピンクを基調としたデザインで、カラー印刷、4分の1に折って竿袋に同封。

これは使用説明書ですが、つり情報編集部から、MAGICAL☆ONEを買っていただいた方への手紙だと思ってください。これを読んで、ワクワクしてくれたらいいなと思います。

【写真2】イラストレーターの田村さんとデザイナーの富田さんが下絵をもとに制作、デジタルでフィニッシュしてくれる。まさにプロの仕事、お見事!パチパチパチ

「ところで、このイラストのギャラ、つり情報に請求していいんですよね?」

「ねえねえオッキー、デザイン代っていつもの基準でいいの?」

いけね! 予算、考えてなかった……。

次号、MAGICAL☆ONE内覧会に登場!?

写真1と2を左下に大きめに並べてください。

写真1
[写真1]コピー用紙数枚に、書いては消してを繰り返してイメージと文面を書き留めていく

写真2
[写真2]イラストレーターの田村さんとデザイナーの富田さんが下絵をもとに制作、デジタルでフィニッシュしてくれる。まさにプロの仕事、お見事!パチパチパチ

写真3(タイトル横に)
[写真3]4分の1に折った状態で竿袋に同封されるMAGICAL☆ONEの使用説明書

21/24 市販品と同じサンプル完成

●協力/そろそろティカジャパン株式会社?

寒波の影響で関東地方も寒い日が続く1月下旬の外神田、つり情報編集部。ティカジャパンの吉田俊介さんがエレベーターから降りてくるなり、元気よく声をかけてくる。

「できましたよ沖藤さん! つれる竿、MAGICAL☆ONEの製品サンプルが完成しました。これが市販される状態のものですっ!」

バリバリとビニール袋から竿を取り出すと、そこには真新しいラメピンクの竿。

「どうですか! グリップも市販品と同じもので、ブランクスの色もイメージどおり!」

喜々として話す吉田さん。

「さあ、穂先を継いでみてください。サンプルではハードな使い方をしたときに甘くなるとおっしゃってた継ぎですが、キッチリと入るでしょう。市販される製品は、しっかり調整されているのです!」

たしかに穂先の継ぎは感触よく入り、動かない。先端へかけて小さくなるガイドの周辺にもていねいな塗装が施され、きれ
いに仕上がっている。

「オレンジ色の硬いほうの替え穂の先にはSiCリングが装着されているのですっ!」

鼻の穴を膨らませる吉田さん。
リングとはガイドの内側の輪のことで、簡単に言うとSiCリングは高級品。販売価格を抑えるためにすべてハードリングにする予定だったのだが、硬いほうの穂先の先端のみSiCリングを採用したのだ。

「重量も最終サンプルで120グラムだったのが、本番用のパーツで作った市販品同様の製品サンプルは114グラムになりました。これはプロト2号の118グラムよりも軽く仕上がっているのです」

「なるほど。たしかに持った印象もシャープになりましたね。プロトや最終サンプルよりも、こう、一段階洗練された感じがします。プロトよりも明らかにシャープ、なんて言うのかな、雑味がなくなって、よりいい竿になりました。これで店頭に並ぶわけですね」

「そうなんです。この本番同様の製品サンプルで最後に軽量化できたところを、ちょっと書いておいていただけたら、うれしいのです。えっへん」

私にとってはわずか数グラムだが、吉田さんにとっては大いにこだわる部分なのだろう。文章上色モノに思われることもある(おれの責任か)つれる竿プロジェクトだが、竿づくりに関しては吉田さんの職人魂が込められている。

