Archive for 5月, 2011

2/24 驚異の汎用性を実現するオドロキの仕様!?

5月 15 2011 Published by under 本誌記事

●協力/どうやらティカジャパン株式会社。

2人でコキコキとアイ デアを書きとめていく

「地味な企画なのに方々で声をかけられて、ちょっと驚いたね」

「そんなことより、具体的な話を話を進めましょう」

心配性の吉田俊介さんは前置きが短い。

「たしかライトアジがメインですよね。そうすると、オモリ20〜40号に対応した素材が中心になります」

紙の中心に円を描いて「ライトアジ」と書く。同じ調子の竿でできそうなのが「ライトマルイカ「カサゴetc」と「イシモチ」そして「カワハギ」。

「ええっ!?カワハギですか?」

「入れちゃいましょうよ。とりあえず」

「まあ、いいですけど……」

●これらを「ライトアジグループ=A」とする。

続いて少し離れた場所に「シロギス」と書く。オモリ15号前後の釣りだ。

シロギス竿を流用できる釣りをあげていく。「アナゴ」に「ショウサイフグ」に「イイダコ」に「ハゼ」に「マゴチ」に「餌木スミイカ」。

●これらを「シロギスグループ=B」とする。

これまで、この2グループは少なくとも2本以上、ツウに言わせれば専用竿含め数本は竿が必要と言われるところ。これらを1本の竿でこなすとしたら……。

「替え穂を付けるしかありませんよねえ、やっぱり」

「おお、替え穂ですか!」

●ライトアジグループ=Aにはパリッとした硬めの穂先。
●シロギスグループ=Bには繊細に動く軟らかめの穂先。

さすが吉田さん。話が早い。

「ですが、竿の調子としてはどちらをベースにするんですか?」

もちろん、ライトアジ系の釣りをしっかりできることが基本。コキコキコキと描いてみる。Aの竿は7:3調子、Bは先だけ軟らかい8:2調子っぽくなるのかも。どう?

「できますよ。では、長さはどうしますか?」

女性やビギナーが使うことを考えれば、取り回しやすい全長1.8メートル以内にしたい。

「とすると、ですね。まず、替え穂はやはり30センチはほしいんですね、構造的に。で、ライトアジをちゃんとやろうと思えば、グリップは脇挟みできるよう、リールシートから最低でも30センチは必要だと思われます。そして胴、ブランクは調子を出すためにも120センチほどはほしいところですから、全長180センチになります」

なるほど。これが基準になるわけだ。

「でも、シロギスにも使いたいんですよね?」

そうそう。スピニングリールに対応させるのは必須。アナゴだってスピニングを使う人が増えている。『つれる竿』のキモでもある。

「だとすれば、トリガーのないリールシートにするのはもちろんですが、グリップが30センチもあると邪魔なんです」

「むむ、そうかあ……」

スピニングリールを使うとき、グリップは20センチくらいのほうが扱いやすい。これは小物釣り全般に言える。そうなると当然、全長は短くなる。

「ライトアジとシロギス用の竿を比べたとき、グリップから下だけで10センチ以上の違いがあるのです。全長、どうします?」

これは困った。

「替えグリップって無理?」

「無理ではありません。ウチにはTSBS、ティカスライドバットシステムがありますから」

「おお、それはいい! ビヨーンと伸びるグリップですね」

「TSBS、スライドバットシステムです(ピシャリ)。18センチ〜35センチにスライドするタイプがあてはまります」

これがメモ。ティカジャパンの竿はこうやって作られている、 わけありません

なんと、グリップが伸縮すればライトアジ系のときはグリップ長めの全長185センチで脇挟みバッチリ。シロギス系のときはグリップ短めの全長168センチで軽快、となるわけだ。

「すごいですね吉田さん! 替え穂だけでもワクワクしてくるのに、グリップがビヨーンと伸びたらもっと楽しいですよ。まるでサンダーバードだ」

「スライドバットシステムです(ピシャリ)。ところで沖藤さん、それでも販売価格は1万円以内
なんですか?」

「もちろんです(ピシャリ)」

次号、早くも暴走気味のプロジェクトはサンプル選びへ

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1/24 これがリアル釣りガール企画?

