23/24 MAGICAL☆ONE、内覧会に登場
●協力/気がつけばティカジャパン株式会社。
4年に一度の2月29 日、夏季オリンピックの年なのだとカレンダーを見て気づく真冬の午後3時過ぎの八丁堀、フィッシング会館6階
2日間にわたるティカジャパンの内覧会も終了間近である。
「もう、みなさん帰られましたよ。沖藤さん来られないのかと思いましたよ」
唯一フロアに残っていたお客さんと商談していた吉田俊介さんが声をかけてくる。
「いえいえ、2日間、釣具店の皆さんが竿を見た後に、その評価を聞きたかったんですよ」
これ本当。遅刻したのではなく、集約した意見を社員の皆さんから聞きたかったのだ。
「おう、久しぶりだね」
吉田さんの前に座るお客さんに声をかけられて、のけぞる。
「伊良原さんじゃないっすか!」
本誌でもおなじみ渋谷サンスイ船づり館の「いらさん」である。歯に衣着せぬ江戸っ子の伊良原さんは、MAGICAL☆ONEみたいなチャラチャラした竿には激辛評価のはず。
「釣れたんでしょ?」
「え? はい、説明書に☆印のある釣り物は全部釣れました」
「そうなんだってなあ。いい加減に作ってたならダメだけどさ、ちゃんと作ってあって、釣れたってんだから、ダメって言えないよなあ
「あ、ありがとうございます!」
大先輩の前では先生に作文を見せる小学生状態である。その前で吉田さん、どや顔。
「ところで皆さん、釣具店さんから、どんな意見が出ましたか」
吉田さんのほか営業部の根尾さん、五十嵐さんに聞いてみる。
「女性専用竿と思われている方が多かったようです」
「女性専用として見ているせいか、売れないんじゃないかっておっしゃる方もいました」
キツイ意見である。でも、女性「専用」とはうたっていないんだけどなあ。
「グリップの素材や色がイマイチという意見もありました」
うう……。そりゃ、素材も色も、自由に使わせてくれたらいいけど、予算があるし……。
「色違いで出せば、男女用としていいのでは? との意見もありました」
だから、女性専用じゃないし、男性でもカッコいいって言う人いると思うんだけどなあ……。
ここまで聞かれたネガティブな評価で、いかに女性をターゲットにした釣具の販売が難しいか実感する。
「つれる竿プロジェクトで女性を対象に行ったアンケートやモニタリングと、釣具店のみなさんの評価のギャップはとても興味深いです。でも、それらはすべてデザインや外見についてです。調子や作りについては、どんな意見がありましたか?」
「ライト用の竿としての評価はとても高かったです」
「替え穂付きと、スライドバットは評判がよかったですね」
「穂先の継ぎがよく、軟らかいほう、硬いほう、どちらの穂先を継いでも調子がいい、という意見が多かったです」
なるほど。きっと、伊良原さんの「ちゃんと作ってある」という評価もこれに入るのだろう。
とはいえ、初回生産の100本のうち、どれぐらい注文があったのか……。甚だ不安である。
「それが実は……」
ばつの悪そうな顔をする吉田さん。
「なくなっちゃったんです。初回分の100本、全部、注文が入りそうなのです」
「ええ!? それ、すごいじゃないですか!」
「は、はい。ですが、もしかしたら注文に対して竿が足りないという事態が……」
曖昧に笑う吉田さん。
根尾さんと五十嵐さんが、「だからもっと生産しとけばよかったのに」光線を発射する。
「実は、急きょ増産の方向で動いているのですが、追加分の納品が8月になりそうなのです」
「ええ!?」
◇
本誌をご覧になって、応援していただいている皆さんには、ぜひ、MAGICAL☆ONEを手にしていただきたいと思っております。
大変お手数かけますが、購入を希望される方はぜひ、釣具店さんに予約していただきたく思います。
吉田&沖藤