「ところで吉田さん、最近、会う人によく『発売はいつのなの?』って聞かれます」

「すみません。発売は5月上旬になる予定です」

発売日については、何回聞いても釈明会見状態に陥ってしまう吉田さん。

「実はMAGICAL☆ONEの塗装は工程がとても複雑なのです。工場の皆さんには手間をかけて仕上げていただいており、どうしても時間がかかってしまうのです」

「ラメピンクにするからですよ」

「ええ!?コストと手間がかかるけど、アンケートのとおりラメピンクでいこうって押し切ったの、沖藤さんじゃないですか」

そういえばそうだったような気もする。

「じゃあ、発売を待ってくださっている皆さんのためにも、工場で塗装している様子を写真で紹介しませんか? 企業秘密の部分はモザイクかけますから」

「いいですけど、人物以外全部モザイクになったらどうするのですか?」

「秘密基地みたいで格好いいですね」

竿ができ上がるまでの裏話も含めたプロセスを紹介するのも「つれる竿」プロジェクトの目的のひとつである。

つれる竿[MAGICAL☆ONE]仕様

  • 全長:1.7〜1.8m
  • 継ぎ数:2本
  • 仕舞寸法:140cm
  • 自重:114g
  • 先径:0.75mm(白穂先)、0.9mm(オレンジ穂先)
  • 元径:13mm
  • オモリ負荷:8〜20号(白穂先)、15〜40号(オレンジ穂先)
  • カーボン含有率:75%
  • メーカー希望本体価格:15000円

次号こそ使用説明書の話か?

20/24 想定以上のオモリで試釣する

●協力/発売まであと3カ月!ティカジャパン株式会社

ラインタッチもなし。本 当にイケますよ

女性釣り師や子どもを持つお父さんたちの期待を背負いつつ、「つれる竿プロジェクト」は紆余曲折をへて商品名『MAGICAL☆ONE』が完成、あとは量産、発売を待つばかり。

「いつ発売するの?」と、最近ツッコまれるのだが、発売は5月上旬、釣具店ほかで発売します。宣伝になっちゃいますが、「ぜったいに買う!」と決めている方(感謝感謝です)は予約してみてください。メーカー希望本体価格1万5000円です。

まあ、実際の店頭価格についてはゴニョゴニョゴニョと濁しておいて、今回も試釣の話。

つれる竿・MAGICAL☆ONEのコンセプトは「1本で何でも釣れる竿」。

初心者や女性でも船酔いの心配がない内湾で、季節ごとの釣り物を1本の竿で楽しめたらどんなに素敵だろう! と考えた。

「いんじゃね」ぶっきらぼうに答える「船釣り 百景」の訓覇さん。この日、訓覇さんは新品の 汎用ロッドを折りました。つれる竿の勝ち(競 ってません、念のため)

そこで、プロジェクトチーム(ティカジャパンの吉田俊介さんと私+時どき食べたガール笹本)は様ざまなアイデアを投入、オモリ6〜8号のイイダコから、オモリ40号のライトアジまでを1本でこなせる竿を作成、不調だったアナゴとライトマルイカを除く、ほぼすべての湾奧の釣り物で試釣をこなし、製品として絶対的な自信を深めてきたのだった(本当)。

と、ここで量産が始まるのだが、ちょっと試してみたいことが出てくる。それが、

●想定以上のオモリを背負わせて釣ったらどうなるか?

想定外の「激しさ」ではスパイラル釣法の2段シャクリを終日繰り返す案もあったが、吉田さんが断固反対して断念。
そこで、じんわりと想定外の負荷をかけるべく選んだのが、

●アマダイ釣り。

場所は真鶴のさい丸。オモリは60号で、FL(またはM)サイズのプラカゴにアミコマセを入れて狙う。この仕掛けの重さと抵抗はライトアマダイのほか、

スライドバットを伸ばした状態でキーパーのク ランプを付ける。ブランクスがグリップの中を 通っているので強度は問題なし

●イサキやハナダイのウイリーシャクリにも共通する。

MAGICAL☆ONEのオモリの上限は40号、想定としてはライトアジまでだが、どうだろう? ライトアマダイやイサキやハナダイに使えたら、さらに楽しいではないか。

ついでに、電動リールが装着できるか、ロッドキーパーに装着できるか? 試してみる。

「そんなの、つれる竿のコンセプトにありませんよ!」と、吉田さんが汗をふきながら抗議してきそうだが、構わない。お客さんがやりそうなことは一応やっておいて損はないのだ。