5月 01 2011 Published by under 本誌記事

●協力/ティカジャパン株式会社。かも

昼下がりの外神田、つり情報編集部。ティカジャパン株式会社でロッド・リールの開発を担当する営業部・吉田俊介さんとの茶飲みばなしからこの企画は始まった。

「沖藤さん。釣りガールって、どうなんですか?」

「どうもこうも。なんで?」

「いや、ぼくらができることって、何だろうと思って……」

吉田さんはいつもヒザに手を置いて行儀よく話をする。

「女性っていうか、船で一緒になる人ってだいたいオバチャンなんですけど『どんな竿がほしいですか』って質問すると、みなさん『釣れる竿』っておっしゃるんです。ははは」

額の汗をふくのがクセの吉田さんは、いつも困ったように見える。

「作っちゃえばいいんですよ」

「は?」

「だから『つれる竿』を作っちゃえばいいんじゃない?」

「…………」

釣れる竿。何でも釣れる万能竿を、真剣に作るのだ。
しばしお付き合いを。

A
女性や初心者、もしくは船に乗りたいけど船酔いが心配な人には波穏やかな東京湾奥や相模湾がおすすめ。

B
波静かな近場といえば小物釣り。しかも多種多様な釣りがあり1年を通して楽しめる。

C
とはいえ、釣り物が多いぶん、どんな竿を使えばいいか分からない。それぞれ竿を買うのは予算的に無理。ゆえに二の足を踏む、または諦めてしまう。

A、Bまではいいのだが、問題はC。釣り物が多いことは沖釣りの素晴らしい点なのだが、入門者にとっては道具、予算において大きな壁になる。

「カワハギとシロギスって1本の竿ではできないんですか? 同じ船宿から出ているのだから、できるのではないかと思って」
匿名希望の20代後半独身女性が釣具店で迷った末にメールを送ってくる(本当の話)。

皆さんは彼女を笑うだろうか。

話は飛んで15年前。入社したての私は当時の斉藤編集長から半田丸の「沖0号」を渡された。

「とりあえず、これでいい」

そう言われて、ウイリーシャクリからビシアジ、オニカサゴからヤリイカ、ヒラメからコマセダイからカツオまで、オモリ60〜150号の釣りは全部「沖0号」で釣った。

もちろん「沖0号」が最高の万能竿であることは確かだ。でも、それ以上に“この竿1本あればいいのだ”という自信がどれだけ新米記者の背中を押してくれたことか。

あるとき「沖0号」を見たベテラン釣り師が、「これは『つれる竿』だよね」と言ったのをよく覚えている。

今、女性たちに、または入門者に、翌日の乗船を不安ではなく、ワクワクしながら待つことのできる万能竿を提案することはできないだろうか。

「365 日小物釣りができる竿、それが女性や初心者たちに贈る『つれる竿』。そんな竿を作りま
しょう、吉田さん」

「それ、いいですね! 具体的に釣り物、何ですか?」

「ライトアジとカワハギは必須、そうなるとライトマルイカも」

「なるほど」

「キスも釣れるようにしましょう。マゴチ、あ、アナゴも外せない。湾フグも、餌木ス
ミイカも、イイダコにハゼも……」

「……素晴らしい話ですが、クリアしなくてはならないことが多すぎやしませんか?」

「そこを軽やかに飛び越えるから『つれる竿』なんですよ。帯に短したすきに長し、でも、それがいいんです!」

釣りガールから寄せられたSOSメールを見 て唸る吉田さん「やらせじゃないんですよね ?」と用心深い。本当だって!

「はあ……悪ノリしてません?」

「試釣はもちろん、デザインも女性に参加してもらって意見を取り入れましょう」

「それはいいアイデアですね」

「で、販売価格は1万円以内。女性は価格にシビアだから」

「えええ!?」

「1年後の発売を目指して、どんなプロセスで竿が出来上がるのか、連載で紹介しませんか」

「ちょ、ちょっと、返事を待っていただいていいですか……」

その数日後、ティカジャパンから正式な返答がきた。

「やりましょう。1年後の発売を目指して」

かくして『つれる竿』プロジェクトは始動したのだった。

次号、基本コンセプト決定!無茶な要望は実現するのか!?

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