Archive for 3月, 2012

23/24 MAGICAL☆ONE、内覧会に登場

3月 30 2012 Published by under 本誌記事

●協力/気がつけばティカジャパン株式会社。

4年に一度の2月29 日、夏季オリンピックの年なのだとカレンダーを見て気づく真冬の午後3時過ぎの八丁堀、フィッシング会館6階

ティカジャパンの春期内 覧会場。左端にMAGI CAL☆ONEが展示さ れていた

2日間にわたるティカジャパンの内覧会も終了間近である。

「もう、みなさん帰られましたよ。沖藤さん来られないのかと思いましたよ」

唯一フロアに残っていたお客さんと商談していた吉田俊介さんが声をかけてくる。

「いえいえ、2日間、釣具店の皆さんが竿を見た後に、その評価を聞きたかったんですよ」

これ本当。遅刻したのではなく、集約した意見を社員の皆さんから聞きたかったのだ。

「おう、久しぶりだね」

吉田さんの前に座るお客さんに声をかけられて、のけぞる。

「伊良原さんじゃないっすか!」

本誌でもおなじみ渋谷サンスイ船づり館の「いらさん」である。歯に衣着せぬ江戸っ子の伊良原さんは、MAGICAL☆ONEみたいなチャラチャラした竿には激辛評価のはず。

「釣れたんでしょ?」

「え? はい、説明書に☆印のある釣り物は全部釣れました」

「そうなんだってなあ。いい加減に作ってたならダメだけどさ、ちゃんと作ってあって、釣れたってんだから、ダメって言えないよなあ

「あ、ありがとうございます!」

大先輩の前では先生に作文を見せる小学生状態である。その前で吉田さん、どや顔。

「ところで皆さん、釣具店さんから、どんな意見が出ましたか」

吉田さんのほか営業部の根尾さん、五十嵐さんに聞いてみる。

「女性専用竿と思われている方が多かったようです」

「女性専用として見ているせいか、売れないんじゃないかっておっしゃる方もいました」

キツイ意見である。でも、女性「専用」とはうたっていないんだけどなあ。

右から吉田さん、五十嵐さん、根尾さん。思いのほか自由 に意見をぶつけ合い、ときに鋭くツッコんでくれます。「こ の説明書の評判、いいですねぇ」と根尾さん

「グリップの素材や色がイマイチという意見もありました」

うう……。そりゃ、素材も色も、自由に使わせてくれたらいいけど、予算があるし……。

「色違いで出せば、男女用としていいのでは? との意見もありました」

だから、女性専用じゃないし、男性でもカッコいいって言う人いると思うんだけどなあ……。

ここまで聞かれたネガティブな評価で、いかに女性をターゲットにした釣具の販売が難しいか実感する。

「つれる竿プロジェクトで女性を対象に行ったアンケートやモニタリングと、釣具店のみなさんの評価のギャップはとても興味深いです。でも、それらはすべてデザインや外見についてです。調子や作りについては、どんな意見がありましたか?」

「ライト用の竿としての評価はとても高かったです」

「替え穂付きと、スライドバットは評判がよかったですね」

「穂先の継ぎがよく、軟らかいほう、硬いほう、どちらの穂先を継いでも調子がいい、という意見が多かったです」

なるほど。きっと、伊良原さんの「ちゃんと作ってある」という評価もこれに入るのだろう。

とはいえ、初回生産の100本のうち、どれぐらい注文があったのか……。甚だ不安である。

「それが実は……」

ばつの悪そうな顔をする吉田さん。

「なくなっちゃったんです。初回分の100本、全部、注文が入りそうなのです」

「ええ!? それ、すごいじゃないですか!」

「は、はい。ですが、もしかしたら注文に対して竿が足りないという事態が……」

曖昧に笑う吉田さん。

根尾さんと五十嵐さんが、「だからもっと生産しとけばよかったのに」光線を発射する。

「実は、急きょ増産の方向で動いているのですが、追加分の納品が8月になりそうなのです」

「ええ!?」

本誌をご覧になって、応援していただいている皆さんには、ぜひ、MAGICAL☆ONEを手にしていただきたいと思っております。

大変お手数かけますが、購入を希望される方はぜひ、釣具店さんに予約していただきたく思います。

吉田&沖藤

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22/24 読んで楽しい使用説明書?