結果は写真のとおり。

水深80メートルでオモリ60号をシャクっても破損せず、コマセカゴをしっかりと動かすことができ、アマダイも釣れた。

さすがにオモリ60号を背負わせるとバットから力強さは感じないが、問題なく使えるレベルで、やはり軽く感じた。

穂先はもちろんライトアジ仕様の硬いほう。

水深 80 メートル、オモリ 60 号、 40 センチのア マダイ。いっしっしっ

高速巻き上げ、または良型アマダイが掛かったときに竿が深く曲がっても、ラインタッチ(道糸が竿本体に当たること。嫌がる釣り人が多い)はしない。

電動リールもしっかりと装着でき、キーパーへの装着も問題ない(DAIWA製。ラークは試していない)。

ただし……。
ここで早合点しないでほしいのが、つれる竿・MAGICAL☆ONEは、

●あくまでオモリ40号までが想定範囲で、60号で無理をすると破損の恐れがある。

ということ。その上でテストしてみて、

●ライトアマダイ、イサキ、ハナダイにも使えるんじゃない?

と真剣に思ったのであった。

次号、今までにない使用説明書を考える!?

19/24 試釣のはなし、秋〜冬編

●協力/新年もティカジャパン株式会社

これまで「つれる竿」MAGICAL☆ONEで試釣、連載で紹介した釣り物は次のとおり。

オモリ30号プラスイシモチ1尾が掛かったときの曲がり。元が残っています

●ライトアジ(オモリ30号)
●ライトマルイカ(同30号)
●ライトタチウオ(同30号)
●タチウオジギング(メタルジグ60〜120グラム)
●カワハギ(オモリ25号)
●カサゴ(同30号)
●シロギス(オモリ15号)
●イイダコ(オモリ6、8号)

そのすべてで初心者または女性に使ってもらい、同時に船長にも意見を聞き、問題なく釣ることができることを確認した。

イシモチには若干硬いかな?と思っていたが、問題なさそう

その後、現在までに次の5魚種を試釣。

●イシモチ(オモリ30号)
●餌木スミイカ(オモリ10号)
●湾フグ(オモリ10号)
●東京湾アイナメ(オモリ5号)

●アマダイ(オモリ60号)
今回は試釣の続報。

[イシモチ]食べたガール・笹本里絵が金沢八景の黒川丸にて料理連載の取材にて試釣。

当日は食いが渋かったそうだが、笹本は置き竿でイシモチを連発、連載担当・内山によれば、「置き竿で釣れる竿はいい竿です」と言い放ち、怪気炎をあげていたそうだ。

船長のコメントについては、「いけね、聞き忘れました」とのこと。ダメじゃん、内山。

ともあれ周りに見劣りしないペースでイシモチを釣っていたことからも問題はなさそう。穂先はAタイプ(硬め)を使用。

餌木スミイカでは竿頭になることも。浦安吉久・峯岸船長撮影

[餌木スミイカ]本誌アルバイトのTさんが、浦安の吉久にて数回にわたり繰り返しテスト。穂先は軟らかめのSタイプ。

いわゆるデッドエギングは穂先に現れる微妙な変化に即合わせで掛ける釣り。実は「つれる竿」プロジェクトにおいて、餌木スミイカをクリアできれば感度は十分と考えていた。

Tさんによれば、「アタリがハッキリ分かって、合わせも効くのよ。とにかく軽いのもいいわ。もう、この竿じゃないと釣れないから、持って帰っていい?」と大変のお気に入り。プロトは回収ですから、あげません。

[湾フグ]今年の模様を反映してアカメ主体の釣り。ツリタガール・入澤亜美、編集部加藤が試釣し、アカメを数尾釣っている。穂先は軟らかめのSタイプ。

結果は「まあまあ使える」レベルだったとのこと。

ちなみに湾フグ入門にはシロギス竿がすすめられることもある(私もそうだった)ため、無難な結果といえそうだ。

湾フグではそこそこの使用感。とりあえずトライしたい人の背中を押すことができる竿だ

[東京湾アイナメ]大ベテランの本誌APC平林潔さんと加藤記者に使っていただいた。

記者は沖釣りのベテランだが東京湾のアイナメは初めて。先入観なしに使ってみて十分に釣れて、楽しめたという。スピニングリールを装着時のバランスも違和感なく、キャストもしやすかったという。オモリ5号の軽量仕掛けをコントロールでき感度も良好。平林御大からも、「穂持ちに適度な張りがあり、穂先の感度もいい。十分に使える竿だ」とお墨付きをいただき、竿の素性のよさに自信を深めたのだった。

さて。アマダイについては、開発時に想定しているオモリ号数を超えた仕掛けでの試釣となった。その目的と経過と結果については、次号。

次号、最終サンプルVSオモリ60号+魚類!?

