21/24 市販品と同じサンプル完成

●協力/そろそろティカジャパン株式会社?

寒波の影響で関東地方も寒い日が続く1月下旬の外神田、つり情報編集部。ティカジャパンの吉田俊介さんがエレベーターから降りてくるなり、元気よく声をかけてくる。

「できましたよ沖藤さん! つれる竿、MAGICAL☆ONEの製品サンプルが完成しました。これが市販される状態のものですっ!」

バリバリとビニール袋から竿を取り出すと、そこには真新しいラメピンクの竿。

「どうですか! グリップも市販品と同じもので、ブランクスの色もイメージどおり!」

喜々として話す吉田さん。

「さあ、穂先を継いでみてください。サンプルではハードな使い方をしたときに甘くなるとおっしゃってた継ぎですが、キッチリと入るでしょう。市販される製品は、しっかり調整されているのです!」

たしかに穂先の継ぎは感触よく入り、動かない。先端へかけて小さくなるガイドの周辺にもていねいな塗装が施され、きれ
いに仕上がっている。

「オレンジ色の硬いほうの替え穂の先にはSiCリングが装着されているのですっ!」

鼻の穴を膨らませる吉田さん。
リングとはガイドの内側の輪のことで、簡単に言うとSiCリングは高級品。販売価格を抑えるためにすべてハードリングにする予定だったのだが、硬いほうの穂先の先端のみSiCリングを採用したのだ。

「重量も最終サンプルで120グラムだったのが、本番用のパーツで作った市販品同様の製品サンプルは114グラムになりました。これはプロト2号の118グラムよりも軽く仕上がっているのです」

「なるほど。たしかに持った印象もシャープになりましたね。プロトや最終サンプルよりも、こう、一段階洗練された感じがします。プロトよりも明らかにシャープ、なんて言うのかな、雑味がなくなって、よりいい竿になりました。これで店頭に並ぶわけですね」

「そうなんです。この本番同様の製品サンプルで最後に軽量化できたところを、ちょっと書いておいていただけたら、うれしいのです。えっへん」

私にとってはわずか数グラムだが、吉田さんにとっては大いにこだわる部分なのだろう。文章上色モノに思われることもある(おれの責任か)つれる竿プロジェクトだが、竿づくりに関しては吉田さんの職人魂が込められている。

「ところで吉田さん、最近、会う人によく『発売はいつのなの?』って聞かれます」

「すみません。発売は5月上旬になる予定です」

発売日については、何回聞いても釈明会見状態に陥ってしまう吉田さん。

「実はMAGICAL☆ONEの塗装は工程がとても複雑なのです。工場の皆さんには手間をかけて仕上げていただいており、どうしても時間がかかってしまうのです」

「ラメピンクにするからですよ」

「ええ!?コストと手間がかかるけど、アンケートのとおりラメピンクでいこうって押し切ったの、沖藤さんじゃないですか」

そういえばそうだったような気もする。

「じゃあ、発売を待ってくださっている皆さんのためにも、工場で塗装している様子を写真で紹介しませんか? 企業秘密の部分はモザイクかけますから」

「いいですけど、人物以外全部モザイクになったらどうするのですか?」

「秘密基地みたいで格好いいですね」

竿ができ上がるまでの裏話も含めたプロセスを紹介するのも「つれる竿」プロジェクトの目的のひとつである。

つれる竿[MAGICAL☆ONE]仕様

  • 全長:1.7〜1.8m
  • 継ぎ数:2本
  • 仕舞寸法:140cm
  • 自重:114g
  • 先径:0.75mm(白穂先)、0.9mm(オレンジ穂先)
  • 元径:13mm
  • オモリ負荷:8〜20号(白穂先)、15〜40号(オレンジ穂先)
  • カーボン含有率:75%
  • メーカー希望本体価格:15000円

次号こそ使用説明書の話か?