3月 30 2012 Published by under 本誌記事

●協力/ティカジャパン株式会社。業務命令でしょうか。

いよいよ市販品のサンプルも完成、5月上旬の発売に向けて工場で量産が進んでいるはずの「MAGICAL☆ONE」。

4分の1に折った状態で竿袋に同封されるMAGICAL☆ONEの使用説明書

わが「つれる竿」プロジェクト(ティカジャパン吉田俊介さんと私と時どき食べたガール・笹本里絵)も、残す役割は国際フィッシングショー2012の『辰巳出版・つり情報』ブースにおける釈明、いや違った、商品展示と説明を残すところとなった、と、思いきや……。

「ちょ、ちょっと待ってください沖藤さん、梱包と使用説明書、まだ終わってないですよ」

感慨にふけっていると電話の向こうで吉田さんが焦っている。

「梱包はプラケースを使わずに、仕様書はティカさんがプレートを付けて、使用説明書はうちで作るって話ですけど何か?」

「何か? って……。まあ、プラケースなくて大丈夫かって思いましたけど、コストダウンになっていますからいいとして」

「おれはプラケースはいらないと思います。きっと、つれる竿をほしいと思う人は、プラケースに価値観を見いだしません。そもそもプラケースって、売り場で置きやすいとか、輸送で安全とか、販売面の事情でゴニョゴニョゴニョ……」

「はいはい、分かりました。ところで、使用説明書、できましたか?」

最近は忙しいのか、議論してくれない吉田さんである。

「え? 次の締め切り終わってからでいいんじゃないの?」

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ、手を付けてないんですか? 印刷して、4分の1に折って、工場で1枚1枚、竿袋に同封するんですよ。上がってなかったら、工程が止まっちゃうんですよ」

「発売が5月だから、4月ぐらいでいいのかと思ってました」

「……大丈夫ですか?」

「仕方ないですね、まあ、案は練ってありますから、少々お待ちください」

みなさん、釣り竿や釣具の使用説明書って、読んで楽しいですか?

私は仕事柄、説明書や家電のマニュアルでも、よくできている物には面白さや満足感や価値観を見いだします。

たとえば昔、ビッグワンガムってプラモデル付きのガムがあったでしょ? 私はあの箱と説明書が大好きで、戦艦大和のパッケージに心躍らせたものです。

と、いうわけで、つれる竿・MAGICAL☆ONEの使用説明書は、読んで楽しく、ためになる、をコンセプトに作ってみることにしたんです。

【写真1】コピー用紙数枚に、書いては消してを繰り返してイメージと文面を書き留めていく

今は何でもパソコンで設計するのですが、ここはひとつ、紙にガーッと描いてみました。それが写真1。

こうしたら面白いぞ、あ、ここはちゃんと説明しなくちゃ、竿の説明書だけど、チチワの作り方とか、穂先保護の話とか、竿やリールの手入れまで書いたほうがいいゾ、などなど、買ってくれる皆さんを思い浮かべながら、落書きのようにズンズンイメージを膨らませます。

あとは、本誌で活躍していただいているイラストレーターのたむら正さんと、デザイナーの富田さんに発注。ああだこうだと手直しして、でき上がったのが写真2。

説明書はピンクを基調としたデザインで、カラー印刷、4分の1に折って竿袋に同封。

これは使用説明書ですが、つり情報編集部から、MAGICAL☆ONEを買っていただいた方への手紙だと思ってください。これを読んで、ワクワクしてくれたらいいなと思います。

【写真2】イラストレーターの田村さんとデザイナーの富田さんが下絵をもとに制作、デジタルでフィニッシュしてくれる。まさにプロの仕事、お見事!パチパチパチ

「ところで、このイラストのギャラ、つり情報に請求していいんですよね?」

「ねえねえオッキー、デザイン代っていつもの基準でいいの?」

いけね! 予算、考えてなかった……。

次号、MAGICAL☆ONE内覧会に登場!?