見事な竿さばきでアイナメを掛ける平林さん。御大が使うと高級ロッドに見えます

最終プロトはベテランにもどんどん使ってもらう予定。ブラクリのアイナメで好調だったってことは、バスフィッシングにも使えたりして

18/24 重さのモンダイ?

●協力/年末年始もティカジャパン株式会社

編集部では色んな人にい じってもらっています

「吉田さん、先日、沖釣りの愛好者が50人以上集まる忘年会に行ってきたのですが、会場で数名の女性から『つれる竿』の価格について聞かれましたよ」

「ええ!?今回も価格のモンダイなんですか?」

「いえ、違います。ただ、皆さん気にかけてくださっていて、うれしいな、と」

「で、どうだったのですか?」

「そりゃもう皆さん怒り心頭、カンカンですよ」

「え……!」

「冗談です。あくまで私の予想店頭価格を申し上げると、おおむね『替え穂が付いてその価格ならお値打ちね!』って感じのリアクションでした」

「そ、そうでしたか……」

「ぼくの説明不足もあるかもしれませんので、今一度『つれる竿』のスペックを表記しておきましょう」

MAGICAL★ONE
・穂先2本付き
・バット部10センチ伸縮
・ベイトリール、スピニングリール両方に対応。

[対象魚](試釣済みのもの)
●穂先A(硬いほう)=ライトアジ、ライトタチウオ、ライトジギング(タチウオ、シーバス)カワハギ、カサゴ、イシモチ(ほ
かライトマルイカが候補)
●穂先S(軟らかいほう)=シロギス、イイダコ、餌木スミイカ、湾フグ、東京湾のアイナメ(ほかマゴチ、アナゴが候補)
・メーカー希望本体価格=1万5000円
・フィッシングショーで展示後、5月より釣具店、つり情報ホームページ内のショップにて発売予定。

「ところで吉田さん、最終サンプルの重量や長さは、そのまま市販品と同じなのですか?」

「ガイドやリールシートの素材が若干変わります」

「それは、いいほうに変わるのですか?」

「も、もちろんです。市販品は若干軽くなるかもしれません」

・全長=171センチ、バットを伸ばした状態で181センチ
・重量=120グラム(最終サンプル)

プロト1号は重量115 グラム

「この竿、女性に持ってもらうと必ずと言っていいくらい『軽い!』って驚いてくれるんです」

「重量自体軽く仕上げていますが、バットに重心がくるバランスも効果的なのかもしれません」

満足げな吉田さん。しかし、お世辞抜きで『つれる竿』は持った感触が軽い。

「数字以上に軽く感じるし、疲れませんよ。シロギスでも、イイダコでも、試釣のときにぼくの使っている竿と使い比べてもらうと『つれる竿のほうが軽くていい』って言ってましたもの」

「女性やビギナーにとって、軽く感じるというのは大切ですから、その点も成功ですね」

またまた満足げな吉田さん。

「でも吉田さん。120グラムという重量は飛び抜けて軽いわけではありません。カワハギ竿のトップモデルは80グラムを切ろうかという軽さです」

「ちょ、ちょっと待ってください。カワハギ用のトップモデルはブランクスもパーツも最軽量、最高級のものが使われていますから、価格なりに軽く仕上がっているのです」

慌てて説明する吉田さん。もちろん、メーカー希望本体価格(打つのが面倒だなぁ長くて)1万5000円の竿と、4万円クラスの竿を比べてはいけない。

元部を硬くするためにカーボンを 足したプロト2号は118 グラム

「ところで、もう1つ気になっていたのですが、プロト1号の自重は115グラム、プロト2号は118グラムでした。元部を硬くするためにカーボンを巻く量を増やしていますから、プロト1号に比べて2号が重くなるのは分かるんです。でも、最終サンプルがプロト2号よりも2グラム重い120グラムなのは、なぜ?」

「それは塗料などによるものです。ラメは重量がかさみやすいので、これだけ発色のいいラメピンクに塗装するには、普通はもっと重量が増加する可能性が高いぐらいのです」

釈明会見状態ではなく、誇らしげに説明する吉田さん。2グラムの増加の120グラムに抑えているのはかなり優秀といえるの
だそうだ。

次号、最新の試釣の様子を紹介、の予定。

17/24 価格のモンダイ

●協力/ティカジャパン株式会社

神田の雑居ビルの屋上でスカイツリーを背にティカジャパンの吉田俊介さんに秘密を打ち明けられるという、まるでトレンディードラマ(今は言わないよね)のような展開から続く「つれる竿」プロジェクト。

今回はお詫びとご報告で す……

今回は、皆さまへのお詫びを兼ねての「価格」についてのご報告。

「吉田さん、価格って、もしかして1万円(メーカー希望本体価格)が難しくなっちゃったとか?」

「簡単に申し上げますと、そういうことなんです。どこから説明すればよいか……」

普段、困ると頭をかいて釈明会見状態に陥る吉田さんだが、今回は直立不動。本当に困っているのだ。

「実はですね、穂先を2本付けたり、スライドバットシステムを採用したり、塗料そのほか色いろと仕様を変えていくうち、
見積がオーバーしてしまったのです」

「なるほど……」

「たとえば、現在の仕様でメーカー希望本体価格1万円ですと、1本あたりのコストがこれぐらいなので……カタカタカタ……
このような数字(企業秘密)になってしまうのです」

階下の編集部へ降りて、電卓を弾いて見せる吉田さん。

「げっ! 吉田さん、それじゃあ商売になりませんね」

「はい。細かい仕様の調整で対処してみたのですが、やはり難しくなってしまいまして……」

選択肢としてはさらなるコストダウンができたのかもしれない。しかし、替え穂を付けてライトアジからシロギスまで使えて、ベイト、スピニング両方使えて、スライドバットシステムを搭載すると、やはりメーカー希望本体価格1万円は難しいとの結論に至ったそうだ。

「私も悩みました。替え穂を諦めれば、または、スライドバットシステムを諦めれば、可能かもしれません」

「でも、それでは女性や入門者が東京湾奥の色んな釣り物を1本の竿で楽しめる『つれる竿』ではなくなってしまいます。繰
り返し試釣して、替え穂とスライドバットがいかに有効か分かっていますから」

「そうなのです。ですから(詳しくは申し上げられないのですが)、『つれる竿』の構造的なアイデアは、メーカー希望本体価
格1万円では難しかったのです」

「分かりました。じゃあ、誌面で読者の皆さんに伝えて、謝りましょう。」

「はい。でも、理解していただけますかね」

「都合が悪い事実に関して、発表と説明が遅れるほど後の信頼を得られないのは今回の大震災での政府と東電の対応で痛いほ
ど分かっているじゃありませんか。竿づくりの舞台裏を報告するのも『つれる竿』プロジェクトです」

というわけでお詫びです。

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、当初目的としていたメーカー希望本体価格1万円を上回る価格での販売が決まり
ました。ここにお詫びいたします。(沖藤&吉田)

電卓で次つぎにはじき出される数字にビビる。な んだか最近こんなシーン多いなあ、公私ともども

「で、吉田さん。いったい、いくらになるんですか!?  場合によっては読者の皆さんから総スカン食らいますよ!」

「ちょ、ちょっと脅かさないでくださいよ」

カタカタカタ……。分かりやすい数字でも電卓をたたき液晶画面で示す吉田さん。

「……実は、メーカー希望本体価格1万5000円がギリギリなのです」

「分かりました。では、発表していいですね?」

「……大丈夫ですっ」

●『つれる竿』MAGICAL☆ONEは、メーカー希望本体価格1万5000円を予定しております。

あまり詳細な数字は書けないのだが、メーカー希望本体価格と、店頭で販売されている価格は必ずしも同じではない。

これは他の竿やリールを見ても分かるとおり。もちろん『つれる竿』MAGICAL☆ONEも同じかたちで流通する。

いわゆる店頭価格については、来春、4月ごろの発売によって各店舗のほか、つり情報ホームページにて分かるはず。もしくは、国際フィッシングショー2012「つり情報」ブースで最終サンプルを展示する予定なので、こっそり聞いてください。あくまで個人的な予想をお教えします。

次号、重さのモンダイ?