写真1と2を左下に大きめに並べてください。

写真1
[写真1]コピー用紙数枚に、書いては消してを繰り返してイメージと文面を書き留めていく

写真2
[写真2]イラストレーターの田村さんとデザイナーの富田さんが下絵をもとに制作、デジタルでフィニッシュしてくれる。まさにプロの仕事、お見事!パチパチパチ

写真3(タイトル横に)
[写真3]4分の1に折った状態で竿袋に同封されるMAGICAL☆ONEの使用説明書

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21/24 市販品と同じサンプル完成

3月 15 2012 Published by under 本誌記事

●協力/そろそろティカジャパン株式会社?

寒波の影響で関東地方も寒い日が続く1月下旬の外神田、つり情報編集部。ティカジャパンの吉田俊介さんがエレベーターから降りてくるなり、元気よく声をかけてくる。

「できましたよ沖藤さん! つれる竿、MAGICAL☆ONEの製品サンプルが完成しました。これが市販される状態のものですっ!」

バリバリとビニール袋から竿を取り出すと、そこには真新しいラメピンクの竿。

「どうですか! グリップも市販品と同じもので、ブランクスの色もイメージどおり!」

喜々として話す吉田さん。

「さあ、穂先を継いでみてください。サンプルではハードな使い方をしたときに甘くなるとおっしゃってた継ぎですが、キッチリと入るでしょう。市販される製品は、しっかり調整されているのです!」

たしかに穂先の継ぎは感触よく入り、動かない。先端へかけて小さくなるガイドの周辺にもていねいな塗装が施され、きれ
いに仕上がっている。

「オレンジ色の硬いほうの替え穂の先にはSiCリングが装着されているのですっ!」

鼻の穴を膨らませる吉田さん。
リングとはガイドの内側の輪のことで、簡単に言うとSiCリングは高級品。販売価格を抑えるためにすべてハードリングにする予定だったのだが、硬いほうの穂先の先端のみSiCリングを採用したのだ。

「重量も最終サンプルで120グラムだったのが、本番用のパーツで作った市販品同様の製品サンプルは114グラムになりました。これはプロト2号の118グラムよりも軽く仕上がっているのです」

「なるほど。たしかに持った印象もシャープになりましたね。プロトや最終サンプルよりも、こう、一段階洗練された感じがします。プロトよりも明らかにシャープ、なんて言うのかな、雑味がなくなって、よりいい竿になりました。これで店頭に並ぶわけですね」

「そうなんです。この本番同様の製品サンプルで最後に軽量化できたところを、ちょっと書いておいていただけたら、うれしいのです。えっへん」

私にとってはわずか数グラムだが、吉田さんにとっては大いにこだわる部分なのだろう。文章上色モノに思われることもある(おれの責任か)つれる竿プロジェクトだが、竿づくりに関しては吉田さんの職人魂が込められている。

「ところで吉田さん、最近、会う人によく『発売はいつのなの?』って聞かれます」

「すみません。発売は5月上旬になる予定です」

発売日については、何回聞いても釈明会見状態に陥ってしまう吉田さん。

「実はMAGICAL☆ONEの塗装は工程がとても複雑なのです。工場の皆さんには手間をかけて仕上げていただいており、どうしても時間がかかってしまうのです」

「ラメピンクにするからですよ」

「ええ!?コストと手間がかかるけど、アンケートのとおりラメピンクでいこうって押し切ったの、沖藤さんじゃないですか」

そういえばそうだったような気もする。

「じゃあ、発売を待ってくださっている皆さんのためにも、工場で塗装している様子を写真で紹介しませんか? 企業秘密の部分はモザイクかけますから」

「いいですけど、人物以外全部モザイクになったらどうするのですか?」

「秘密基地みたいで格好いいですね」

竿ができ上がるまでの裏話も含めたプロセスを紹介するのも「つれる竿」プロジェクトの目的のひとつである。

つれる竿[MAGICAL☆ONE]仕様

  • 全長:1.7〜1.8m
  • 継ぎ数:2本
  • 仕舞寸法:140cm
  • 自重:114g
  • 先径:0.75mm(白穂先)、0.9mm(オレンジ穂先)
  • 元径:13mm
  • オモリ負荷:8〜20号(白穂先)、15〜40号(オレンジ穂先)
  • カーボン含有率:75%
  • メーカー希望本体価格:15000円

次号こそ使用説明書の話か?

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