16/24 最終サンプル登場

●協力/ティカジャパン株式会社、ですよね。

不安になって三石忍のよ うにバンバンとブッたた いてみる吉田さん

街路樹から落ちる銀杏のにほひが鼻をつく晩秋の外神田・つり情報編集部。ティカジャパンの吉田俊介さんがエレベーターから降りるなり、ガサゴソとビニール袋を剥がし始める。

「今日は最終サンプルをお持ちしました」

「おおっ! ついにできましたか。待ってましたよ」

取り出された竿はラメピンクに塗装され、グリップは赤とブラックのツートン、ガイドの前後には金の糸が巻かれ、グリップ各部にはゴールド&コパーのリングも装着されている。

「穂先はオレンジと白ですね」

「はい、先端部オレンジがライトアジなどオモリ30号を主体としたAタイプ、白がシロギスなどオモリ15号以内と主体とした
Sタイプです」

「なんで両方オレンジなの?」

「あ、いや、これはちょっと手違いで、すぐに作り直したものができます」

「それ以外は、この状態が市販品と思っていいのですね」

「はい(自信満々)。チェックしてみてください」

ついにできました!「MAGICAL ☆ONE」の最終サンプル

本来ならティカジャパン本社で済ませるチェックを編集部で行ってもらう。

「プロト2号に比べて若干軟らかくなってますね」

「はい。塗装、研磨によって若干変わります」

「プロト2号で『若干張りが強すぎる』って意見が出たとき、吉田さんが最終サンプルでちょうどよくなるかもって言ってた
のはこのことなんですか?」

「もちろんです」

どや顔で答える吉田さん。オモリ30〜50号を段階的にぶら下げてプロト2号と比較すると、最終サンプルは若干入り込む。

「ですが、プロト1号に比べたら元部から胴にかけての張りはかなり強くなっています」

「なるほど。三石忍に怒られませんかね。バンバンッてたたいて、弱いって」

「え!?大丈夫ですよね?」

不安に駆られてバンバンと竿をたたいてみる吉田さん。もちろん三石はそんなことで怒ったりはしない。

「第1ガイドを手前に持ってきたため、ラインタッチ解消です」

最終サンプルはプロト2号 よりもほんのわずかしなや か。角が取れた印象の動き でグッド!

ガイドの位置と間隔もプロトから変更してある。試釣では様ざまな点がチェックされ、こうして改良されてくるのだ。

「そのほか懸案となっていたスライドバットの水抜き穴も開けてあります」

「さっそく試しましょう」

「ええ?」

流しに持って行き、最終サンプルをジャバジャバと洗う。
プシュー。

「大丈夫ですね。ちゃんと空気きてるし、もう乾き始めてます」

「もっと穴を大きくしたら、乾くの早いんじゃない?」

「砂利が入ったら終わりですよ」

「……失礼しました」

最後はデザインチェック。ブランクスには「MAGICAL☆ONE」の文字。裏にはつれる竿プロジェクトバージョン1
・03を示す英字。スペルOK。

「ところで吉田さん、思ったよりもピンク、暗くありませんか」

「ええ!?今、言われても……」

「ね? Yさん、ちょっと暗いよね、この色」

屋外で見ると本当にカッコ イイ。ちなみにつり情報社 の入っているビルの屋上か らはスカイツリーがよく見 えます(ブログみたいだな)

本誌アルバイトの女性Yさんに見せる。

「うわあ、カッワイイですね〜! すごくいいです!」

「……吉田さん、完璧です」

女性の意見に文句なし。

「実際、太陽光で見ると本当にきれいですよ。これ、男性でもほしくなります。きっと」

外神田の雑居ビルの屋上へ上がるオヤジ2人。

「おおっ! 本当だ。これはきれいだ!」

ようやく私も納得する。

「ところで沖藤さん、色いろパーツ付けて、仕様を変えていったら、予定していた定価が難しくなってきてしまいまして……」

スカイツリーを背に、突然打ち明ける吉田さん。

「それって、価格のモンダイ?」

「実は……そうなんです」

次号、2人して釈明会見か!?

15/24 プロトタイプ最終テスト ーライトアジ編ー

●協力/秋の夜長にティカジャパン株式会社

へし折らんばかりに竿を 振る笹本

金沢八景で行われたプロト2号の最終テスト。午前船で行われたシロギス試釣は問題なく終了。今回は後半、ライトアジでの試釣のはなし。

「船長、この竿、どうですか?」

午後ライトアジ船の準備を進める木村定義船長を呼び止め、オモリ30号ほどのライト用貸しビシをぶら下げて調子を見ていただく。

ユラユラ……。

「うんうん」

ギュイ、ギュイッ!強めにシャクって調子を確かめる船長。

「いいね。竿先は軟らかいけど、元がしっかりしてていいよ」

木村船長(中央)に竿を見ていただく

船長のコメントは好感触。

「慣れない人はね、7:3調子くらいのほうがコマセの振り具合が分かっていいよ、これ、ちょうどいい感じだね」

いざ出船。午後ライトアジは平日でも15人と大盛況。港を出てすぐの富岡沖20メートル台で釣り開始。

「これでアジが釣れたら合格、最終サンプルに進むんですね?」

何度も念押しするティカジャパン・吉田俊介さん。

「もちろんです。きっと問題はないのでしょうが、思わぬトラブルが起こるかもしれません。何せ、対象とするユーザーは女性、初心者ですからね」

「確かに……」

穂先への巻き込みが一番多いトラブル。こ れを防止するアイデアはないものか

気を引き締める吉田さん。

「思い出してきたぞ〜♪ コマセを振るんでしたね!」

グリップよりも先、ブランクスをムギュッと握って天に向かって竿をシャクる食べたガール・笹本里絵。基本もへったくれもないコマセ振りは、開発者をびびらせるに十分だ。

「釣れました〜!」

すでにコマセに着いていたのだろう。竿がキュンキュンと引き込まれている。上がってきたのは20センチ級の小判のような見事なアジ。

船上では好調にアジが上がり始める。笹本はポツポツながら釣り続ける。

「ビシが底に着いたの分かる?」

「分かりま〜す」

「コマセを振り出せる?」

スピニング仕様のシロギス竿にベイトリー ルを付けて、見事な腕前で釣っていく高校 生。ベイト、スピニング両方使える万能竿 は意外に少ないのだ

「いい感じだと思いま〜す」

「アタリ、分かる?」

「分かりますって!」

しつこく聞くオヤジにイラつく笹本。そりゃそうだ。ちゃんと釣れているのだから。

「竿は問題ないよ、釣ってるの見て、ライトアジに向いてるよ」

船長も改めて太鼓判を押してくれたのだった。

「ただ、巻き込みで破損しないように気をつけないとね」

ガッシャン!

「どうしましょう……」

友人に連れられて来て 面白さにハマり、以来 1人で釣行、貸し道具 で釣っていた女性。こ んな方のために「つれ る竿」を企画しました

穂先に絡みつくように食い込むテンビンを見せる笹本。運よく折れはしなかったものの、やはり釣れているときこそ巻き込みが起こることを再認識。

「吉田さん、やはりライトアジを中心とした硬めの穂先、Aタイプは、太いほうで間違いありませんね」

ライトアジ対応の穂先の太さは先径0.8ミリと0.9ミリを用意してあるが、0.9ミリを採用することを確認する。

かくして、ライトアジも無事に試釣を完了した。1本の竿でライトアジやシロギスをはじめとする、複数の内湾の小物釣りができないか?その答えとして替え穂式、スライドバットシステムを採用した「つれる竿」は、入念な試釣と仕様の変更、調整の結果、市販品同様となる「最終サンプル」へと進むこととなった。

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●取材協力
金沢八景・弁天屋
☎ 045・701・9061
(詳細は132ページ情報欄参照)
▼半日船6000 円(リレー割引あり)、一日船9000 円
▼カワハギ、アジ、餌木スミイカ、午前、午後ライトアジ、午前シロギス、午後イシモチ乗合へ出船中

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